301 十一月うさぎのないしょ話
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[乙坂>>86が戻ってくる頃には動揺を鎮め、口元を覆っていた手はお行儀良く膝の上。眼前のカキカレーを見つめる目は揺れることなくまっすぐだ。 唯一、普段晒されることのない耳の先だけが、ほんのりと赤みと熱を残している。]
スープカレーってご飯別々ですしね。 思ってたカレーと違ったけど、 この見た目はやっぱり馴染みがあります。 予想は裏切られたけど、期待は裏切らないというか。
[スプーンに伸びる手は心なしかうきうきと、絶妙なとろみのついたルーが身体の内を流れる感覚に閉じた目元が和らいだ。 常々カレーは飲み物だと思っていたが、これは本当に噛む必要がない。 しっかり煮込まれた材料の旨味だけが凝縮したルーと共に、ほんのり甘いライスとぷりんっとした牡蠣の食感を楽しんだ。]
(97) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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……。
[一口目を食べ終え、そっと閉じた瞼を持ち上げる。 カウンターの向こう、確認を終えたのであろう、視線の外れた姿>>87を見つめた。 こちらが調理する手元を眺めるのと同じ、ここの人たちは皆、食べる様子を確かめる。 少し恥ずかしいけれど、それでこの美味しさが、幸せな気持ちが伝わるなら。そう思って、いつも喜びを隠すことなく味わっている――の、だが。]
〜〜っ、
[いつもと、全然違った。 忙しない心臓の音に先程よりも強く目を閉じる。 瞼の裏に、あの笑顔>>56が浮かんだ。
頑張ったことが、彼の挑戦する理由になって嬉しかった。 食べたいと願った料理で、喜んでくれるのも嬉しかった。
元気になる為に訪れるお店。 こちらが貰ってばかりだと思っていたのに、喜ぶ姿を、笑顔を、また見たいと思ってしまう。 自覚すれば、見慣れた黒にすら鼓動が跳ねるのが分かった。]
(98) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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……あま。
[カレーに混じる、数年来の甘酸っぱさ。3割減の鎧は、頬の赤みを当然のように表へ滲ませる。 熱を逃すように小さく息を吐いて、スプーンから手を離した。
食事が喉を通らない。味が分からない。 ……なんて話とは無縁なようで、最後までずっと食べられると思いながら浅漬けまで完食したし、食後の余韻まで抜かりなく美味しかった。 手を合わせる。第一戦、ごちそうさまでした。*]
(99) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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/* 胃袋を掴まれた的な
(-68) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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― 再び扉が開いて ―
芙蓉さん、おかえりなさい。 大丈夫でしたか?
[芙蓉が戻ってきたのはどれくらい経ってからだろうか。暖かくして欲しい旨を伝えながら、安堵の息を零す。 彼女と共に扉をくぐった見覚えのある姿>>95に笑みを浮かべた。]
はい、”また”があって光栄です。 これで三度目ですね。
[有馬に会釈をして、彼がもう一人へ話しかけると、視線は自然と女の子の方へ。]
お知り合いなんですか? 私の知る限りだと、お二人は二度目……かな。 私が彼女と二度目だから当然でした。
あ、私、桐野江といいます。 店員さんじゃない私が言うのもなんだけど、 落ち着くまでゆっくりしてね。
(100) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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[2人の顔を見比べながら、記憶を手繰り寄せるように天井のランプを眺めた。 思い出したような自己紹介は女の子へ。カコちゃんやお姉さんと紹介>>89してもらってはいたが、改めて。]
お酒はそうですね、嗜む程度に。 ……じゃあ、お言葉に甘えて一杯だけ。 ありがとうございます。
[仕事柄、打ち上げも多い。多少は飲み慣れているつもりだ。 しかし見た目の印象に比べたらそう強くもない。 文字通り、嗜む程度に。 有馬>>96に頷いて、軽いものをと注文した。 女の子は大丈夫だろうか。様子を窺っている。*]
(101) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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/* 伸びないな
(-69) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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― それから暫くして ―
……どういうわけで?
[手元にはグラス、隣には有馬>>94。 鋭い蒼にそぐわない気の抜けた返事をしてしまい、軽く咳払いをする。]
ごめんなさい。 先約が、ありますので。
[アルコール滲むダークブラウンを細め、答えは簡潔に。]
……内緒ですよ?
[人差し指を自身の唇に寄せ、口角をゆったりと持ち上げた。**]
(102) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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――店内へ――
はーー、寒かった!
[戻るなり開口一番外気への文句。 店内は空調も効いているし、一馬の機転もあって暖かかった。 何ならもう出たくなくなるが、現状そうも言っていられない。 店が忙しくて回らないならまだしも、そうでないうちは警戒していたかった。]
(103) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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[上着を取りにバックヤードに向かう頃には、追って有馬さんも来た頃だろう。 桐野江さんの隣に座って、真っ向口説きにかかるのが聞こえれば>>94。]
……もう。 さっき私を美人と言った口でそういうことされるんです?
いけず。
[拗ねた調子で口を挟んだ。 酔った調子の軽口としても、空気が軽いほうがいいじゃない。]
(104) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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啓明結社 カコは、メモを貼った。
2019/11/28(Thu) 19時半頃
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振られたか……残念だ。
[ダークブラウンを射抜いていたはずのブルーの瞳はいつの間にかその鋭さの欠片も失われていた。 キリノエを真似て同じ様に唇に指を当てる。]
いい女にはいつだって先約があるもんだ。
[そっと声を潜めて言うと立ち上がって声を張った。]
オトサカ! スレッジハンマーをもう一つだ! ライムは添えるだけでいい。
[失恋の傷はアルコールで消毒するもんだ。 なんて冗談を口にしながらケロリとさた顔でオーダーを届けた。]*
(105) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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/* いけずっていう店長が無限にかわいい……。
(-70) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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/* 時系列を前後させただけで。
(-71) 2019/11/28(Thu) 19時半頃
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/* 返信早い! 店長のも有馬さんのも後で反応させてくださいね……!
(-72) 2019/11/28(Thu) 20時頃
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/* 村建てさん、ログ読み不得意か。
(-73) 2019/11/28(Thu) 20時頃
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[身体も温まりきらないし、不審者探しは一時中断しよう。 まだ羽織っていない上着を、空いた席の背にかけ。]
スレッジハンマー。 私がシェイカーを振ったら、今日は私に酔ってくださいます?
[これでも、店員が増えるまではホールに立っていたし、カウンターでシェイカーを振っていた。 昔とった杵柄――なんてほど古くもない記憶を思い起こしながら、手とライムを洗う*]
(106) 2019/11/28(Thu) 20時頃
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/* ひーかわいい
(-74) 2019/11/28(Thu) 20時頃
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/* 昨晩自分が発した彼とカレーという渾身のギャグを改めてくらうなどしました。
乙坂さんが違うなら落ち争奪戦になってしまうんですが、挙手する腕を止められませんでした。 たぶん、だいじょう、ぶ!
(-75) 2019/11/28(Thu) 20時頃
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/* 伶奈ちゃんが未成年なことを言い添えたいのだけど、伶奈ちゃんと有馬さんのファーストコンタクト(ファーストではない)のおいしさが薄れるから……言えない……!!
(-76) 2019/11/28(Thu) 20時頃
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/* まあ。 多少の齟齬は気にしない。 大して重要ではないし。
(-77) 2019/11/28(Thu) 20時半頃
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あーそれ良いな、「予想は裏切られたけど、期待は裏切らない」っての。 まさに俺が目指したいとこ。 俺を喜ばせるのが上手いなぁホント。
[>>97淀みなく美しい所作で口元に運ばれるスプーンを、羨ましいと一瞬思ってしまった。 変態かもしれない。 邪な想いに気づかれないようにそっと外した視線の先に赤く染まる耳。 スパイスで体温が上がったのだろうと、特に疑問には思わないまま。
カコの言葉選びのセンスは前々から素晴らしいと思っていたけれど。 「口が上手い」という慣用句は適切ではない気がしていた。
彼女の言葉に、料理を食べる姿に、己を喜ばせる要素が詰まっているような、感覚。]
(107) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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[甘い? いや、チャツネは入れていないから、甘いとしたらカキの身か?と呟きを捉えたところでドアが開く。>>103 バックヤードに向かうところを見ると、不審者はまだ見つかっていないようだ。]
店長、湯沸いてるから一回お茶飲んでからの方が――
って、 有馬さん。 ……いらっしゃいませ。
[上着を手に戻った店長に声をかけたところで来店者。>>95 前回の来店時、後輩を落ち込ませた「誉め言葉」を言ったのは多分彼だろうと思いつつも、にこやかに顔見知りの客の隣に腰を落ち着けてブラックボードの存在をガン無視した注文をつけるあたり、「いつも通り」の印象だ。>>96 有馬にとっては自分の言葉がどういう影響を与えたのか深く考える必要のないことだったのかもしれない。 ままならないものだと思いながらも、己に求められた「店員」としての職務を全うしようと了承を告げる。
カクテルは店長の得意とするところだったので、出ようとするのを引き留める口実に使おうか。>>106]
(108) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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[ミックスナッツを袋から取り出しフライパンにあける。 乾煎りして少し香ばしい香りが立ったところでメープルシロップをとろりと回しかけ、塩を振った。 後は下に保冷剤を敷いたバットの上で冷まし、コーティングされていないピスタチオと共に盛って出すだけの簡単なつまみだ。 メープルシロップは、絡めたらすぐに火から下ろし――――]
っやば、
[危うく焦がすところだった。 すぐそこで、まだ外の冷えも残っているような時間しか経過していないのに、あからさまな「誘い」が有馬の口から発せられたから。>>94 手元が止まる。背中が強張る。
店長が普段聞かないような声色で空気を緩ませてくれなければ、本当に焦がしていたかもしれない。>>104
「駄目だ」と強引に二人の間に割って入る資格は、単なる店員の己にはない。 その遣り取りに、己が介在する理由はない。
握る拳に血管が浮く。]
(109) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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[カコはどんな表情でその誘いを捉えるのだろう。 振り返ることが出来ないままその返事を待つ。
彼女が出した答えは――とてもシンプルで相手の尊厳を傷つけない言葉。>>102
たとえ内緒の音量でも、聞き耳を立てた男の聴力を舐めてはいけない。
ふーっと長く溜息を吐いた。]
(110) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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お待たせしました、メープルソルトナッツです。 スレッジハンマーは店長が。
[皿を出した手でカコの前の空いた皿を下げる。 彼女のグラスに入っている酒は何だろう。 此方も店長が出した筈だけれど。]
(111) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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……待ち合わせがあるんだったっけ?
[先だっての軽口のような会話を有馬は聞いていないから。 角の立たない断り文句を裏付けるように質問するそれに自惚れが混じるのを知るのは、己と。]
閉店まであと1時間ちょっとか……
[決して有馬のように美しい宝石のような色をしている訳ではない瞳に映る、彼女と。*]
(112) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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いいねぇ。
ここに───
[中指で自分の胸の中心をトントンと叩く。 もちろん胸ではない。]
ガツンと来るなら。
[まさにスレッジハンマーでの一撃のように。 自分から攻める方だが女に誘われるのも悪くない。悪くないどころかいい女に誘われて心が踊らない奴は男じゃない。]*
(113) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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[そんなことを言いながら、手元のナッツをいくつか取って口に放り込む。 甘いメープルシロップの香。 それに混ざるのは───
眉をひそめるどころか口の端を上げて薄く小さく笑みが浮かんだ。]
オトサカ。 ……修行が足りないな。
(114) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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/* >>111そういえばこれで身分バレする?
(-78) 2019/11/28(Thu) 21時頃
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啓明結社 カコは、メモを貼った。
2019/11/28(Thu) 21時半頃
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ふふ。 ライムみたいに苦いかもしれませんよ。
[>>113ウォッカをメジャーカップで測って、くるりと反転。 小さい方のカップに直接ライムを絞って、こちらもシェイカーに。 添えるだけ、の希望からは逸れるが、一般的なレシピよりはずっと少ない。
僅かなフレーバーでも、よく馴染むようにしっかりとシェイクする。 カクテルグラスに注いで、ライムの皮を折り香りを飛ばした。]
(115) 2019/11/28(Thu) 21時半頃
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