158 雪の夜に
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ありえないこと、 そうね、何かわかったら教えるわ。
[不確かな憶測と、 ――人狼を暴く術と]
そういえば、 まだ、聞いていなかったわね。
あなたがどこから来て、どこへ行くのか。 ……昔話は、寝物語の方がいいかしら?
[教会へいたる雪道、 眼下に静かな海を見やりながら囁きを]
(*20) 2013/12/22(Sun) 17時半頃
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そうそれ。
[こんなやり取りでさえ――]
……どうだろうな。まぁ、気持ち良いけど。
人間も野山に入って猟をするけど、 あんたはそういうのもやった事なさそうだしなぁ。
[箱入りの、いかにも良い所のご婦人といった風情の女だ。
今、囁き交わす声が少し浮き立っているようなのが、 記憶と少しだけ違う。]
ん、あぁ。気になるっつってたっけ。 そんな大した話じゃねぇし―― っと。
[急に荷物を振られた旅人はそちらに意識を向けつつも]
別に、いつでも良いぜ。
(*21) 2013/12/22(Sun) 18時頃
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[そうして、旅人はぽつぽつと話し始めた。 自分がどこから来たのか。]
元は行商の……と言うか、 それに扮した移動性の群れの生まれでな。
うんと小さい頃は母体の事があるから、 確か、少しの間は定住してたと思うけど。
ほとんどずっと、今みたいな暮らしだったな。
[旅が塒とは、よく言ったものだろう。]
(*22) 2013/12/22(Sun) 18時半頃
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……猟はしたことないけれど、 こう見えて、山歩きは得意だったわ。
[ほんの少しすねたように口にするのは、 まだ少女と呼べる年の頃の昔の話だ]
あら、そう? いつでもいいなんて……、 少しくらい焦らしてくれても、いいのよ。
[そんな無邪気だった面影はもうない、 頼る者も無いまま、一人故郷を離れなければならなかった。
利用できるものは利用した、 結果、悪女と呼ばれたけれど、 後悔も懺悔もない、少しばかりの憐憫があるだけ]
(*23) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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群れというのは……、 家族のようなものかしらね。
[行商というのは理に適っている。 人を襲う以上ひとところに留まり続けるのは危険だ。 それはよく知っている、その結果を見たのだから]
――そう、 その口ぶりでは、故郷の記憶はないの? ご両親とか、兄弟とか。
……会いたい誰か、とか。
[ぽつりぽつりと、途切れるような囁き]
(*24) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[あの男が警告した人狼なる存在が己でない別人だとしたら。]
(*25) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[己は同族喰いの嗜好を持たない。
よって、妨害が入った際など、いくつかの例外はあるものの、 極論、"喰おうとして喰えなかった奴"が、 話しかけて来ない同族であるとは言える。]
(*26) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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へぇ? 意外だな。
[あるいは、例え良家の令嬢というやつであっても、 誰しも幼い頃はお転婆な少女だったのかも知れない。]
そうだな、人間で言う所の家族か、集落か。
……故郷の土地っていうのはなかったけど、 小さい頃に住んでた所は、暖かかったな。 多分、春だったんだと思う。
[両親、兄弟、その言葉に左手をポケットに突っ込む。]
(*27) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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――
[子供が少し口をとがらせたような、 何故か決まり悪そうな小声が零れた。]
……狩りも出来ねー位よぼよぼの爺さんになったら、また来る。
つった所なら、あるけど。
(*28) 2013/12/22(Sun) 22時頃
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[拗ねたような口ぶりが、 かわいらしいと言ったら彼は不本意だろうから、 零れたのは小さな忍び笑いだけ]
そう、故郷の土地はなくても。
あなたには、 ……ちゃんと帰る場所があるのね。
(*29) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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……多分、そういうんじゃねぇよ。
[人の間で人を喰い殺す狼が、 そんなに長くを生きられるとも思っていないし、]
そいつらの仲間になれる訳じゃないしな。
[きっとそれは叶える心算のない約束なのだ。]
旅から旅への根無し草だよ、俺は。
(*30) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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いいじゃないの。
いつか帰るかもしれない、 そんな場所があると思うくらいは、きっと
……生きる理由に、なるでしょう?
[それは酷く人間らしい思考だと己自身そう思った]
(*31) 2013/12/22(Sun) 23時頃
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生きるのに理由が必要か?
[解らない、と言いたげに声は囁いた。]
……しかもそれだと、まるであんたの方が、 帰る場所がないみたいに聞こえるぜ。
[都の方で、絵なんかを売り買いする商売だと聞いていた。 そちらは帰るべき場所ではないのだろうか。]
(*32) 2013/12/23(Mon) 00時半頃
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[単純な答えは予期されたもの、 けれどそれは、今は好ましいものだ]
……そうね、
[そしてゆるやかな肯定]
優しい人を大事にしなかったから、 きっと罰があたったのね。
[珍しく自嘲のようなものが溢れて]
(*33) 2013/12/23(Mon) 01時頃
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つまらないことを聞かせたわね、
ごめんなさい。
(*34) 2013/12/23(Mon) 01時頃
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……ふうん。
[返す相槌は、少し気のないものになった。 人間にとっての、その罰が当たる、という感覚も、 あまり実感が伴わない、知識の上の言葉だ。]
[ただ、血が薄れて人間になってしまったのに、 こうして声だけがする女の性質は、やはり、 己の目からは中途半端なものに思えて―― 生きにくいだろうな、と思ってしまう。]
(*35) 2013/12/23(Mon) 01時頃
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……こういう時に、 慰めの言葉のひとつでもさらりと言えると、 もてるのよ?
[返る相槌にそんなことを言ったのは、 あまり引きずりたくない感情だったせいだ]
それに私の話より、 あなたのこと、でしょう?
[そんな一言も添えて*]
(*36) 2013/12/23(Mon) 01時半頃
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そりゃぁ、失礼?
[冗談めかして言われる"もてる"との弁も、 女と己では意味合いが変わってしまうのだが。
とは言え、そうした文句が使える価値はあるだろうから、 次からは何か考えておこう、と思う程度]
つっても、あぁ……どこまで話したっけ。 ほとんど話は終わったみたいなもんだしなぁ。
[生まれた群れについて。 そして、いつか再び訪れるかも知れない先について。]
別に、先なんて決まってないしな。 どこまでだって行くし――どこに着く事もない。
[終着がある旅ではない。狩り場を求めて流れるだけだ。]
(*37) 2013/12/23(Mon) 02時頃
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……意外と、人狼の仕業ってのは信憑性ないみたいだな。 この分なら俺、必要な食事の分だけで良いのかね。
[他の獣が血の匂いに誘われなければだが。]
お上が人狼の仕業って言ったらまた変わるだろうけどな。 あの男の言う事を本気にしそうな人間、他にいるかな……
(*38) 2013/12/23(Mon) 14時半頃
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……私の弟はね、 この町の教会の司祭様に、 正体を暴かれたのよ。
[ぽつりと零して]
……知らせは聞いた? しばらくはこの町を離れるのは難しそうね。
(*39) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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あぁ、こっちも聞いた。
[予想の範囲内ではあるので、そちらは殊更驚かないが。]
そっか。
そんな事があっても、この町に来るんだな。
[彼女にとっては予定外の寄港だったのかも知れない、が、 その事は己には解らない。
何の為にか。 例えば故郷は、ただ故郷というだけで訪れる価値があるのか。 あるいは――生きる意味に関わるのか。]
(*40) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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……この町に来たのは、ただの偶然だわ。 乗るはずだった船に事故があっただけ。
あなたはでも、 私があの船に乗っていて有難かったでしょう? メイドの客室もあけてあげたのだし。
(*41) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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まあな。
[メイド用とは言え良い部屋だった。 あんまり良い部屋過ぎて居慣れなかった結果、 ほっつき歩いてホレーショーのような 船乗りの知己が出来た訳だけれど、そこはそれだ。
寝心地は良かったです。]
(*42) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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……――どうした?
(*43) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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……昔の知り合いに会っただけよ。 でも、私がわからなかったみたい。
(*44) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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私は人狼ではないから、 あの子の身代わりにもなれなかったのに。
こんなことで、 人間でもないなんて思い知らされるなんて、 ………馬鹿ね。
[震えるような声音の囁き]
(*45) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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へぇ。あの爺さんが。
[己の事を、子か孫のような歳と言う位だから、 確かに、老人と知り合いであっても不思議はない。]
[そして人狼は、]
――それは、本当に解らなかったのか?
[あくまで人狼。]
見えない所で密告する可能性があるんじゃないのか。
(*46) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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嘘をつけるような人じゃ、ないの。 それに、私は……別にいいのよ。
ただ、あなたの無事は祈っているわ。
(*47) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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……。
なら、良いけどな。
気をつけな。
(*48) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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方法が、ない訳じゃあないけどな。
(*49) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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