[一歩、また一歩と鬼が近づいてくるのが分かる。
幽霊だというのに重量があるとはこれいかに。そんなことを暢気に思う。
前を向いたまま、後ろは振り返らずに少年の声に応える。]
そうだね。幽霊だなんて熊みたいなもんさね。
ゆっくりと鬼のほうを見ながら後ずさりをしよう。逃げるのは床に入ってからだよ。
[掌にふっと息を吹きかける。
ちょっとしたまじないみたいなもんだ。]
いいや、他の誰かの近くへ行くまでは同じ方向へ逃げよう。追い掛けるほうが直線になれる。分かれりゃ片方は捕まるよ。
[つくづく鬼ごっこってやつは本当に上手くできている。
いつまでも鬼が一緒じゃつまらない。だから、鬼が有利にできている。
だけど、こちらに手が無い訳じゃない。先に逃げるからこそ、道を変えることができる。そうやって丁度平等になるんだ。
それに、もしここが曼珠神社と同じに作られているってなら・・・・・・]
(24) 2016/11/18(Fri) 16時頃