人狼議事


186 夏なんです【Sheeps' monologue project】

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【人】 薬屋 サイラス

[畦道を抜けた先、古びた家屋に、『斎木商店』と看板が掲げられている。]

「じゃ、また明日」

『おう、またな』

[小さな商店の入り口へと、少年は姿を消す。]

『花火、確保しといてくれよ!』

[追いかける声に振り返ることはない。
少女はその背が見えなくなるまで手を振る。]

(10) 2014/07/23(Wed) 20時頃

【人】 薬屋 サイラス


『夏目、置いてくぞ』

[影が、今度は少女を呼ぶ。
慌てた様子で、少女は影の集団へと溶けこんでいく。]

(11) 2014/07/23(Wed) 20時頃

【人】 薬屋 サイラス

<あなたを見ている>

『じゃ、また明日』

<暗闇へと溶けこむように、あなたは消えてゆく>
<その姿を、最後まで、丁寧に見届ける>
<わたしの瞳がそうしてあなただけを、ただ、毎日、>

<きっと、あなたは知らない>

(12) 2014/07/23(Wed) 20時半頃

【人】 薬屋 サイラス

<暗転>

(13) 2014/07/23(Wed) 20時半頃

【人】 薬屋 サイラス

[夕暮れの教室。]

[真っ赤な夕日が室内を刺す。
カーテンを揺らす風が、少しの涼やかさを与える。
制服姿の少年と少女が、ふたりきり。]

大学には行かないの?

[椅子に腰掛けたまま、澄んだ声で少女は尋ねる。]

「ああ、行かない」

[少年の返答に、少女は(そっか)と呟いて、それ以上何も言わない。]

(14) 2014/07/23(Wed) 21時半頃

【人】 薬屋 サイラス

「俺が大学に行ったとして、4年だろ。親父、もたねえよ」

[少年の父親が身体を悪くしたのだと、狭い世界の人間は皆知っていた。]

「店、潰すのもさ」

[そして、口を噤んだ少年と、目を合わさないままに少女は言う。]

うん。

[それ以上、何も言えない。]

(15) 2014/07/23(Wed) 21時半頃

【人】 薬屋 サイラス

「夏目は?トーキョー行くんだろ?」

[シンボリック・トーキョー。
現実感を伴わない言葉は宙に浮く。]

うん、看護婦になるの。

「そっか」

[会話は続かない。]

「夏目、二人でいると結構しゃべるのにな」

(21) 2014/07/23(Wed) 23時半頃

【人】 薬屋 サイラス

<あなたを見ている>

『夏目、二人でいると結構しゃべるのにな』

<そんなことないよ、という言葉は声にならない>
<もっともっと、話したいことならある>
<けど、あなたが言っているのはそういうことじゃなくて、>

<滅多に口を利かないわたしが、変わっていると言われること>
<その評価が妥当だってことも、わたしが一番知っている>

<それでも、>

(22) 2014/07/23(Wed) 23時半頃

【人】 薬屋 サイラス

「帰るか」

[少年が立ち上がる。少女も黙ってそれに続く。
二人は揃って校舎を後にする。]

(23) 2014/07/23(Wed) 23時半頃

【人】 薬屋 サイラス

[申し訳程度に舗装されたアスファルト。
道の脇、真っ直ぐと日に向かって咲く向日葵>>0:29が、赤い日の中で揺れる。
咲き誇るそれらの中、くたりと下を向いた一輪だけがしょげて見える。]

――き?

[少女が少年に駆け寄って、囁く。
少年はきょとんとした表情を浮かべた後、ゆっくりと頭を振った。」

(24) 2014/07/23(Wed) 23時半頃

【人】 薬屋 サイラス

<あなたを見ている>

<ふわり、風に揺れる向日葵を、あなたは見つめていた>

――向日葵、すき?

<それは、ほんの好奇心>
<あなたは、唐突な質問に少し固まって、そして首を横に振った>

『いいや、別に』

<答えは、それだけ>
<お伽話や文学のように、そこに深い意味なんて>
<結局のところ、ありはしない>

(25) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス

[再び、商店の前。]

「気を付けて帰れよ」

[少年は薄暗い家屋の奥へと吸い込まれていく。
少女は、その背が見えなくなるまで手を振る。]

(26) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス

<暗転>

(27) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス

[だだっ広い広場。あるいは、グラウンド。]

『おせーぞ、夏目』

[影が発した声に、少女は息を切らして笑んだ。]

『もう始めちまってるぞ、ほら、夏目も』

[別の影が差し出した花火を手に取りながら、少女の視線は泳いでいる。]

(28) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス


「ああ、」

[そして、一点で止まる。]

「遅かったな」

[斎木くん、と少女は笑んだが、その声は荒く吐く息にまじって消えた。]

(29) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス

<暗転>

(30) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス

[寂れた駅のホーム。]

さよなら。

[少女は笑む。少年は荒く息を吐きながら、それでも尋ねる。]

「なんで、こんな時期に」

[色々、と少女は笑みを崩さない。]

さよなら。

[もう一度言って、少女は扉の向こうへ消えた。]

(31) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【赤】 薬屋 サイラス

<あなたを見ていた>

『なんで、こんな時期に』

<あなたは焦ったような表情でそう言う>
<わたしは答えない>
<答えるけれど、何も、ほんとうを告げることはない>

さよなら。

<それで充分だった>
<扉の向こう、あなたが呆然とした表情で、>
<まだ、よく分かってないって顔で、>

(*0) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【赤】 薬屋 サイラス

<わたしを見ていた>

(*1) 2014/07/24(Thu) 00時頃

【人】 薬屋 サイラス

<あなたはもう見えない>

(34) 2014/07/24(Thu) 00時頃

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