270 食人村忌譚
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おば様が言うんなら、大丈夫だ。
でも身体が怠いと思ったらちゃんと休むこと。 あんまり走ったりしちゃ、危ないよ。
[猫を追いかけていた彼女に 身ごもった自覚があるのかどうか。 腹の子は三月ほどではまだ目に見えて実感できるものでもなさそうで、わかっていないんだろうなと苦笑いが浮かぶ]
――暖かいもの、食べて ゆっくり休むといい。 いまの櫻子さんには、それが許されるんだから。
猫、追いかけるなら 見つけてくるけど……?
[その猫が江津子のところまで走っていったとは知らぬまま、この先どうするのかと尋ねる。周囲を見渡して、それから首を傾いで見せた*]
(106) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[畑道具をしまう掘っ立て小屋の軒先、自宅より日当たりの良い此処に、二週間ほど前に今年初めての柿を干した。 何本か吊るしたそれを指でもみこみ、3つほどがついた紐を一本、常に懐にしまっている小刀で切る。 まだまだ出来上がっていないかもしれないが、一つ食べてみて駄目ならまた吊るせばいい。
干し柿は普段女子供にくれてやってしまうが、今年は自分でも食べようと考えていた。
少し、太ろうかと考えたのだ。 太ると動きにくい、と言ったリツなどはまだ若いが、丞はただでさえガタが来ている。 江津子の言葉で、容と交わした言葉を思い出していた。若い娘に「食べてもいい」と言われたことを。本気ではなかったろう。丞も先ほどまで忘れていた。 何も起こらなければ、先に食べられるのは己だ。 残された者が、せめて美味しく食べられるように。 ――少し、太ろうかと思いついたのだ]
(107) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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鬼丞は、柿を片手にふらふら家路へ。
2017/11/23(Thu) 23時頃
真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 23時頃
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―翌朝・自宅前― [早朝、シンと冷えた空気の中、トンテンカンと音を響かせる 村の外れ近くに建てられた家だ。多少の音なら迷惑にはならない 作っている物は昨日、丞さんに頼まれた椅子だ 木材を切り出し、組み立てて、ささくれ等が残らないようにヤスリで削る 仕上がりが近づく頃には太陽も高く昇っていて]
ふう、もう少しってところだな
(108) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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―現在:自宅/畑―
ごぉろん ごぉろん ……っと。
[歌を口ずさみながら、かごを抱えた私は畑を歩く。 今日は数か月前に種芋を植えた サツマイモの収穫の作業。
そんなに大きくない畑とはいえ、 栄養がいいのか、種芋が良かったのか。 今年は思った以上の豊作だった。
収穫のような力仕事は、大抵の場合 進>>0:215に食事の対価として手伝ってもらうのだけれど、 学生の本業は勉強だ。それを邪魔してまで 手を借りる訳にもいくまい。それは、半ば、意地のようなもの。]
(109) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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……ん?
[聞こえて来る奇妙な歌声>>#0 視線を向けると奇妙な歌を歌い彷徨う少女を見つけた]
おーい、愛理! そっちは村の外れだぞ
[歌い彷徨う少女に声を掛ける
村の境界、少し先に見える森を抜ければそこはも外の世界 村から出てはならない。昔からの教えもあり近づく人間は少ない
男も木材を求めて森に入る以外は近づこうとはせず 当然、愛理とて一緒だろうと声は掛けてみたものの、そのままどこかへ去る愛理をそのまま見送った]
(110) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[甘やかしすぎたとの言葉に大げさに眉を跳ね上げさせた]
おや、麗しのあにおとうと仲を引き裂く悪役が必要かい 善薬毒薬煎じられる魔女ならちょうどあそこに一人いるぜ
[>>99>>100寄って下がっての眉を見上げ、おかしげにわらって。 >>94視界にいる馴染みの人影へ、 この時ばかりは子供らしいしぐさで大振りに手を振った。おうい、と呼びかけるような、手の振りで。]
あれなら 兄離れ弟離れの薬ぐらいは持ってそうじゃないか?
まあ、いらんと思うけどな 家族思いのなにがわるいわけでない、 死んだとしても、望まれれば、食われれば、五体満足に戻ってくるだろ
(111) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[離れようと向けた背に、風に乗って声>>*28が届く。 あの真面目一辺倒で弟の錠を大事にしている男の、 いや、大事にし過ぎているからだろう。 その声は心からのものだろう。
猫ではないが、思わず喉が楽し気に鳴った]
群れの中でどれだけ庇っても。 庇いきれない時だってある。
大っぴらに手に掛けることが赦されるのは。
[儀式と罪人を裁く時。
もっとも、錠が裁かれるような罪を犯すとは思えないが。 漏らした呟きが風に乗るかどうかは知ったことではない。 彼が耳を塞ぐかどうするかも。
ただ人間になるか、家畜になるか。 何処を目指すか見定めるだけ*]
(*29) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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―木材置き場の付近で―
割れ物なんですよ 後生ですから、その爪を放してくれませんか
[とてて、とててと不格好な歩みでいくばくか やがて、困惑しながらちらりと見やれば、 櫻子>>95とススム>>106若い2人の姿が映る 少し様子をみながら、やがては]
櫻子さん、ススムさん ごきげんよう 気持ちのいい、朝ですね
[ぎこちなく近づいて、軽いお辞儀で挨拶をした*]
(112) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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/* ちょっとどころでなく会話のつながりが汚くて ごめんなさい をしたい いつも以上の脈絡のなさ
(-38) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[進は、子供の頃から勉強熱心だった。 その眼はいつだって、話している内容の、その裏側を見ていた。
「同じ年頃なんだから、世話を見てあげて」 渡された、一人分の食事を届ける幼い姉妹>>28 その姉にあったのは、―奇しくも、彼の勘繰りの通り、 巫女の子としての責務だった。
愛すべき村の人間のひとり。 死なせてはいけない。幸せにしてあげなければいけない。
彼から、感謝の言葉は勿論あったけれど、 それはどこか虚ろな気がした。 その眼が言葉の裏を、どこか違う場所を見ていると感じたのは、 その時からだったと思う。]
(113) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[義務感は、徐々に薄れて行った。 用意されたお弁当を届ける仕事は、 いつからか、自分が、或いは妹が 彼の為に作った食事を届ける行為になっていったと思う。
そうして、巫女と成り損なった今でも、 私は彼にお節介の食事を届け続けている。
やっぱり、責務などではない。 彼の言葉を借りるなら、唯の打算なのだろう。
食事を欲している者。食事を褒めてほしい者。 それで関係性としては十分じゃあないか。]
(114) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[けれども、いつか、叶うことなら。 水面のような彼の瞳が、此方を向いたなら――。]
(115) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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[いや、やめよう。首を横に振って、 思考をサツマイモたちへ戻す。 何かを夢見たところで、虚しくなるだけだ。]
いつまでもー いつまでもー
[聞こえてくる、いつもの歌>>#2を 鸚鵡返しに口ずさみつつ、収穫の作業へと。
数刻後、かごから溢れんばかりの赤紫色の 幾らかを抱えた私は、それらを調理すべく 上機嫌に台所へと飛び込むのだった。*]
(116) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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嗚呼、それとも。
[お前が咎人にでもなって彼に喰われるか? なんていつにもなく狂気が顔を出すのはどうしてか。
ミナカタを継ぎたいと草の束を持って帰った娘のせいか。 もうこの村に、ミナカタは不要だと告げたら。 どんな顔を見せるだろう、なんて。
愉快な事を考えたからだろうか*]
(*30) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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―― 回想 / 姉と、進と、 ――
[いつも姉の後ろをついて回っていた私は、 誰からも妹扱いされていた。
明朗な姉の容。引っ込み思案の妹の私。 あの頃。私たちは、ふたりでひとつだった。
昔は姉に連れられ、よく進の家を訪ねたものだ。
ふたりで作った握り飯。>>28 姉の作ったものは、整った形。 私の作ったものは、崩れそうなほどに歪で。 握り飯を見れば、すぐに誰が作ったものか判別はついた]
(117) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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進くん、ごめんね。 いつか姉さんみたいに 美味しそうに作れるようになるから。
[それでも進は、喜んで受け取ってくれたように思う。 いつも妹扱いされる私が、進の前では“ゆり姉”になれる。 進と接するとき、私はすこし大人になれた気がしたものだ]
(118) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[本当に私が「大人の女」になったとき、 私と進の関係が壊れるとは思っていなかった]
(119) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[巫女が代替わりしてしばらくの間は、 どれ新しい巫女の具合を確かめてやろうと 村の衆たちが入れ代わり立ち代わり神社に出入りした。 その中に、進の姿はなかった。
代替わりに関わる様々な神事をこなし 夜な夜な神社を訪れる男たちの汚れを祓う。 多忙な日々に忙殺されて――…… いや、なくした家族たちから目を背けていた私は 進の家から足が遠ざかっていた。
あそこは、姉と共に訪れる場所であった]
(120) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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……進くん。 あなたは神社にお清めにいらっしゃらないの?
[巫女になってから一度、 そう彼に尋ねたことはあっただろう。
自分を抱く気はないのかと。 巫女として不足があるのかと。
進が村人たちから“種馬”として 重宝がられているのは知っている。>>28>>64
決して、彼がその手の行為を忌避しているわけではない。 というのに、神社に彼が訪れることはない。
……進に、避けられている。 どこかで歯車が狂ってしまったのだろう。 巫女になる前と、後。同じ関係ではいられない]
(121) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[それは私と姉も同じだ。 あの頃。私たちは、ふたりでひとつだった。 歯車はすでに狂ってしまった。
また、私たちがひとつになるためには、きっと――……]
(122) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[食い、食われるしかないのだろう*]
(123) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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/* 死ぬ(喉が)(文章をまとめられないマン)
(-39) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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イルマは、ゆりに話の続きを促した。
2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[がた、ぎしぎし。 古びた車椅子の動きは、悪い。 そのうえ車輪が噛んだ枯れ草が、余計に動きを悪くしている。]
あぁ、もう。 まいったな……!
[愚痴ったところで、どうにもならないのは承知だが。 声に出さなければやっていられない時もある。
そうして、普通の人の倍以上の時間をかけて、ようやっとリツの家の前までたどり着いた。]
(124) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[望まれれば。食われれば。 今世で、食うを厭われるような悪さをしでかしたわけでなし、 食われれば戻ってくるだろう。 そのときこそは、生きる時間のすべて五体満足かもしれないではないか。
そうとまでは口にしない、 それは当たり前のように村にはびこる因習で、教えだからだ。
育たなかった両の腕を組んで、年齢相当の言葉の調子で男は言う。 言葉裏、先代の薬師の“教え”>>0:135>>0:136を携えて*]
(125) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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/* うわぁ……ええと 容の恋愛縁故らしきものとゆり姉の芯の通った巫女脳を把握した。
お断りするなら、神社に清めに行く時間がない ってとこかなぁ……今宵は櫻子さん、明日は愛莉さん なんてね。
(-40) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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ゆりは、イルマに話の続きを促した。
2017/11/23(Thu) 23時半頃
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/* しゅき(飴美味しい)
(-41) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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― リツの家の前 ―
おぉい、リツ! リツー!
[呼ぶ声は、だいぶ離れたところから。]
椅子の調子が悪くてさー! ちょっと、みてもらえないかなー!
[声は彼のもとまで届いてくれたろうか。*]
(126) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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あれが魔女か、似合と言えば似合だ。
[視界の端にいる薬師へと視線を向ける>>94 源蔵が手を振る様子を眺め、こちらは小さく会釈をした。]
兄離れ、弟離れが薬で出来るものならば私も悩まんよ。 だがまあ、錠の脚が治ればいいのだから薬が必要なのは確かなんだけどね。
家族思いが悪いわけじゃなあない。 そうだろう、私も錠も何も悪くはない。 だが心配しているのは私死んだ後の事なんだ。
その前に、一人で生きていけるようになってくれればと。
[そう願わずにはいられない。]
(127) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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/* ってか朝に走りすぎんようにしんとな〜って感じだったのに 案の定走りすぎてるから君ってやつは…… だっしゅだーっしゅだっしゅ!
(-42) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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/* おぉ! いいねぇ! この姉妹のお話は、大きな流れになっていきそう。 ちょっとお邪魔も挟んでしまったけど(*´▽`*)
ススムさんが、キーマンかな? まだ分からんけど
(-43) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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