270 食人村忌譚
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―― 回想 / 姉と私 ――
[仲の良い姉妹だった。 私はいつも容の後をついて回る子供だった。 同じ母から生まれたのが不思議なくらい 私たちは似ていない姉妹だった]
姉さんの髪は、とても綺麗ね。 ミナカタさんと同じ色。>>0:147
[子供ながらに、姉の透き通るような焦茶色の髪が 羨ましくて羨ましくて]
どうしたら姉さんみたいな髪になれるの?
[そう言って母を困らせたりした]
(9) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[姉は私よりも早く「女」になった。 巫女の家系の女にとって それは喜ばしいことだと聞いていた。 ……だというのに]
姉さん。
[姉は泣いていた。>>0:46 快楽ではなく、苦悶から。 隣室から聞こえる姉のすすり泣きの声が、苦痛の呻きが。 とても怖くて、怖くて。 私はずっと、姉の行為が終わるまで 自分の部屋で耳を塞いでいた]
(10) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[あの子に巫女は無理だわ、と。 母は冷たく私に言った。乾いた声であった。 慈愛に満ちた母の昏い一面を、 私は初めて見たのであった。
母には幾人もの子がいたが、 手元に置いて育てたのは女児だけであった。
今ならわかる。 母は“子”ではなく、“後継者”を育てたかったのだ。 巫女になれない子に興味はなかったのだ、と]
母さん、大丈夫よ。私が巫女になるわ。
[そう言わないと、家族が壊れてしまう気がした。 私が巫女になれば、きっとこの神社に 姉の居場所を作ってあげられると思った]
(11) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[それは、思い上がりだった]
(12) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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[母を食らった日。私が巫女になった日。 そして父とまぐわい、「女」になった日。 あまりにも、たくさんのことがありすぎた。
石動の温もりの残る布団に体を預け、 心地よい疲労と共に眠りについた。
そして部屋に射し込む朝日と共に目覚めた私は、 神社に姉の姿がないことに気付いた]
……姉さん?
[神社中を探す。 姉の部屋はそのままで、履物だけがない]
(13) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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姉さん。ねえ、どこなの。
[胸が苦しくて。心臓が張り裂けそうで。 夢中になって、裸足のまま境内を探し回る]
いや。私をひとりにしないで。
[母はいなくなった。 姉まで私を置いていなくなるのだろうか]
姉さん、姉さん、姉さん――……
[姉は、帰ってこなかった。 巫女の孤独を、私はこのとき知ったのだ]
(14) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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―― 現在 / 神社 ――
[姉の部屋は、ずっとあの日のまま。 いつ姉が神社に戻ってきてもいいように 掃除だけは欠かさず行っている。
写真立てに飾られた、白黒の写真。 幼き日の私と姉の姿が収められていた。 幸せそうな笑みを、浮かべていた]
……姉さん。 この神社は、私ひとりには広すぎるよ。
[また姉と一緒に暮らしたかった。 村の神は、私の願いを叶えてくれることはない**]
(15) 2017/11/23(Thu) 02時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 02時半頃
巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/23(Thu) 22時頃
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―― 神社にて ――
……志乃。志乃じゃない!
[>>90するりと箒が私の手から滑り落ちた。 集めた枯葉の山が、その衝撃で四散する]
ああ、よかった。 ここに来られるくらいに具合が良くなったのね。 本当に心配していたのよ。
[思わず駆け寄り、彼女のたなごころを優しく包む。 かつて若い年頃の娘らしく滑らかだった彼女の手肌は、 火傷の跡が未だ生々しく、痛ましさにそっと目を伏せた]
(96) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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さあさ、上がっていって。
[久方ぶりの友人の来訪に、私の声音は弾む]
ご飯はもう済ませているかしら。 今朝は多く作りすぎてしまったの。 もしもよかったら一緒に。
[神社の中に招き入れ、応接間へと通そう。 途中、姉の部屋の前を通った。 主のいないがらんとしたその部屋は、 ひどく寒々としていた*]
(97) 2017/11/23(Thu) 23時頃
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―― 回想 / 姉と、進と、 ――
[いつも姉の後ろをついて回っていた私は、 誰からも妹扱いされていた。
明朗な姉の容。引っ込み思案の妹の私。 あの頃。私たちは、ふたりでひとつだった。
昔は姉に連れられ、よく進の家を訪ねたものだ。
ふたりで作った握り飯。>>28 姉の作ったものは、整った形。 私の作ったものは、崩れそうなほどに歪で。 握り飯を見れば、すぐに誰が作ったものか判別はついた]
(117) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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進くん、ごめんね。 いつか姉さんみたいに 美味しそうに作れるようになるから。
[それでも進は、喜んで受け取ってくれたように思う。 いつも妹扱いされる私が、進の前では“ゆり姉”になれる。 進と接するとき、私はすこし大人になれた気がしたものだ]
(118) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[本当に私が「大人の女」になったとき、 私と進の関係が壊れるとは思っていなかった]
(119) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[巫女が代替わりしてしばらくの間は、 どれ新しい巫女の具合を確かめてやろうと 村の衆たちが入れ代わり立ち代わり神社に出入りした。 その中に、進の姿はなかった。
代替わりに関わる様々な神事をこなし 夜な夜な神社を訪れる男たちの汚れを祓う。 多忙な日々に忙殺されて――…… いや、なくした家族たちから目を背けていた私は 進の家から足が遠ざかっていた。
あそこは、姉と共に訪れる場所であった]
(120) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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……進くん。 あなたは神社にお清めにいらっしゃらないの?
[巫女になってから一度、 そう彼に尋ねたことはあっただろう。
自分を抱く気はないのかと。 巫女として不足があるのかと。
進が村人たちから“種馬”として 重宝がられているのは知っている。>>28>>64
決して、彼がその手の行為を忌避しているわけではない。 というのに、神社に彼が訪れることはない。
……進に、避けられている。 どこかで歯車が狂ってしまったのだろう。 巫女になる前と、後。同じ関係ではいられない]
(121) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[それは私と姉も同じだ。 あの頃。私たちは、ふたりでひとつだった。 歯車はすでに狂ってしまった。
また、私たちがひとつになるためには、きっと――……]
(122) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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[食い、食われるしかないのだろう*]
(123) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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ゆりは、イルマに話の続きを促した。
2017/11/23(Thu) 23時半頃
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/* やばいちょっと待って。 眠すぎてゆりのロルが完全中の人になってないか。 がんばれがんばれ。
(-47) 2017/11/23(Thu) 23時半頃
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―― 神社 / 応接間>>130 ――
悪くなんかないわ。 食材は余すところなく食さなければ可哀そう。 ……そうでしょう?
[朝ごはんの食材が何であるかは敢えて告げなかった。 有無を言わさず、卓袱台に朝ごはんを並べる]
たくさん食べなければ 良くなるものも、治りが遅くなるわ。
心配で心配で。 ミナカタさんから、志乃のことはよく聞いていたのよ。
[巫女としての仮面を外して、友人として言う*]
(137) 2017/11/24(Fri) 00時頃
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/* あとプロから思ってたけど石動パパの茄子ちゃん臭がすごい……違ったらごめんだけども。
(-48) 2017/11/24(Fri) 00時頃
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/* いるる姉さんのメモを見て癒される
(-51) 2017/11/24(Fri) 00時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 00時半頃
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―― 神社 / 朝食の席にて>>156 ――
[命をいただく。骨の髄まで。
薄らと湯気を立てるご飯と、頬肉の味噌汁。 先月亡くなり、塩漬けにしていた氏子の肉だ。
志乃とも親交のあった壮年の男ではあったが、 私がそれを彼女に告げることはない。
何度も“お清め”で私の胎に精を吐き出した男が、 今は私の腹に収まろうとしている。 これほどめでたいことがあるだろうか]
何か変わったこと、ね。 私は相変わらずよ。
[私は困ったように笑うことしかできない]
(185) 2017/11/24(Fri) 19時半頃
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[姉さんは帰ってこない。 男女を問わず村人たちと日々交わり、 その心と体を慰める毎日。 取り立て話すようなことはない。
沈黙が気まずくなった私は、 矛先を志乃に変えることにしたのだった]
……で。 志乃はミナカタさんの子はもう孕んだの?
[ミナカタのところに 志乃が度々出入りしているのは聞いていた。 “そういう間柄”と邪推する気持ちが半分、 旧友をからかう気持ちが半分**]
(186) 2017/11/24(Fri) 19時半頃
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[>>194咳き込む志乃の反応があまりにも可愛らしくて 私は思わず食事の手を止めて、微笑むのだった]
あらあら。 志乃はまだお子さまなのですね。
[旧友をおちょくる姿は、 尊敬を集める巫女の欠片もない。 おかわりはいりますか、と志乃の膳を受け取る。 誰かと食事を共にするのは久しぶりだ。 だから私は、胸の内に過った疑問に蓋をする]
(196) 2017/11/24(Fri) 21時頃
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[志乃の答えを聞いて、安堵したのはなぜだろう]
(197) 2017/11/24(Fri) 21時頃
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[考えてはいけない。私は巫女なのだから]
どんなことを、考えている。ね。
[首を振って志乃との会話に集中する。 思い出すのは、先日のミナカタとのまぐわいであった。 そっと胎をひと撫でする。 子種を注がれる熱い感覚が、鮮やかによみがえる]
誰かに必要とされて嬉しい、かな。 村人のみんなが、私の“お清め”を望んで 夜な夜な神社を訪れるの。
私がこの身をささげることで、 誰かの悦びにつながる。
それに勝る幸せはないわ。
(198) 2017/11/24(Fri) 21時頃
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[巫女としての模範解答を述べてから、少し間をおいて]
巫女としての勤めもあるけれど、 私は誰かと“ひとつになる”瞬間がとても幸せなの。 自分はひとりじゃない、と感じられる。
[そうして志乃の言葉に、少し口を尖らせて>>195]
あらあら、子孫繁栄を司る巫女からすれば 聞き捨てならない台詞ですね。
[冗談めかして言ってから、頬を緩めた]
(199) 2017/11/24(Fri) 21時頃
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例えば……そうね。 志乃に分かりやすく言うと。
自分を求めてくれる男性に抱かれて 子を為すことができたら、女として幸せでしょう?
きっとそういう単純な話よ、これは。
[孕み子を産む自分を想像する。 昨日のミナカタとの行為で私が孕めば、 きっと焦茶色の髪を持つ可愛らしい子が生まれるのだろう。
――頭に浮かぶのはなぜか、幼い日の姉の姿だった*]
(200) 2017/11/24(Fri) 21時頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/11/24(Fri) 21時頃
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志乃のような母親を持つことができたら とてもその子は幸せだと思うわ。
[>>206ゆるりと玄米茶をすする。 発した言葉は、噓偽りのない真実だ]
困ったときは私を頼りなさい、志乃。 こんな私だけれど、巫女としての立場で あなたを支えることはできる。
[頼る家族のいない志乃がひとりで子育てをするのは 容易な行為ではないだろう。 自分の立場なら、彼女を援助することはできる]
(220) 2017/11/24(Fri) 22時半頃
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……頼ってもらえないと、 友人としては寂しいものなのよ。
[ぽつり、と告げて。 それから志乃の言葉>>207に目を丸くして ふっと相好を崩すのだった]
あらあら。隅に置けないわね、志乃。 リツは私を抱いても、いつもつまらなそうにするの。
そのリツがあなたと褥を共にしたいと言ったのは、 たとえ冗談だとしても、 あなたが女として魅力的ってことよ。
[巫女としてリツを満足させられない不甲斐なさには そっと蓋をする]
(221) 2017/11/24(Fri) 22時半頃
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自信を持って。志乃。
[巫女は理解できない。 友人の抱える不安を。
巫女は理解しようとしない。 女は男に抱かれ子を為す存在なのだから。
凝り固まった価値観は変えようがなく。 だから私は離れて行った人々と和解することはない*]
(222) 2017/11/24(Fri) 22時半頃
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