[無理矢理目線を合わされて、鈍く呻き声をあげる。けれどそれに抗議する間も無く、続いた言葉に目を見開いた。
だ、男色家?
震えるままの声で聞き返す間にも、頭の中に一人の男が思い浮かべられる。
『ディンさんの事ホモだったって言うからね』と。そんな事をのたまっていた輩が、確かに一人居た筈だ。
――あの猫耳は、本当に碌な事をしない。次に会ったら殴る。絶対に殴る。手紙の返事なんて、出してやるものか]
……す、少しばかり、冗談が過ぎるんじゃあないか。
[ポツリと落とした言葉は、目の前の彼に対してか、猫耳の青年に対してか。自分でもよく分からなかったけれど、困惑と苛立ち、そのどちらもが含まれているという事は明白だった]
やめろ!
クソ、普通そんな噂を信じるか!?
――嘘だろ、勘弁してくれ……。
[畳み掛ける様に知らさせる向こうの様子を、混乱した頭では疑う事なんて出来なくて。今こんな事を言ったって無意味だと分かっているのに、叫ばずにはいられない]
(+39) 2014/07/02(Wed) 20時頃