[分館に迎えに行くと意気込んだはいいものの]
しっかし分館なんてなァ。そもそもどこにあンだよ。
[館内地図を自主的に見るのは初めてだろうか。たいていゾーイに見せてもらっていた気がする]
……あった。
[それはそうだ。分館なのだから。旅館の一部施設なのである。館内地図の隅の方に分館へ、という小さな文字が書いてあった。つくづく探偵には向いていないと思う]
さて、迎えに行くか、お姫様を。
[階段を上りきったころ、ゾーイとすれ違った。後ろで聞こえるたぶん、ざわめき]
なンだよ、来るんなら連れてってくれたっていいじゃねェの。
[少し息を切らしながらそう軽くいうだけ言って分館の中へ。
ヨーランダはどこにいただろうか。
その姿を見つければ、きっと一発拳骨をお見舞いしてからぎゅっと抱きしめて]
俺の前からいなくなるんじゃねェよ、馬鹿。
(2) zunpo 2011/07/06(Wed) 01時頃