270 食人村忌譚
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―――…あんた、 今「ミナカタ」じゃないだろ
[良き村人の頼れる存在であるミナカタがそんな顔をしていいはずはない。この温かささえ感じる血に濡れた場所で、そんな悠長な台詞なんて、吐いていいはずがない。 それでも、どこか笑みを含んでいるような囁き>>5:33に返せたのは、それだけだった。鉈を持つ手は、それ以上あがらない。
彼がこの二人を殺したわけじゃない。 ただ、おかしいだけだ。 狂っているだけだ。 それだけで決めつけられるほど、愚かな勇敢さを持ち合わせてはいない]
(0) 2017/12/02(Sat) 01時頃
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[ミナカタの赤く汚れる口元から思わず目を逸らせば、倒れた二人の惨状が改めて視界に入る]
鼠なんかに例えられちゃあ、 可哀想だ
[血濡れたという理由で豚小屋が使われなくなるならば、神社はどうだろう。巫女は殺され、巫女の姉も殺された。系譜は途絶え、生まれ変わりが成ったとしても、それを見分ける術はない。
二人を無事に運び出してこの場の血を綺麗に洗い流しても、もはや神社としての意味を持つことはないだろう。 それとも、人を喰らう村の神社は、最初から穢れていたのだろうか。躊躇わず、理性を振り払って、脳天目掛けて鉈を振り下ろしたほうが良かったのか。
考え込んだように見えて、その思考は刹那。 殺し合った二人の死に理由があるのなら、それを作った「下手人」がいるのならば、その肉を喰らわなければ、終わることは出来ない。>>3:17 たとえ、いつかは来る終わりが、悲劇だけでなく村の終焉だったとしても**]
(1) 2017/12/02(Sat) 01時半頃
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真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 01時半頃
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/* さて今日のでふぉるとの護衛は、 ……そのままにしておこう
(-1) 2017/12/02(Sat) 01時半頃
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真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 22時頃
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[窮鼠、と言ったはミナカタだろうに。>>10 とはいっても、笑っただけで返さなかった答えは「どちらも」だ。 鼠は害虫だ。こと容ならば、農家としての心境も相まって、鼠に例えられるなんて御免だろうに、と。 感傷に目の前が揺らぐ。 その場にしゃがみこみ、二人に触れた。 指が血濡れ、温もりを保った赤はすぐに冷えた]
毒? あんた、 食ったのか
[どちらを、とはわからない。 咄嗟に振り向いた眼前に、銀色とはもはや言えない、既に人の血を吸った鍬が迫り、反射的に鉈を振りかざした]
(18) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[立ち上がりかけた半端な体勢。 よろめいた足は血で滑り、なんとか転げるのは免れたものの、左手を床につけたがために、右手だけで持った鉈はなんとも頼りなく鍬の衝撃を殺している。 押し返そうとも力は入りきらない。鍬が引けば、なんとか立ち上がりたいが、許されるだろうか]
おい! お前、
[なんと呼べばいい。 ミナカタとは呼びたくない。 名は、なんだったか。知らぬはずはないのに咄嗟に出てこなかったのは、彼が死ぬまでミナカタだと信じていたからか]
殺したのか!
[愛理を、江津子を。 そして今、さらに二つの死が増えたことはいまだ知らず、もはやわからなくなった血臭の中、睨みつけるばかり*]
(19) 2017/12/02(Sat) 22時半頃
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[鍬を押し返し立ち上がる。 後ろに一歩、二歩。後ずされば踵が何かに触れた。どちらかは確認できないが踏みつけるなんてことはしたくない。そして、部屋の出入り口はミナカタの向こう。―――鼠なんかに例えられてたまるか。左手を腹のあたりで拭き鉈を持ち直す]
それなら、 俺にもあんたを殺す理由は出来た
[覚悟はついてくると信じよう。 ミナカタだ、と彼は言う。 知らないだけ、とも言う。 彼女たちを殺した理由を、きっと言う気はないのだろう。 思い切り舌打ちをし、唇を噛みしめる。 もう一度鉈を握り直し、大きく前へ踏み込んだ]
(24) 2017/12/02(Sat) 23時頃
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[両手で持たれた鍬は、胸のあたりを強かに打ち、息が止まる。 今度はそれを留めるでなく、同時だろうか、横殴りに首のあたりを狙うよう振りかぶった。その瞬間、血と手汗にぬめった柄が、手中をすり抜けていくのを感じた。 そのまま、壁にでも突き刺さるか、あるいは少しでも傷つけることが出来たか]
俺を殺して、 食べてくれるのかい
[鉈がなくなれば、得物はあとひとつ。 常に肌身離さず持っている、柄が掌とちょうど同じくらいの小刀だ。刃の癖も何もかもをよく知っている相棒。 それが、わが身を守ってくれるかはわからない。 懐に突っ込んだ手は絵を握り引き抜くことは出来たろうか]
(25) 2017/12/02(Sat) 23時半頃
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家畜と呼ぶなよ 今まで交わしてきた言葉は、 なんなんだよ
[合間に叫ぶ言葉は、答えを求めてのものではない。 相手がただの罪人と見て殺しにかかる、なんてことは出来ない。 ただの農家には荷が重すぎる。 言葉を交わし、共に同じ飯を、肉を食らってきた村人同士なのに、躊躇わないなんてこと、あるはずがない*]
(26) 2017/12/02(Sat) 23時半頃
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鬼丞は、源蔵がこの場にいたらなんて声をかけたろう。
2017/12/03(Sun) 00時頃
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/* ちょっとあの、 あれですね 丞、かなりまともな人なんだな、って思って うん みなかたのこと、結構きにいってたんだな、って ちょっと、うん
(-19) 2017/12/03(Sun) 00時頃
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[鉈が柱に刺さる音がした。 切り裂いた耳から飛び散った血飛沫が右目に飛び込む。 それは、驚くほど熱かった。
拭う暇もない。しきりに瞬いて、ようやく晴れた視界に飛び込んだ鍬。あ、と思った次の瞬間には膝をついていた。 殴られた頭はぐらぐらと揺れている。 それでも、横殴りだ。致命傷というわけではない]
へ、 っは、 それじゃあ殺せねぇだろ わかるだろ
もう、何人も殺してきたんだろ
[手探りで取り出した小刀に指先が傷ついた。 それは痛みを齎さず、俯いた顔に妙な笑いを張り付けたまま]
(38) 2017/12/03(Sun) 00時頃
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[殺されるつもりはない。諦めるなんて馬鹿げている。若い者よりは、という気持ちはあったが、こんな形で終わるのは御免だ。 致命傷はなくとも、乱闘なんて向いていない筋力のない身体は、限界に気付けばすぐに動かなくなりそうだ。
やおら伸ばした左手は、至近にいればその衣服を引けるか。 距離を近づける、あるいはぐらつかせるだけでいい。
それから刃渡りを半ば握りしめた状態で引き抜けば、短刀を、柔らかい場所へ――叶うならば目を狙う、届かなければ仕方ない――思い切り突き立てようと*]
(39) 2017/12/03(Sun) 00時半頃
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真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/12/03(Sun) 01時頃
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[この小刀がとらえた、一番柔らかいものだった。 人の目玉を、生きているうちに抉ったことはない。 食べたことはあるが、あまり好みではない。 こうして潰してしまえば、食べることもないだろう]
殺すなら、刺せ! 切り付けろ!
刃物なら簡単に殺せるぞ!!
[闇雲に振り下ろされた数は何度だったか。 小刀は右目に刺さったまま、離した手は伸び、避ける間もなく鍬に捕らえられた。鈍った刃は骨で止まる。もう一度振り上げられ、新たな血が粘着質な音と共に飛び散った]
(44) 2017/12/03(Sun) 01時頃
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[得物は全てこの手を離れた。 腕も一本とられ、それでもまだ、こちらには正常な視界がある。 二の腕から先が千切れかけた右腕のことは、後で考えればいい。生き延びたら、その時に。 元気なままの足を使ってその場を転がるようにして逃げた。
あるいは、その鍬が足を捉えたら、それで終わり。 無事に距離をとれたら、その時は――体当たりでもなんでもいい。 気絶なんて生易しいことは言わない。 口に出した通り、殺すつもりで立ち向かっている]
(45) 2017/12/03(Sun) 01時頃
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