197 獣ノ國
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[大学の講義には、暇さえあれば参加していた。 公開講義はもちろん、学生に向けの講義もあればそちらに通っていた。
内容こそ難しかったものの、民俗学に基盤を置いた多岐のフィールドに通じる話は嫌いではない。 現代社会との繋がりが薄い分野だからこそだろうか。それとも先生自身のスタイルのせいだろうか。 講義の中に聞こえる話は、学問にとどまらない気がして。
その当人の姿を教壇以外で見る事は少なく、女性と共に立ち去る姿>>360を物珍しそうに眺めたのだ。*]
(371) 2014/10/04(Sat) 22時頃
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クラリッサは、錠の後ろ姿を見送った。*
2014/10/04(Sat) 22時頃
クラリッサは、ルーカスの手を見つめている。**
2014/10/04(Sat) 22時頃
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[もしもの話。 獣人が"造られた人"だとしたら。
国立図書館で、一人でに物語を紡いでいた本の内容を思い出す。 身分違いの恋を患った主人公が、想い人と死別する。
ベタな物語だけれど、もしも恋人と身が裂けるような別れを遂げた主人公がもう一度幸せを謳歌したいと願うならば……
恋人を、造ってしまうかもしれない。 何処かの国で死体を愛した男のように、チクチクと針で人の身体を紡ぎ合わせて。
フランケンシュタインやシザーハンズの物語で、ハッピーエンドなんて見たことも聞いたこともないけれど。 どうせ現実では、人造人間じゃなくてもハッピーエンドがあるなんて分からないから、もしかしたら此方の世界の方がマシだわ。
まぁ、ただの"おとぎ話"よ。]
(386) 2014/10/05(Sun) 00時半頃
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[表を飾る感情もなく問い掛ける声には、ただただ頷くしかなかった。 その後俯き加減の視界から見えた苦笑いに安心したのは胸の内にしまい込む。]
………優しい人だったら、サボテンのチラシを人の家のポストに突っ込んだりしないでしょ。 奇異の目で見てしまうのもしょうがないわ。私は獣人じゃないから、こんな事言うのも獣人のひとに失礼かもしれないけど。
私だったら………私だったら、嘘をついてでも、獣人になった人に"好き"だって言うでしょうね。
[そうすれば、きっと傷付かないもの。
カチと鳴った音が相手の手から聞こえる物だとは思わない。ふと周囲に視線を伸ばして、再び相手に向き直る。
相手に言われて気がついた。手に走ったゾワゾワの正体は、確かに《蜘蛛》に触れた時と似ていたかもしれない。しかし、それをおくびに出す訳にも行かない。 鐘が鳴ったのは、ちょうどそんな時。
戸惑い混じりに自らのばした手元から時計へと視線を逸らした。 相手の手>>376が此方に伸びようとして、ポケットへと吸い込まれた所を見逃す。]
律儀な人………律儀じゃないと「時計の家」は勤まらないか。
(387) 2014/10/05(Sun) 00時半頃
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[独り言のように呟く声は、相手まで届いただろうか。 複雑で正確な時計の内部を垣間見たようなドキドキした気持ちで名刺を受け取る。印刷で書かれた文字を目で撫でながら「ルーカス、ブイ」と小声で復唱した。]
此方こそゆっくりできなくてごめんなさい…全部昨日の私が悪いのよ。 ああでも、ウチの郵便局は基本的に、時間には正確だから…!
[喋りながら鞄を持つ。手を動かしながらお喋りするのは仕事柄慣れている。たぶん、…以外の職員は、真面目だからやらないけれど。]
それじゃあ、これで失礼するわね。 ……貴方とお話出来るなら、明日もポストにサボテンを入れちゃうかも。冗談だけど。
それじゃあ、またね。ルーカスさん。
[バタバタと忙しそうに足を踏み鳴らしながら、口元に相手の名刺を当てがって笑いを咬み殺した。
仕事の延長を強いる伝票を鞄の中に引っ提げて、男一人を残して…はカフェテラスを後にした。*]
(388) 2014/10/05(Sun) 00時半頃
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