26 Fairy Tales Ep.4
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―深夜 森―
[杖を片手に、獣道を進む。 首もとでブラックオパールの『証』が揺れる。 不思議とあれだけ悲鳴を上げ続けていた心臓は平穏さを保っている。]
オルグイユ。
[深い昏い憎悪に満ちた名を呟く。 傷ついた彼女の言葉によりオルグイユの血筋の者が此処にいると確信した。]
(0) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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[ぎゅっと胸元を掴む。 体の変化に耐え切れる自信は持てずとも覚悟を決める。 大きく一呼吸。]
―――ぉぉぉぉぉぉぉおおんっ!!
[悲鳴に似た遠吠え。 体毛が濃くなるに比例し色は褪せ。 赤茶の瞳は血色に染まりいく。
闇夜に浮かび上がる純白の毛皮。 爛々と輝きを放つ真紅の両眼。
ポルクスという名を持つ人狼を、一度目撃した者は決して忘れはしまい。]
(1) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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[白狼の僅か引き摺る左後ろ足は、二本足であった時ほどの不自由さは与えず。 余程注視しなければわからぬほど。
軽々と木々の間を駆け抜け、村はずれへ。]
――ぐるぅぅぅぅっ
[低い唸り声一つ。 あばら屋の扉を破り。 中に居たサイモンが声を上げる間もなく、その鋭い爪と牙で引き裂いた。]
(2) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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死んだ人にも。 風が運ぶ未来は来るのかな?
[嘲り哂う声は。 例え瀕死のサイモンの耳に入ったとしても、唸り声にしか聞こえなかっただろうが。]
(*0) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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[純白に鮮やかな赤を散らすまま。 再び駆け出す白狼は村の中へ。
たまたま異変に気付き、通り道に顔を出した不幸な住人{2}人も血に染まったばかりの爪と牙の犠牲となり。 点々と惨劇の跡を残す白狼は、屋根の上に飛び乗る。]
(3) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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――おぉぉぉぉぉぉぉぉんっ
[真紅の眼で今や無人となった嘗ての領主の屋敷を見詰め。 白狼は遠吠えを上げる。
十年前の惨劇を知る人間には自らの存在を誇示し。 人狼達には時が来たのだと知らせる為に。]
(4) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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[村中に遠吠えが響くと同時。 周辺の森の外から幾つもの遠吠えが呼応する。 住民達はこの村が人狼の群により包囲された事を知るか。
返事の遠吠えに耳を傾けていた白狼は、人の集まる気配にたんっと屋根から飛び降りる。]
……ぐる……。
[唸る様に喉を鳴らすと、白い姿は闇の中へと消えていった。*]
(5) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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―村の何処か―
[人の気配のない所まで走って来ると足を止める。 首もとのブラックオパールの『証』が妖しく光り、四足の獣から二足の人の姿へ。 いつも通りの服装でそこに立つ。]
……うっ……はっ……。
[苦悶の表情を浮かべ胸を掴む。 ゼィゼィと息は荒く、激しい運動に心臓は悲鳴を上げる。 その場に蹲ると、そのまま*昏倒した。*]
(6) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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/* 『証』のよく分からないが凄い力 全裸問題解決←new
(-1) 2010/08/07(Sat) 08時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 08時頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 23時頃
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/* グロリア宿借られてるw 上手いなあ。
(-12) 2010/08/07(Sat) 23時頃
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―回想:倒れた道端―
[倒れてからどれ程の時を放置されていたか。 空が白み、朝が訪れるその時まで、心臓は弱々しくも命を繋いでいた。]
………ぅ………。
[フランシスカに呼びかけられ、外傷がないかと身体を探られるうちに、小さな呻きを漏らす。]
(59) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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……は……。 こんな身体で……情けない……。
[僅かに口元を笑ます。]
あなたには、助けられてばかりですね……。 もちろん……ですよ。
人間達に復讐を。 俺も、まだ、死ねない。
[熱病に魘されるように、瞳は赤く爛々と輝き。 『証』も、それに答えるよう仄か光を灯していた。]
(*5) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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………大丈夫………歩けます………。
[身体を抱え込まれかけた時、僅かに意識を取り戻す。 囁くような弱々しい声で手助けを拒む。 しかし、力の抜けた身体は悪い足の事もあり、一人での歩行は困難である。]
………すいません。
[フランシスカの肩を借り、なんとか診療所の前までやってくるが。 座らされた途端に、また意識を失った。*]
(60) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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[意識のないポルクスの首もとで証が灯る。 生きたいと願う欲望は。 希望を求め夢を繋ぐ。
それは幼き人狼が見た光景。 聞いた音と声。 悪夢の記憶。
10年前の惨劇のもう一つの物語。]
(*6) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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[最初の光景。 8歳くらいの活発そうな少年が隣りに座っている。 鋭くピンッと立った耳とふわふわ尻尾の人狼の子供。 群の大人が大きな獲物を獲って来た事、早く一緒に狩りに行きたい事を騙り、ポルクスも一緒に行こうと笑う。]
『そうだね、カストル。』
[答え、少年の名を呼ぶ声と共に光景は切り替わる。]
(*7) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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・・・・・
[森の中を駆ける。 隣りにはカストルの姿。]
・・・・・
[カストルと黒い大きな狼が戯れている。 年齢不詳の男がそれを微笑ましげに見詰める。]
・・・・・
[沢山の人狼達に囲まれている。 そこに笑顔は絶えない。]
(*8) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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・・・・・
[倒れ泣くカストル。 その足にはくくり罠の紐がきつく絡み付いている。 小さな手がそれを解こうと引っ張るが、ますますきつく小さな足を締め上げる。]
『………………!』
[かなり近くで人の声と気配。
びくりと震え、視線を廻らすと、カストルと目があった。 縋るような涙目。]
(*9) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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[がさり
一際、近くで響く音。 カストルの視線を振り払い、手近な藪の中へと飛び込む。 ぎゅっと瞑った目には暗闇しか見えず。]
『カワッタケモノダ』 『オオカミノヨウダシ コロシテシマオウ』 『ダケド コトバガワカルミタイダ ソウダンシタホウガイイ』
[理解できる筈の言葉は、まるで異質な言葉の様に聞こえ。 談笑する笑い声と、怯えて泣くカストル『声』ばかりが耳に残る。]
(*10) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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・・・・・
[領主の屋敷の庭。 檻の中、見世物の様に閉じ込められたカストル。 ぐったりとしながら、力無く泣く。
群の仲間達と一緒に遠吠えですぐに助けると呼びかける。
一人の男が持ち出し、カストルに向けるのは黒光りする――]
『やめっ……!!』
[響く銃声。]
(*11) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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・・・・・
[倒れている。 撃ち抜かれた左膝からだくだくと溢れ出す血が、白い足を赤く染める。 銃口がまた向けられる。
痛みと恐怖に震えながら、銃を構える男の顔をはっきり見た。 領主オルグイユ。]
・・・・・
[広がる赤。 覆いかぶさった大きな黒い獣。 庇って撃たれた彼は既に息絶え。
その奥に見えるのは銃に弾を補充しようとする――。]
(*12) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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うわぁああ!!
[悲鳴と共に目覚める。 目の前に居たであろう老医師に向けたのは怯えた目。]
……………。
[ぎゅうと胸元を掴み、ベッドの上、僅か後退る。]
(64) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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なんでっ!カストルをッ……ッ!
[優しい声と共に伸ばされかけた細い指を振り払い。 悲鳴のような叫びを上げかけ、飲み込んだ。]
……すい、ません。 昔の、子供の頃のことを思い出して……。
[逸らした視線はシーツの上へ。 顔面蒼白のまま、胸元を掴んだ手はカタカタと震える。]
(72) 2010/08/08(Sun) 00時半頃
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/* 確かカストルの名前は知らなかったはずだよね?せふせふ
(-16) 2010/08/08(Sun) 00時半頃
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いいえ……。
[項垂れたまま、頭を振る。]
いいえ。 話しても、仕方の、ない、事です。 取り返しは、つかない。
[単語一つ一つを搾り出すように話す声は、冷え冷えとして暗い。 差し出された冷たいタオルにすら気付けないまま。 ハッハッと何度も肩を上下させ呼吸する。]
(78) 2010/08/08(Sun) 00時半頃
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みんな、みんな、殺してやる。
(*13) 2010/08/08(Sun) 00時半頃
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[タオルが汗を拭っていくのを拒絶はしない。 冷たさが心を落ち着かせ、震えは治まっていく。]
……治療?
[表情は見せぬまま、口の端が上げる。]
何したって俺は、死ぬのに?
なんで、なんで俺ばっかり。 こんな足になって。 こんな身体になって。 カストルや――――まで。
[口元は笑むように歪んだまま。 陰に篭っていた感情をぼそりぼそりと口にする。]
(85) 2010/08/08(Sun) 01時頃
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不公平だ、不公平だ、不公平だ。 みんな、みんな……。
[聞こえてきた老医師の声に、俯いていた顔を上げる。 昏く翳る赤の濃い茶の目を老医師は変わらず優しく受けとめたのだろうか。]
……奇蹟。 それなら、もう―――。
[首もとの『証』を掴む。]
(92) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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[片手で『証』を掴んだまま、ベッドから身体を起こした。 一見、落ち着きを取り戻している。]
………今日は、お騒がせしてすいませんでした。 家に帰って、休む事にします。
[溢れ出さんばかりの憎悪はまた内に封じ込め。]
……この足と身体で。 何処に居たって、逃げられないのは変わりません。
[人狼が出る今、森の中の家は危険だと止められてもそう言って聞き入れず。 杖を持たない青年は、普段よりもずっと苦労と休憩をしながら森の中への家へと*帰って行った。*]
(93) 2010/08/08(Sun) 01時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 01時半頃
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―森の中の自宅―
[自宅の周辺は、時たま何らかの獣の声が聞こえてくるものの異変はない。]
…………はい。
[ノックの音に横になったばかりのベッドから起き上がる。 顔色はまだかなり悪い。 今は隠していない首もとの『証』共々ソフィアの目に入るか。]
薬を……? こんな時にわざわざ?
[薬瓶は受け取らず、笑まぬ俯きがちな瞳がソフィアを睨む。]
(130) 2010/08/08(Sun) 13時頃
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楽しいですか?
[口の端を歪め哂う。 自らを貶め嘲笑うように。]
足も身体もが悪くて。 愛想すらなくて人付き合いも悪い。 そんな奴にあれこれ世話を焼いて、楽しいですか? 優しい自分に浸れてとても満足でしょう?
もう、うんざりだ。
[醜い本音を吐き出すと、憮然とソフィアから目を逸らした。]
……帰ってください。
[ぼそりと抑揚なく言い捨て。 ソフィアが去ろうとしなくてもそれ以上の会話は拒絶し*扉を閉めた。*]
(131) 2010/08/08(Sun) 13時頃
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