[立ち上がった男は、何やらリモコンを操作する。
すると今まで唯の壁であった、テッドと志乃の部屋の境が透明に透ける。
それはテッドの部屋からも判ることだろう。
そして2人は気が付くだろうか、
互いの部屋が鏡映しのようであるということを。
ベッドやその他の家具の配置が、寸分たがわず鏡映しとなっているのは
以前ルーカスの父親が、双子を作品とする時にこの部屋を作ったからであった。
その鏡映しの部屋と部屋の間にある透明な壁は、防弾と防音を施したもの。
触れることも、労わることも許されぬ境。
志乃は縛られ、その様をテッドに1晩中晒すことを強要された。]
『おやすみなさい。良い夢を…―――』
[志乃には言葉を、透明な壁の向こう唖然としているだろうか、それとも睨んでいるだろうか、金の眼を持つ青年には優美な笑みを向け、ルーカスは重い鉄のドアを開け、鍵を閉め去るのだった**]
(41) mitsurou 2010/04/15(Thu) 02時半頃