[耳はしっかり、パトリシアの声を捕えている。
彼女は賢く、そして生汚い死人だ。
その知恵を拝借するに越したことはなく、「飽きたら捨てる」は誰のことを指しているかは明白だった。
それは、せめてこの場を乗り切れば、性奴としてでなく別の面で役立てるかも知れないと、甘い甘い少女の展望を打ち壊す。]
僕が、No.1の代わりなんだって。
ええと、どうすればいいのかな。
[ずらり並べられた器具も、さっぱり使い方が分からない。
教えて、と助けを求める視線をパトリシアへ。]
折角だから、一緒にしようよ。
僕も、悦ばせ方を、覚えな……きゃ……。
[僅か残る躊いで、語尾が擦れる。
こくり、唾液を嚥下する音がいやにクリアに頭に響いた。
本当にそれでもいいのか?
自尊心が、少女の中で人生の全てを賭けて培われてきたプライドが、きりきりと悲鳴をあげている。]
(8) 2010/04/10(Sat) 01時半頃