『…本田さんは。』
[こちらに質問を向けられれば>>0、不細工なうさぎを抱えなおして一つ一つ答えを返す。]
普通の、高校生してたよ。
毎日学校行って。授業受けて、お弁当食べて。
また授業受けて、放課後は、ファミレスとか、甲斐田くんのお店とか。
友達とだらだらだべったりするんだけど。
[ここに来て、あっさりと消えてしまった日常。そこにいた顔が、声が、ちょっとだけ、懐かしいかもしれない。]
あたしね、ミルとか、ミルフィとか、呼ばれてたの。
美千代って名前、イマドキちょっと古いのかもね。可愛いあだ名、つけてあげる、だって。
[その声には、少しだけ、不満そうな色が混ざっていたかもしれない。あたしは、あたしの名前が好きだったから。]
美千代ってね、ずーっとずっと、美しくあれ、って、かあさんが付けてくれた名前なの。
美しく、っていうのはね、心身ともに健康で、まっすぐであること、なんだって。
[かあさんがつけてくれた、大切な大切な名前。そこに込められた思いが、願いが、とてもとても、やさしくて…あたしはふふ、と小さく笑った。]
(5) 2014/03/25(Tue) 10時半頃