[自らがつけた痕をそっとなぞりながら、ジャニスはゆうるりと唇を緩ませる。
そうして相手が浮かべた惚けた顔>>32には、悪戯っぽい笑みの一つでも返しただろう。別に、驚かせたいとかそういう意図があったわけではないけれど。彼のその反応は、妙に可愛らしく見えたものだから]
悪くない?なら良かったわ。
……ルーク。これを許すのは、アタシだけにしてね。
[彼が許してくれるものだから、どんどんと我儘になってしまう気がする。傍に居られれば良いと、そう思っていたのに。今はそれ以上を望んでしまう。
特別な呼び名も、その一つで。そう呼ぶのは自分だけにしてくれ、なんて。そんな我儘、つい先程までなら言えなかった筈だというのに。
けれど、きっと。こんな我儘ではしたない自分でも、彼は受け入れてくれるのだろうと。そう考えれば、赤らんだ頬を緩く持ち上げ、微笑んでみせる。
彼が望むなら、再びその呼び名を口にして。手袋へかけられた手には、ほんの少し窺う様な視線を向けた]
(44) 製菓 2014/10/11(Sat) 23時半頃