―雨降る森の中で―
おい。少し、左側に寄せてくれ。
[周囲を探っていた鼻が、嗅ぎ馴染んだ臭いを捉え、御者へ指示を飛ばした。
この臭いには、覚えがある。
これまで幾度か、要請で行動を共にしたことがある魔法使いだ。
前方に人影が見えれば>>15、そこすぎた辺りで止めてもらえるよう指示をして]
おい! お前! 私だ! また会ったな。
[魔物との警戒をされている……とまで推測できたわけではなかったが。
進行方向の幌から顔を出して、呼びかけた。
案の定、コリーン・ロックハート。少なくとも、彼女の臭いは嫌ってはいない。
馬車が速度を緩めてから。びしょ濡れたその有りように、幾度か目をしばたかせ]
……なぜ、そんな寒そうな格好>>11をしている。
まぁ、別に私は構わないんだが。
目的地は同じなはずだが……乗る、か。
(16) 2013/06/09(Sun) 22時頃