……とてもじゃないが、褒められている様には思えんな。
[しかもその美徳とやらのせいでこんな目に遭ったのであれば、そんなもの、微塵も良いものだとは思えない。
怒りと理解出来ないものへの戸惑いに満ちた頭では、微かに洩れた羨望に気付く事も出来なかった。――そもそも、気付いた所で何が変わるわけでもないのだろうけれど。
手当が終わったと告げられれば、振り払う様に手を引き寄せる。これ以上触れ合っていたら、頭がおかしくなりそうだった]
嫌だと言ったら止めるのかよ。
[先は無断で吸った癖に、今になって確認してくる彼がおかしくて、小馬鹿にした様に笑った。
向けられた箱には、暫し逡巡して。結局眉を寄せたまま、それに手を伸ばす。自分が吸っていないのに、相手に吸われるというのは気に食わない。ただそんな感情でもって。
礼も何も言わないままそれを咥えて、自分のマッチで火をつける。一口吸えば、それだけで喉の痛みに小さく咳き込んだ]
……まずい、
[誤魔化す様に呟いて、吸いかけの煙草を突っ返す。
もし拒絶されたとしても、そのままその手を下げようとはしないだろう]
(+71) 2014/07/04(Fri) 19時頃