――も、…ちろん…。…私が、行く。
[揺らされた硝子>>333を、思わずに見開かれたその視界の隅に捉えながら、学生は答えました。からん、鳴った氷は彼の手の内の硝子にぶつかったのか、それとも積み重なったそこから崩れたのか。鳴る氷は学生の中のリアリティにぶつかり、夢心地から微睡む意識を引き上げたのです。
途端に、鮮明になる視界。
頭に反響する聲>>333は、言葉は、自分を肯定したものだった…気がする。と、「私」は今だ脳裏に張り付く、揶揄いとは言い難いそれに――酷く狼狽を機した。こぼれた言葉は心中を表してか、ぎこちなく空白を開けては彼へと手向けられ。腹の底から、否こころの底奥深くから沸き起こるこの気持ちは――どうも擽ったくて、泣きそうだ。なんて。前髪の下、眉は下げられがちに寄せられ、嬉しさか気まずさか、弛む口元を噛み締める。]
(53) 2014/10/05(Sun) 11時頃