[警備の人間が駆け寄ってくるのが見えた>>43。
けれど大扉は閉まっていて。そもそも、フィリップを置いて逃げるなんて選択肢は私にはない。
そんなことをするくらいなら、ここで殺された方がましだ。
フィリップの背中を、頭を撫でる手に、力がこもる]
――――――……!?
[けれど、目の前で起こったのは、思いも寄らぬ展開だった。
月見が、警備の人間に駆けて。そして流れる、血>>44。
そして開かれる、大扉]
……どうして。
[思わず、フィリップを撫でていた手も止まってしまった。頭に手を乗せたまま、呆然と私は呟く。
それはもちろん、こちらにしてみれば願ってもない展開だったけれど。
そんなことをして、月見に何のお咎めもない……なんてことは、もちろん、ありえない。
静かに促されて、私はもう一度、どうして、と呟いた。
それでも、フィリップが我に返ったなら、私は逃げることを躊躇わないだろう]
(49) 2015/07/17(Fri) 01時半頃