もし、そうなのでしたら……いいえ、そうでなくとも。
僕をお側に置いていただけませんか。
[恋だの会いたかっただのとからかっていた時とは違い、反応を不安げに見る表情に作られたものも妖の雰囲気も無い]
行く宛てが無いのは僕のほうなのです。志乃は目的を持って旅立ちましたが……
あの子が傍らにおらずに、暗闇の外でどう生きればいいのか分かりません。
[目を伏せて]
……思い上がりなのかもしれませんが、華月様には自分と似た所を感じていました。
貴方の屋敷でのあの時間が、愉しく心地良くすらあったのです。今はもう、昔のように嫌ってはおりませぬ。
只、近くで見ていたいのです。貴方を見透かしてみたいのです
……駄目でしょうか。
[語った言葉は全て真実。以前高天原でそうしていたように、嘯き惑わせようとする気にはならなかった。
志乃の手紙を見て、追う代わりに華月に知らせることを考えている自分に気付いてから何かがおかしかった。
今まで感じたことのないような感情に名が付けられずに。今自らは断られることに怯えていることだけは理解していた*]
(16) yami 2013/08/17(Sat) 21時頃