[ 喉を鳴らすたびに、襟とタイに縛られる不自由さが際立つ。不快だと言っても良い。シロップを拭いがてら緩めるペイズリー柄のタイはいかにも安物で、仕立てが雑なスーツの背にもよれた皺が浮いている上、たった今シャツの襟元にシロップ染みが加算された。
Mr.ブラウンの眉間に刻まれた皺へ視線を流し、「怖気づいたかよ」の一声をかけながら深く椅子に凭れる。自慢の体躯を支える背凭れは、軋んで鈍い音を鳴らした。
その音は、店内に満ちる女の歌声に重なる。
掠れた低音は色気たっぷり。女の中の女、我らがセックスシンボル。彼女の歌は甘党の感性をも満足させる]
このオレが何に嫉妬をするってんだ? オカマ坊や。
砂糖水の小便垂らすようになるには
まだまだ足りてねえよ。――シロップ追加だ、
ラズベリーパイも1ピース
[ しかし味覚はまた別で。ピンクの嫌味を踏み台に砂糖不足を強く感じ、通りがかりのウェイトレスの尻を掴んで追加注文。もちろんひどく冷たい目を向けられた。可愛げのない女だが、尻はでかくて上等だ]
(30) 2016/04/06(Wed) 23時半頃