156 カイレミネ島の雪
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…まさか、本当に載っているなんて。
[やはり大人の目線は違う。自分より深いところが見えている。 まだまだ子供な自分に、少し悔しくなる。]
『雪解香』
[冬将軍の眠りを防ぐ香り。 何でも、冬将軍はこの香りをとても嫌がるのだという。
これで解決!とばかりにはやる心を抑え、夢中でページを捲ったが、話はそう簡単にはいかないようだ。 このお香はとても制限が多いことが、すぐに分かった。]
(112) 2013/12/19(Thu) 08時頃
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[使用方法自体はそれほど難しくない。 体内に直接入れても、香袋に詰めて持っていてもいい。
問題は、この香りはとても繊細で、少しでも他の要素が混ざると、たちまちその効果を失うということだ。
制限の一つは、まず調合者がその恩恵に預かれないということ。 調合の際に発生する別の香りが体に付着することで、香の効能を妨げてしまう。
第二に、分量がとても厳しい。 決められた分量以上を作ると、変な話、冬将軍が「慣れて」しまうらしい。そうすると、やはり効果が失われる。 適正範囲として使える量で守れる範囲は…せいぜい一人だけ。
そして香りの持続時間は、およそ1日。]
1日1人、そして作り手以外の人にしか効果は無いか…。 そんなの、冬将軍のターゲットが分かっていない限り、どうにもならないじゃな………あたっ!
[怒りに任せて歩いた結果、今度は木にぶつかった。]
(113) 2013/12/19(Thu) 08時半頃
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[そして何よりも。香の調合方法が検討もつかなかった。
書かれている内容は理解て来ても、材料である薬草がどこに生えているのか、薬の名前がどの薬を意味しているのか、更に調合に必要な道具ももちろん持っていないし、使い方もわからない。]
…こんなことなら、医学の勉強もしておくべきだったわ。
[言っても仕方もない後悔をする。 医学の道はそんなに容易なものではないと理解はしているが、それでももっと何かできたかもしれないのに、と悔しくなる。]
まあちょうど約束してたし…会えたら相談してみましょう。
[まぶたに浮かぶのは、この島一番の名医の顏。]**
(114) 2013/12/19(Thu) 08時半頃
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マドカ!
[果てして彼女はちゃんとそこにいた。 馬鹿げた想像をした自分を叱咤しつつ、安心感から思わずマドカを抱き締める。]
図書館はもう行ってきたわ。マドカがお寝坊しているうちにね。
[そう言いながら本を片手にくすりと笑うが、次の瞬間彼女もまた外に出ていたことを知る。]
そうね。確かにヨーランダは眠ってしまったけど、大丈夫。 眠ってしまったなら、起こせばいいもの。
[半ば自分自身に言い聞かせる。]
・・・大丈夫。冬将軍さえ見つけられれば、きっと。
[その呟きは、マドカにどんな想いを抱かせたのだろう。
その後ヒューやモニカが薬を取りに行こうとしていること、参加者は昼時にカフェに集まる予定であると伝えるが、自分は行かないことと、防寒具が頼りないあなたも無理はしなくてよいと付け加える。]
(127) 2013/12/19(Thu) 20時頃
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冬将軍を眠らせれば、きっと皆目を覚ますわ。
[心配する必要は無いとばかりに、マドカの頭を撫でる。かんじんの誰が冬将軍なのかという話題については、触れないで置く。]
・・・残念ながら、私の体は登山をするようにはできていないのよ。
[僅かに口許を尖らせる。]
マドカが家にいるのなら、私もここにいるわ。
(149) 2013/12/19(Thu) 23時頃
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[マドカを抱きしめたまま、耳元で囁く。まるで幼子をあやす子守唄のように、たおやかな調を奏でながら。]
ねえマドカ。私思ったのだけれど、寒いと寂しいって少し似ているわね。
[いつもより少しだけ元気が無いように見える従姉妹を励ますように、そんな話をする。]
昨日、今日と雪道を歩いていて、ずっと何かを感じていたわ。 とてもきれいなのだけれど、切ないような、心細いようなそんな感覚。
[体を突き刺す痛みと、何かがぽっかり失われたような虚無感。]
でもね。今はマドカのおかげでこんなに暖かいわ。 あなたを抱きしめていると、心も体も温かくなって、元気が出るような気がするの。
だから私は、きっと寂しくないわ。
[更に強く、抱きしめる。]
あなたもそう思ってくれたら、私はとても嬉しいわ。
(153) 2013/12/19(Thu) 23時頃
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[最後にぽんぽんと頭を撫でると、名残惜しそうに彼女の体を離す。]
さあ、これからもっと温まりましょう。 昨日のシチューの残りがあったわよね。温め直すから、お昼にしましょう?
[彼女が何か言いたげだったらそれを聞き、同意を得られたのなら、そのまま台所に向かう。 湯気を立てながら、ぐつぐつと音を立てる鍋を見ながら、幼馴染の少年を想う。]
ねえトレイル。あなたは今何をしているのかしら? あなたの側にも誰かが一緒にいてくれたら、よいのだけれど。
[昨日今日と、彼がミナカタの家を訪れていたように。 彼を温めてくれる誰かが傍にいてくれたらいい、そう思う。 だって一人ぼっちは、とても寂しい。
そのままシチューを2人で食べると、マドカとくっつきながら本の続きを読む。彼女が何か話すようなら、それに耳を傾けながら。]*
(154) 2013/12/19(Thu) 23時半頃
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−マドカの家− [本を進めながら、何度か未練がましくページを戻す。 そこは雪解香のページ。]
私が作るのは難しそうだけれど…何もしないのも、癪なのよね。
[ミナカタに渡してはいおしまい、と言うのも、無責任な気がする。半ば意地になって目を凝らすと、やがて材料の中に一つだけ見知った名前を見つけた。]
これ、前おばあちゃんが眠れない日に効くって教えてくれたやつだわ。
[ミナカタは山に登るようなことを言っていた。 もしそうだとしたら、彼はこれから忙しいだろう。]
たった一つ、焼け石に水かもしれないけれど。
[それでも何かしたい。 そう思うと、再び防寒具を身につける。
マドカが起きているなら「すぐに戻る」と声をかけ、空腹が満たされたことでうとうとしているようなら、肩に上着をかけて。 再び扉を開ける。]
(163) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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/* マドカの側にいると言っておいて、すぐ外出するマユミ。 皆山行くと、さすがにトレイル死にそうなんだ!
(-60) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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