[幸か不幸か火力不足だったらしいそれは、どうにか木製の扉でも防ぎきる事が出来た。
自らが作り出した扉を背に、猫の熱を感じながら。
そのまま崩れ落ちる様に腰を下ろしたのは、向けられるであろうシャムシールを躱すためで]
……〜〜ッ変な力を使うんじゃあないッ!
[八つ当たりの様にそう叫べば、不便な姿勢のまま踵を打ち鳴らす。
次いで扉が現れるのは、己の足元……では、なくて。
此方へ駆け寄る彼の一歩先へと、扉を作り出す。
流石の彼も、これでは足を止める他無いだろう。
そのまま駆けたのであれば、開いた扉に飲み込まれるだけ。
退いてくれたのなら、また充分な距離が取れるだろうと。
立ち上がる事はしないまま、ついと視線を上げる。
彼がもし勢いのまま扉へと駆け込んだのなら、次に現れるのは薔薇園の中が良いだろうかと、そんな事を考えながら]
(19) 2015/06/29(Mon) 14時頃