270 食人村忌譚
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畜生がガタガタうるせえんだよ!!
[右目があった場所が熱くて仕方ないのに、 丞の声が煩くて仕方ない>>6:44 出鱈目に振るった鍬が何かを捕らえたのは判った。 刺すには形が向いていない。 だが従う様に、鍬先を向けて硬い遮りがあった 場所へと振り下ろす。
今度は獲物を縫い留める事が出来ただろう>>6:45 血溜まりに、何かが倒れる音がした。 鍬を手放すと、そのままその何かに馬乗りになり、 右目に感じる違和感を引き抜くと、 男の教え通り彼へ返す]
(3) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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[心の臓、あるいは喉、それを狙う冷静さはなく。 何度も何度も何度も何度も振り下ろす。 顔が刻まれ、潰される中で、抵抗もあっただろう。
その手が血の海に沈むまで]
はは……やっと……大人しくなったか。
[1人で家畜の処理はやはり大変だ。 息が上がり、寒さを感じる。 寒さから暖を求めるように、それこそ殺したばかりの 温もりを求めるように痩せた男の身体に 顔を近付けて、刻まれた場所に口を付けて 温かい血を啜る。
沸かした湯よりは温度は下がるが、ないよりはマシだ。 ただ温度は何とか判るが、味はすでに判らなくなっていた]
(4) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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[傷の手当ても兼ねて、 毒が抜けるまで何処かに隠れた方がいい。 未だ命まで取られていないことに、この毒は抜けると 信じて神社から体を引き摺るように出て行こうとする。
血だらけの鍬を杖かわりに外に出ると 既に闇に染まっていて。
その中で何か一筋の光明を見た。 まるで俺の道標に見えたそれは、兄弟の命が 燃えている明かり。
知らぬまま、重い体を引き摺ったが 自宅までは遠すぎて。 やっと耳も無くしていると気付き、 目と一緒に手拭いで押さえたまま、 近くの納屋に潜り込み一晩を過ごそうと。
朝になって、毒の効果が薄れていれば、 集会所へ向かい、残っている連中を殺そうかと**]
(5) 2017/12/03(Sun) 01時半頃
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− 朝 −
[藁に潜っていたせいか、何とか凍死は避けられた。 いつも通り朝を伝える鳥の囀り、 いや、けたたましい鶏の朝を告げる鳴き声に 激しい頭痛ごと呼び起こされた]
くっそ……痛ぇ……。
[右目と耳を押さえた布が冷たく、 身体もそちら側が冷えている気がする。
いつもなら明るい空も、どこか夕暮れから 動いていない色のままで。
毒か出血の影響かと見当を付けるが どちらも今はどうしようもないと見切りを付ける。
それよりも身体が動くうちに牙を立てなければと 揺らぐ身体を鍬で支えて歩き出した]
(20) 2017/12/03(Sun) 21時頃
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やれやれ。この身体ごと、もう不要か。
[この村全てが不要なら。 俺自身も不要。
まともに動かぬ身体の俺なんて要らない。
錠や源蔵たちと同じものになる位なら 自分から棄てなければ]
(*0) 2017/12/03(Sun) 21時頃
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[家畜とは違うと自覚した者たちは 恐らくもういない。
石動の願いは錠と共に食らい合い、死ぬことだった。
進の夢を聞くのを忘れていたと、 進みながらぼんやり考える。
この村に生まれなかったら、 彼は最初から立派に生きて行けただろうにと 憐れんで]
でも。 次にこの村がお前を引き戻そうとしても。 この群れは永くは生きないさ。
[俺が出来なくても、この群れはいずれ。 血の気が下がるせいでまとまらない考えのまま薄ら嗤った*]
(*1) 2017/12/03(Sun) 21時頃
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……よお。
[集会所に足を踏み入れる前に。 朝陽に反射する硝子の光に目を細めた>>5
その眼鏡の奥に映っている俺は 酷い姿だろう。
それでも、ニィと笑った唇の形は歪なまま]
心配は、してくれねぇの?
[体躯に恵まれなかった分、頭の回りは良い源蔵の事。 試す様に、足を止めて嗤う*]
(21) 2017/12/03(Sun) 21時頃
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[家畜と言えど、世話をした分だけ愛着は沸く。 “ミナカタ”として目の前の小人にどれだけ 世話を焼いただろうか。
薬師として当然の事、そこにそれ以上の感情はない。 あるとしても、弟子入りする前の“名残”
真一文字に引き結んで解けぬ唇。 顰めた眉>>25は深く思案する常と似て非なるもの。
子供の様な成りで、誰より考え深い男の唇が 解かれたとしても、いつもの様に 俺を詰まらせるような問いをするはずはない]
(27) 2017/12/03(Sun) 22時半頃
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何故……?
嫌になった。
ただそれだけだ。
[殺したのかと問われても>>26、 見れば判るだろうとばかりに、音にならない 唇だけの問いに、今度は答えた。
説明を求められても、理解など出来ぬだろう。 牛や豚が、何故自分たちが殺されて食べられるのかと 人間に問うたところで、納得させられる答えなどあるまい]
(28) 2017/12/03(Sun) 22時半頃
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ちょっとばかし動くのが悪くなってな。 上手くいくと思ったんだけどな。
[それこそ昔思いついた悪戯が失敗して 拳骨を貰ったような陽気さで]
お前は放っておいてもいいけど。
苦しいのに何もしてやれないのは可哀想だし。
[志乃も儀式で殺されてはいないだろうか。 それなら楽だが、目の前の男に もう薬湯を作ってやれない事を思い出せば。
苦しませて死ぬのは可哀想だろうと。 それなりの心は沸く]
(29) 2017/12/03(Sun) 22時半頃
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(それが家畜への情と何ら変わり映えしないものだとしても)
(*2) 2017/12/03(Sun) 22時半頃
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先に、死んどこうか?
[まだ力は残っているだろう。 杖代わりにしていた鍬を振り上げて、 そのままの勢いで振り下ろすが、 大雑把な攻撃など、警戒していれば容易く見切れるだろう*]
(30) 2017/12/03(Sun) 22時半頃
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[俺の答えがお気に召したかどうかなんて知らん。 僅かに距離を変える眉が、 源蔵の心の動きを示しているのだろうか>>31>>32
陽が昇っても夕焼けの暗さの視界では その翳が陽で出来ているのか、彼の心が生んだのか 判別出来ないけれども]
……なんだ?
[沈黙を彩るのは鳥の囀り、牛の鳴き声。 のんびりとした平和な村から切り離されたこの場所。 源蔵の言葉>>33は次>>34に繋ぐのに間があった。 そして俺が鍬を振り下ろすのも時間が優にあったらしい。
避けた手に見たことのある鈍光と 変わらぬように聞こえる文句>>34]
(37) 2017/12/04(Mon) 00時頃
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じゃあいなくなればいいんじゃないか?
[見上げる者が、見下ろされる者が。 どちらかがいなくなれば……]
……知らなくてもいい。
[どちらだと問われて>>35、 回らなくてもいい頭がまだ回る。
お前と野山を駆け回った子供でも。 お前の苦痛を和らげる為に薬を煎じた薬師でもない。
本当にお前の知らない俺なのだから] お前に、出来るのか?
(38) 2017/12/04(Mon) 00時頃
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殺すなら、刺せ。 切り付けろ。
[振り下ろした鍬は空を、源蔵の足元を耕した。 その勢いを殺すことも出来ず、たたらを踏んで 崩れた重心のまま前へと踏み出す。
貧血も伴い、そのまま倒れてもおかしくないのに。 執念が前に出る勢いのまま手を伸ばして 源蔵の持つ刃物を奪おうとする。
丞と同じ言葉>>6:44を吐いたのは。 その覚悟を試す様に。 もし志乃やリツが駆け付けてきても、 逃げる事もせず、血に塗れた貌に嗤いを 貼り付けたまま彼らを睨みつけるだろう*]
(39) 2017/12/04(Mon) 00時頃
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ミナカタは、源蔵を殺意と憐れみの籠った目で見つめている。
2017/12/04(Mon) 00時頃
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[薄暗い朝焼けだと感じているのは俺だけか。 切り落とされた耳が痛みと共に 幻聴まで聞こえた気がした。
何度も何度も、心の、人の在り方を説くような。 この村でそんな話をする存在がいるとは 思わないからただの風の雑音だ。
瞠目>>40は見えなくとも、光を返す刃>>41は見えた。 昨夜俺を導く篝火の様に灯っていた光の様に。
地獄の業火であり、門を開ける鍵の刃だとしても。 光を求めるように伸ばした手は、奪う前に まだ生きている家畜の名>>42に 瞬きほどの隙を生む]
(44) 2017/12/04(Mon) 01時頃
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がはっっっっ!!!
[小さな体が潜り込む。 その身体が赤く染まる。
それがどちらの血か。
駆け付けた者がいれば見ただろう。
小さな短刀。 しかし村一番の研師であり、鬼が研いだ刃が 俺の指を落とし、突き刺さった肉から ぼたぼたと源蔵に降る赤い雨を]
(45) 2017/12/04(Mon) 01時頃
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あ、あ……さみぃ……。
[自分の身体から熱が流れていく。 生きながら死に逝く感覚に。
思ったことはそれだけ。
後は……身体が傾ぐだけ*]
(*3) 2017/12/04(Mon) 01時頃
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げ、ん……ぞっ。
[してやられたとは思わなかった。 体躯を利用した上手い手だと感心する。 だからこそ殺さなければと、指を失った掌で 下に敷いた源蔵の喉を押さえて潰そうとする。
既に力は限界で、自重だけで抑え込もうとする身体は 応援でもあれば、すぐに崩れ落ちて、 残る熱と、血を吐き出して終えるだろう*]
(46) 2017/12/04(Mon) 01時頃
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/* 皆さま本当に引き摺ってしまい申し訳ない。 遅くまでお付き合い下さった方々、 進君、石動さん、ありがとうございました。
(-66) 2017/12/04(Mon) 01時半頃
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