……ぇあ、
[>>28不意にそう遠くもない場所から聞こえた、高らかな少年の声に 思わずびくり と肩を跳ねさせた。
きん と耳をついたその声は、おそらく此方へと向けられたもののよう。
目の前の男の反応がどうあれ、ひとまずはそれが彼の名前だと認識したのなら。]
…なんかやらかしでも したんかい、あんた。
[率直に、不躾な反応をひとつ。
走り去る足音に、『ぎゃいぎゃいうっさいよ、坊主!』なんて叱咤のひとつも叫びかけたけれど。
目の前に居るのが、江戸っ子らしくもなく 下手をすれば自分よりも繊細そうに思える男だと思い直せば それも飲み込んで。]
……あァ、あんた、明之進てのか。
あたしは志乃だよ。
頭の隅っこに 爪の先っちょ程でも留めておいて貰えりゃぁ、瞽女 冥利に尽きる。
[やれやれと肩を落としながら、軽快な足音が離れて行くのを耳の奥で聞いていたか。]
(44) 2015/01/20(Tue) 17時半頃