[造られた獣人についての物語に、目の前の少女が思いを馳せている事>>1:387に男は気付く事はなく。ただぼんやりと自分の爪を見つめては、癖で鳴らしそうになるのを止める事に注力する。
果たして人は、獣を受け入れる事は出来るのだろうか。
――自分と違う存在に、恐怖を感じずにいられるのだろうか。
獣である自分もまた、人を信じる事など出来ないと言うのに。]
しかし君のサボテンのお陰で、今朝の私のサボテンは実に機嫌が良かった。
君の言う通り、一人が寂しかったのかもしれない。
[そうして少女の言葉に、男は軽く視線を俯かせる。
流れてきたその言葉を頭の中で反芻し、僅かに零した自嘲の笑みは、彼女には見られては居ないと良いのだけれど。]
――……嘘でも、か。
私は君を誤解していたようだ。
…君は決して、"優しくない"。上辺だけの嘘は、時に相手を…深く傷付ける。
[ぼんやりと遠くを見つめるように目を伏せる姿は、果たして彼女にはどう映っただろう。
渡した自分の名を復唱する声に、すぐにそれはなりを潜めはしただろうけれど。]
(17) 2014/10/05(Sun) 03時頃