[考えてみれば、須藤と会話した後から何かが自分の中から変わってしまった。
長らく乾いていた砂漠に水が染み込むような。
使われていなかった回廊に光が差し込んだ時のような。]
………はは、あはは♪
[真墨が、歯を見せて―――笑った。
それは、おそらく目の前にいる神様しか見ていないかもしれないけれど。]
そうだね、ボクは今、楽しいよ。
なんでだか知らないけど、あの女(ひと)と会話をした後から、
楽しくてしょうがない。
[ともすれば、また須藤と会話をしたくなるような衝動を抑えきれない。心が浮ついて―――楽しくてしょうがない。
それを、その心の動きを真墨は自覚した。]
ああ……こんなにコーヒーが美味しいなんて初めてだ。
[そばにいた天使に空のコーヒーカップを預け、赤く毛深い頭を一撫でして。真墨はリビングから自室へ姿を消した。**]
(21) 2014/03/26(Wed) 07時半頃