―自宅―
[昨日はあれから、三人でどんな話をしただろう。眠る前の回想は、まだもう少しだけ続いたかもしれないけれど。
その夢の続きはまた、思い出した時に紡ぐ事もあるかもしれない。
そうして、昇る陽が変わったのなら。
男はまた"何時もの"時間に――そう、朝陽と共に瞼を開ける。]
………、……
[何時もと同じ時間、同じ朝。身に着けるシャツに皺は無いし、眉も髭も剃り残しなど一つも無い。髪は綺麗に纏められ、爪も短く切り揃えられている。
――嗚呼、しかし今日の夢は些か愉快な夢だったではないか。日が変わる時に得た"情報"に、男はクツと喉を鳴らす。
チキ、チキリ。チキチキ。
短く切り揃えた爪を重ねて小さく鳴らし、パチンと一つ鳴らしたのなら、その間からは絹のように細く長い糸が一本。
僅かに粘つくこの糸で獲物を絡めずに、さぁ果たして幾日経った事だろう。
嗚呼しかし、別に何をしたい訳ではない。
この糸が獲物に絡むその様は、それはそれは愉悦を煽る物だとしても、そんな事は研究室の"モルモット"相手に、存分に行えば良いだけの事だ。]
(48) 2014/10/03(Fri) 05時頃