>>27
[自身の意思だと、告げる言葉に唇を噛んだ。
苦いものが湧き上がりそれを認めたくなかったのだ、と知る。
戸口へと――こちらへと近づくイアンに目を向ける。
それは、無邪気だと信じていたものに裏切られた、そんな感覚に似て。けれどそんなものは自分の思い込みに過ぎないのだと気づいている。]
――……、
[もう一度はっきりと、思い知らせるように告げられて、
きつく睨む眼差しは、けれどそうしていないと、何かが崩れそうだから。
無邪気に好意を告げた表情が、自嘲に歪むのを見つめている。
好意ゆえに侵される過ちというものを、自分は良く知っていた。
そして告げた言葉の数々、関わろうとしなかった全て、
それらはただ――自身の平穏を求めていただけなのではないか、と。
一度睨んだ眼差しは、昏く沈んでいく]
(34) sen-jyu 2011/08/12(Fri) 23時頃