…――俺をここからだしてよ、チェビィ、
[ さかなはうみでおよぐもの。
いずれ満たされない、とぜんぶをくい潰すことになるのなら。――鱗の肌と擦り付けあったって、混ざり合えるわけもない。
本気で彼>>1:253に縋る気もなく、ただ独り言じみて。手袋を嵌め直しては、身を離して小さく落とした。
冗談、と誤摩化しつつ。まずは地図がいるかと、隔離された白壁を思いながら。はた、と気付いたように。]
……チェビィは、そとに行きたくないの?
[ 言ってから、居住が彼の本意でないなら、酷な問いだったのかもしれないと。男は然程変わらぬ姿で“ここ”にいる。10数年でそうなのだから、見目よりずっと以前から、白亜に囲まれているのだとしたら。
変わらないまま幾度と、いついつも。ここで同胞の、ヒトのひかりが失せるのを見ていたのだろうか。
「うみじゃない」と、“ほんとう”を告げた彼はどんな顔をしていたろう。――しんかい、と。自らを形容して告げたそれを、反芻しては。彼はその色を、……知っている?
そとの、奥のひかりを知っているのなら、朝と夜を知らせるだけのつくられたひかりに。――己なら、耐え切れるだろうか。]
(24) 2015/07/12(Sun) 13時頃