―― 食堂 → 廊下 ――
[ 同僚と別れてから、男はまたゆらりと影を揺らし歩んだ。食堂を出た付近、音楽室のそこに視線を遣っては離し、彼が居そうな場所へと足を進め。
…――大浴場とプールとは並んで居るが、流石に熱い方は行かないだろう。
干からびてしまいそうだと思いつつ、男は靴音を鳴らす。
動きに合わせて揺れるスータンの裾と上着は妙に重く ―― はて、俺はいつまでこれを着るのか。 など、平生思わないことを思う。……それでも男は、衣を脱ぐことはしないだろうが。
……道中、何気無しに広間に向けた視線が何かを躙っている彼>>4を捉えることがあったならば、「見つけた」と呟いて、そちらへ歩を進ませたことだろう。躙っている先、足元に何が有るのか興味深く見据えながら。
その姿が広間に無く、ただ大理石のみが輝いていれば、真直ぐにプールへ行くことさえ。 ]
(16) 2015/07/10(Fri) 11時半頃