[真っ先に思いつくのは、もちろんマーティンだ。あの日、あんなところで、ご丁寧にタオルケットまで掛けて眠っていた人物。
眠っていた場所は、ちょうど荒らされていた部分とも一致する。
けれど]
ごほ、そんなことをするような人には……ごほごほっ! ……見えなっくしゅん! ……いのだけれど。
[我ながら酷い。今ならフィリップの兄とも引けをとらない騒がしさだ。
眉を寄せて、少し鼻をすすった。
そう、問題は、マーティンがそんなことをするような人物には見えない、ということだ。
誰かとあそこで争った? 次に浮かんだ考えにも、私は首を横に振る。ふわっと頭から埃が飛んでいって、また溜息を一つ。
あんな、滅多に人が来ない、だからこそ私の愛しているあの場所に、複数人が居合わせて、部屋があんなに荒れるような争いを起こすなんて、どんな確率で起こりうるだろう]
(24) 2015/07/14(Tue) 20時半頃