182 【身内】白粉花の村
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[お礼を言うと差し出されたパフェを貰い、彼の笑顔に視線を移して。いつも笑っている彼の顔は何だか仮面が張り付いたみたいだ、と目を伏せた。マリーが何度か言った『似た者同士』という言葉を思い出す。彼女もまた彼の笑顔に違和感を抱いたのだろうか。 それならば、彼の仮面の下を――彼の素顔を見たことのある人はいるのだろうか。本当の彼が見たい、そんな欲求が心にじわりと広がる。彼が隠す素顔と本心はどうしたら見せてくれるだろうか。隠されれば隠されるほど、執着心は増して欲望の色は黒く濃く染まっていった。いっそ、その仮面を己の手で引き剥がせないだろうか、と思考を巡らせて。]
――やっぱり甘いものはいいねぇ、
[感情を隠すように言葉を述べれば微笑んで、そっとスプーンでそっと下唇をなぞった。]
(+90) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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(…我ながら、酷い執着ですね)
[胸中の呟きと共に、微かに自嘲じみた笑みを浮かべ、ペロリ。先に触れた味を――その時の彼の顔を思い返すかのように唇を舐める。震える身体>>+85に浅い呼吸に。嗚呼さぞかし自分は憎まれているのだろう、忌まれているのだろうと笑いながら。
髪に着いた煙草の匂い。部屋にも僅かに残るであろうこの匂いに、また自分を思い出して苛まれてくれるのだろうか。 ――元々、一つの事に酷く執着する性質でありはするのだ。今回はたまたま、その対象が"彼"だっただけで]
(まぁ、やめる気も治す気もありませんけど)
[欲しい物が手に入らない事など慣れている――分かりきっている。 ならばいっそ、無理矢理奪い傷付けて、決して逃げる事の叶わぬくらいに縛りつけてやればいい。 そうして得たものが例え紛い物なのだとしても、そこに違いなど――きっと無いに違いないと。 今迄だって、ずっとそうしてきたのだから。そしてこれからもきっと、そうしていくのだろう。 ――自分はこれしか、やり方を知らない]
(+91) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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…そろそろ空腹で苛ついてきました。 痛い思いをしたくなければ、食べて下さい。
――あぁ、それとも。 食べれないのなら、食べさせてあげましょうか。
[微かに感じる苛立ちを隠す素振りすら見せず。にこりと笑い立ち上がると、摘まんだ桃の一欠片を彼の口へと近付ける。 そのまま桃を口にすれば、自分もまた別の一欠片を口にしただろう。 彼が桃を口にしないのであれば、医者は笑みのままに顎を掴み、その喉の奥へ無理矢理ねじ込むくらいはしたかもしれない]
(+92) 2014/07/05(Sat) 02時半頃
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う、るさ、い、
[癇癪を起こす寸前の様な声音て、つっかえつっかえ言葉を口にする。 ……もう、何も言わないで欲しかった。自分でも、言わなければ良かったと思っているのだから。
思い出したくない光景がチラチラと脳裏に浮かんで、険しく眉間に皺を寄せた。 ふるりと頭を振って、どうにそれを頭から追い出せば、自嘲とも失笑ともつかない笑みを零して、睨み付ける気力も無く俯く。 ――素直、だなんて、笑わせてくれる。力にものを言わせて従わせただけなくせに。
取られたナイフには、ぴくりと小さく震えて。一瞬詰まった息を、どうにか深く吐き出す。 彼の一挙一動に支配されてしまう自分を自覚すれど、だからといってどうする事も出来ないのだ。
それこそ"素直"に許しを乞う事が出来れば、幾らかはマシになるかもしれないけれど。残念ながら、それが出来る性格なら、最初からこんな事になってはいない]
く、そ……。
[痛い思い、と彼が言えば、泣きそうに顔を歪めて]
(+93) 2014/07/05(Sat) 08時頃
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は、吐きそう、なんだ。 ……勘弁してくれ、
[言ったって意味は無いと分かっている。それでも口にすれば何か変わるのではないか……そんな事を考えたのだけれど。
案の定聞き入れられずに口内に侵入してくる桃に、険しく眉を寄せた。 嗚呼もう桃は食べられないな、なんて考えてみる。結構、好きだったのだけど。
掴まれた顎は痛いし、喉奥まで捻じ込まれたものだから、当然抗う事も出来なかった。申し訳程度に彼の腕に手を伸ばして、けれど押し返す事も出来ずに添えるだけになる。 むしろ、もしかしたらそれは縋る様な手だったかもしれない。ディーン自身も無自覚だったけれど]
お゛、ぇッ
[どうにか嚥下したそれに、途端に嘔吐いて。口にしたばかりだというのに、柔らかな果物はそのまま来た道を戻っていく。 ついでとばかりに、まだ胃に残っていた白んだ紅茶と、黄色っぽい胃液がそれの後を追って、びちゃびちゃと零れ落ちた。
もしかしたら彼にもかかったかもしれないけれど、そんな事を考えている余裕も無く。痙攣する胃を押さえて、ただ身体を震わせた]
(+94) 2014/07/05(Sat) 08時頃
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