―広場にて―
[広場に戻れば、そこに先程ネルの元で涙を零していた中性的な、名はレティーシャといったか、その人は居ただろうか(>>30)。
女性的な人は苦手だった。どうしても姉さんを思い出してしまうから。姉さんは、俺が女性と居るのを嫌がる。かつてほんの僅かな期間、通っていた時に女子学生から声を掛けられたそのあとのことなどは、思い出したくもなくて…
これまでは、レティーシャのことも、無意識的に避けてしまっていたのだろう。その人と出会えたならば、始めてになるか。声を掛けてみようか。]
あ…どうも、ッス。
[声を掛けるも、そのまま反応なく通り過ぎて…よく見ると、その身体は少し震えていたか。不思議に思い後に続けば、箱からメスを取り出し、それを、―――。]
だめッス!!!
[咄嗟に、身体は動いていた。勢いよく駆け出し、メスを握る手首を強く叩こうとすれば、そのメスを弾き飛ばすことは叶っただろうか。]
(42) 2015/08/27(Thu) 23時頃