88 吸血鬼の城 殲滅篇
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ああ――――――
やっぱし、ますますいい女になってやがる。
(*0) 2012/04/29(Sun) 00時半頃
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― 地下墓地 ―
[深い闇の中で、闇の髄が揺れる。
意志持つ闇。形ある影。 それが、今の彼の本体だった。]
―――にしても、無粋な野郎どもだ。 淑女への礼儀というやつを教えてやれよ、クレア。
[届かぬ言葉を紡いで、闇が嗤う。]
(*1) 2012/04/29(Sun) 00時半頃
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――― は。 少しはやるじゃねぇか。人間風情が。
[地の底で揺れる闇には、笑みの気配。]
(*2) 2012/04/29(Sun) 01時半頃
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なに。 あれが人間に遅れをとるとも思わんが、 ―――サービスってやつだ。
[地の底で闇が嗤う。]
(*3) 2012/04/29(Sun) 01時半頃
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[眷属の血は甘美な滋味。 吸血鬼の間で禁忌とされていようとも その誘惑に屈するものもいる。
ましてや今は体持たぬ身。 注がれた滋味を、闇は貪欲に飲み干した。
城に零れた血は床に吸い込まれ、 吸い寄せられるように地下の墓地へと集まる。 血を注がれた闇は赤く染まり、 いっそうの存在感を増して濃くたゆたった。]
(*4) 2012/04/29(Sun) 14時半頃
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( さて。
オレの可愛い”娘”に傷をつけたのは、どいつだ? )
[残虐な衝動に、思念が歪む。]
(*5) 2012/04/29(Sun) 17時頃
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[一度倒され、封印されて、力は随分と弱まっていた。
切り離した分身に力を送ろうとしても、 僅かばかりにしかならない。
いますこし、時間が必要だった。 完全に蘇るために。力を取り戻すために。]
(*6) 2012/04/29(Sun) 17時半頃
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( オレが顔を見るまで、死ぬんじゃねぇぞ )
[囁きながら、側にいることもせず、 娘が零した血を吸って力を得ている、矛盾。
それは、自分が蘇りさえすればどうとでもなるという 自負の裏返し。
満ちゆく力は今にも溢れそうに、地下の岩壁を揺らしている。]
(*7) 2012/04/29(Sun) 17時半頃
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ああ。
[思念が、城をなおも黒く染めていく]
オレの可愛いシェリを殺したおまえたちを、 ただで死なせてやるってのは、もったいないよなぁ?
(*8) 2012/04/29(Sun) 22時半頃
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遊んでやるさ。
気の済むまで、たっぷりと。
泣き喚いて這い蹲って許しを請うまで、
ここに来たことを、永劫に後悔するように、
たぁっぷりとな。
(*9) 2012/04/29(Sun) 22時半頃
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おれの"娘"を殺した男。
[黒い力が、身体の中で水位を増す。 あのクロスボウから放たれた杭が、娘を貫いた。 そのさまが、未だ視界から消えぬ。]
あれが、殺せなかった男。 ああ、そうか。そうだな。
あいつには、相応しい行く末を与えてやるとしようか。
(*10) 2012/04/29(Sun) 23時頃
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ああ、そうだな。 あいつとの約束、守ってやれなかったな。
[名を呼べば、力を送ると約束したものの、 最後のときに側にいることさえしなかった。
自覚は、じわりと心を蝕む。]
(*11) 2012/04/29(Sun) 23時半頃
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それもこれも、オレを封印した人間共と、 あれを殺したこいつらのせいだな。
[歪んだ自我に方向を与えて、牙を噛む。]
だから。
報いを。
[表には出されぬ、苦く熱い意志。]
(*12) 2012/04/29(Sun) 23時半頃
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だいたい、人間どもは一人ずつ恐怖に落としこんでから 喰らったほうがうまいからな。
[考えた拍子に空腹を思い出して、 ひそかに眉を下げる。]
――― あー。 腹減った。
[呟きを声に漏らすようなヘマは、さすがにしなかった。]
(*13) 2012/04/30(Mon) 00時頃
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