―2F廊下―
[売店を出てから、購買に行って切らしていたメモ用紙を買い、そのままブラブラするのも飽きてきたのか自室へと足を向けていた。いつも愛用していたメモ用紙が品切れだったので他のメモ用紙を買わねばならなかったのがかなり不服だが、ここで買わねば今度はカルテをメモ用紙代わりにしかねないと渋々ながらに購入したのだ]
……あ、折り紙を買うのを忘れていました。
まぁ…いいか。メモは買いましたし。
[嗚呼、しかし未だにカルテを書き直す気にはなれやしない。結局気晴らしの一つも出来ておらず、口元には笑みを浮かべているものの、眉間には小さな皺が刻まれている。
鶴の折り方も思い出せませんし、と溜息をつき、ふと知人である鶴を教えてくれた異人と似た服を着た少女の事を思い出す]
(もしかしたら…知っていますかね、鶴。見かけたら聞いてみますか)
[彼女の退院が近付いている事など知らぬ医者は、いつか会うた時の為に頭の片隅に少女の事を引っ掛けておく。
同じく退院の目処の立った、先日話した青年の病の事も、勿論知りはしない。
不真面目な医者は、明日もまた同じような日が続くのだと疑いもせずに、ゆっくりと自室への廊下を歩いて行った]
(48) 2014/06/27(Fri) 20時頃