そうね――私達は、話す時間が短すぎた。
お互いを知るなら、もっともっと、二人きりでいた方が良いのかもしれない。
……でも、どうやらタイムリミットみたいね。
[もともと自分達が最後の二人だったのだ、この空間に居られる時間は長くはない。
直感でそれを感じとってしまう。夢の時間は、もうすぐ終わりだ]
この空間は、まるで時が止まったみたいに平穏なのよ。
変化も、成長も、時間も、何もかも止まった空間。
望めば何でもたやすく願う――夢の空間。ひょっとしたら、現実寄りも望んでいた生活が出来るのかもしれない。
だけどそれは――ただの夢なの。儚い、何時崩れるとも分からない夢。
どんなに辛くても苦しくても、現実で――私達は戦って行かなくちゃいけないわ。
[ぽんぽんと泣き崩れる彼の肩>>36を叩く。ひょっとしたら彼は付き離されたように思うかもしれない。
でもそれは自分の冷静な心が映し出す紛れもない真実で]
今生の別れじゃない。だって、"私達には未来がある"んだから。
そうでしょう?
[くすりと笑って扉をそっと手で押す。まるで鍵がかかっているなんて嘘のように、扉は抵抗なくゆっくりと開き始める]
(37) 2014/03/29(Sat) 00時頃