202 月刊少女忍崎くん
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[静かな部室に、メールの着信音が鳴る。] [そこに書かれた、短い文字を追って]
[印刷された写真達をポケットに。 カメラを掴んで、まどかは部室を後にした。]
(72) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[後夜祭に向かう生徒も多いのだろう。 昼よりまばらになったクラス教室が並ぶ廊下を抜ける。]
[2−3の教室を過ぎ去った。 春。あそこで、彼に告白した]
(73) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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『わ、わたし…! ま 前に撮った時の顔が、とっても素敵で、 わ、忘れられなくて…
すっ……、す、好きです!!』
(-14) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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( そうか、 わたし きっと )
[屋上へと向かう足は自然と足は急ぎ足になる。]
(74) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[廊下から階段を登る。 一年生のクラスが並ぶ廊下が踊り場から見える]
(75) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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『これからもっ たくさん、撮りたいなって…』
(…ああああ!? いや、撮りたいんだけど、そうなんだけど!!! そ、そうじゃなくて…!!)
『〜〜〜い、いやっあのっ!? なんていうか…っ』
(-15) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[階段を駆け上れば息が切れた。 まるで心臓破りの坂を昇るようだった。
屋上までの階段を、 まどかは顔を赤らめて昇っていく]
(76) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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『……あ、あの…っ!! っだだだだ、だからね!?
……つっ、つ…っ!!、 〜〜〜付き合ってください!!!』
(-16) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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( 忍崎くんの、 )
[薄暗い屋上までの階段を最後まで駆け上がり、 切れた息を静かに吐いて、
少し重たい屋上の扉を開けた。]
(77) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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―屋上―
[屋上の扉の向こう。
遠く遠景に薄紫に染まった雲が浮く。 茜色に染まった街並みに、灯りがいくつも見える。
うす紫から茜に染まるグラデーションの空の下。 フェンスが区切る屋上に、忍崎の背中があった。]
[まどかは赤い顔のまま。 切れた息を整えて、彼の背を見つめた]
(85) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[こちらを見ることなくかかる声に、 彼の背に見とれていたのか、慌てたように返事をして。 まどかは忍崎の傍らへと歩く]
…っ う、うん! だいじょうぶ!
でも、なにして――― 、
[まどかには少し高い、彼の手元を見る。 そこに描かれたものを、わずかに見て、 目を瞬かせてから小さく笑った後。
彼の顔に視線が映り。まどかはそこで言葉を切った]
―――し、忍崎くん!
そ、 そのままっ! い、今撮ってもいい!?
(86) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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[一度止まる手。
まどかの視線が彼の顔から、手へと移る。 あ、と音にならない程小さくのどを開けて、 少し焦ったように再び彼の顔を見る。
カメラを握る手に力がこもった]
[そこにかかった言葉を全く想定していなかったのだろう、 まどかは少々間抜けな声を上げた]
えっ?
(90) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[その先に続いたそっけない声に、 まどかは目を瞬かせて。 やがて顔を顔を綻ばせた]
…………………、
…え、えへへっ ……じゃあそうする。
ありがと。
(91) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[再びシャーペンを走らせる彼を、 カメラのファインダー越しに見る。
狭い視界の中に、彼と茜色に染まる空。 灯った街の灯りが収まった]
[すっかり耳に慣れたシャープ芯が 紙を走る音を聞きながら]
[まどかはすっかり整った息を静かに吐いて。 ゆっくりと、シャッターボタンに力を入れた。]
(92) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[軽いシャッター音の後。 撮れた写真を、画面で確認する。
手のひらに収まる、小さな画面の中に、
あの日のような真剣な表情で まっすぐ、絵に向かう忍崎の横顔が映った]
[いつも近くで見ていた。 漫画にひたむきに向かう、あの顔が]
(93) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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…、うん、 ありがと、
すっごくいいの撮れた
[まどかの目に、遠くにきらきらと灯る 街の光が小さく反射して。
今日一番満足げに、笑った]
(94) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[カメラの画面をうれしげに指で撫でて。 まどかはそれから、また顔を赤く染めた]
……………………、
[口を開きかけて、また閉じて。 ためらうように、それらを少しだけ繰り返す。]
(97) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[春に、教室で告白した時は 誤解と紆余曲折で、彼に近づくことはできたけど。 結局彼に、正しく想いは伝わらなかった。
あの時は、まだ彼のことをうまく撮れなかった。 その理由に気付けていなかったから。
うまく撮れなかった理由に気付けた今なら。
……ちゃんと彼に、伝わるはず。]
(98) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[一度きつく目を閉じて、また開く。 見上げた傍らに、彼がいる。
やがて、まどかは小さく息を吸って声を出した]
――――ねえ、 忍崎くん
(99) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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あのね わたし、 いろいろ、考えたんだけど、
わたし、きみの
(100) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[―――彼のどこが好き?と言われれば、
「彼の顔」と答えるだろう。
あの時撮れた彼の横顔に、胸をうたれたのだから。
でも、それはもっともっと手前の話。]
(101) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[今まできっとうまく撮れなかったのは、そのせいだ。 もっと奥にあるものを写せてなかったんだろう。
まるで感情までも、写し取ったような あの写真に惚れた理由。
彼が、好きな理由。 彼のどこが好き、と言われれば きっと、何よりも。
あの写真の奥にも映った、]
(102) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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まっすぐで、真剣なとこ。
いちばん、好きだよ
[茜空の下。 まどかはまっすぐに、彼の顔をみつめた]
(103) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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…………
[……それも、十秒程が限界で。 沈黙の空気に思わず、少しずつ俯いていく。]
… ………… って いう…
[いや、それではいけない、と 尻込みしそうになる声に、まどかは無理矢理顔を上げて もう一度、忍崎の顔を見る。 上げた顔は今の空の色に負けぬほどに、赤く染まっていた。]
…………、あっ…あの! だ…っ、だからね?
し、忍崎君は…っ ど、どう 思う…?
(104) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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……………… え …っ ?
(108) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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………………………………………… え゛っ?
(110) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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