― 少し前・廊下 ―
[>>0:170 此方が手を振れば、相手の方もにこやかな微笑みを返した。
改めて彼のことをよく見れば、あまりこの辺りでは見慣れない顔立ちをしていて、それがイアンの好奇心を僅かにくすぐった。
これだから、一度で良いから雪燕に乗って旅をしてみたかったのだ!
旅費の足らずは実費で払うから、それに道中の思い出でコラムだって何本だって書くから、写真が間に合わないなら伝書鳩だって持って行くから。
お願いだから、スウェルグまでの取材なら雪燕で、と上司に泣き言を言って許可を取った甲斐があった。
普段の生活では、決して出会うはずのない人々、会話することのない人種、決して関わらない職業。
それらと交わることのできるこの雪燕は、未知への探求を好む彼にとって、夢にまで見た列車なのだ。
>>0:163>>0:174シェリーと彼がにこやかに会話するのを眺めながら、彼は一体、どこからやってきたんだろうか。なんて考える。
シェリーと一通り話し終わった様子ならば、少し尋ねてみようか。]
(24) 2015/11/29(Sun) 03時半頃