[いつまでそうして彼女の傍で蹲って泣いていたか分からない。
何時の間にか監視役が部屋に入ってきていたようだが、男は全くそのことになど気にも留めず彼女の身体を掻き抱いていた。
頭を抱え、何度も何度もその絹のような髪を手で梳きながら、キャサリン。キャサリン。と呼びかける。
柔らかく、薔薇色だった唇は、今では冷たく紫色に変わってしまって、もうその可憐な声が己の名前を呼ぶことはない]
……?
[暫くして彼女のあらぬ方向へ向こうとする首に、いつかプレゼントしたネックレスが絡まってるのが見えて。
男はそれを取り外すと、己の首に付け直した。
中心で揺れる水晶は、すでに光を失っていたけれど]
キャサリン、いいかい?
[優しく声をかけて、その身体を横抱きに抱きあげる。そのままゆっくりベッドの上に下ろし、シーツを掛け直して]
じゃあ僕、ちょっといってくるね?
大丈夫、すぐ逢えるから。
[にっこりと微笑んで彼女の自宅を後にした]
(4) 2013/09/01(Sun) 02時半頃