じゃあ、僕が受けたのと同じ仕打ちを、舞台で受けてくるといいよ。
僕がここで、ちゃあんと見ていてあげるから。
[いっそ凄絶に凍りついた笑みを浮かべる。
巫山戯ている。悔しさで噛んだ唇からまた紅が滲んだ。
簡単に言われたくなかった。あそこを堪え抜いたことを。
それより辛いことを少女は未だ知らないし、この先知りたくもない。]
僕に大事なことを教えてくれたのは、パトリシアだ。
「ご主人様」からの有難い言葉は、僕には欺瞞に聞こえるね。
[主人の自覚があるのだろうかと、やや猜疑心で訝る様子に変わる。何が彼女をここまで変えてしまったのか。それは――利用できるものかも知れない、と算段しながら。]
僕がどんな想いだったかなんて、
簡単に知った風な口を利かないで。
[未だ温もりの失せない繋いでいた手が、ステッキを緊く緊く握り締めた。]
(+45) 2010/04/12(Mon) 03時頃