23 きらきら夕日と、なかまたち
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[公民館から、学校の前を。
雷門が住む本家前を。 秘密基地の前を。
皆で通った道を。
自転車で走る。走る。走る――――]
(+0) 2010/07/30(Fri) 02時半頃
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やっぱ、まだ森に居るんだよなァ。
[勝丸にならって、皆で手を合わせた地蔵の前。 捨てるように自転車から降りる頃、源蔵に出会っただろうか]
(+1) 2010/07/30(Fri) 02時半頃
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[亀の甲羅を二つ背負ったかのように、 ふうふうと荒い呼吸を繰り返しながら、森を降りてくる。
その途中、蹲っているゆりの横を通ったかもしれないが、 少年は気付かずに、地蔵まで辿り着いた所で――]
あ、たっちゃん! あの……ゆりちゃん、降りてきてませんか?
[彼の顔を見つければ、飛びつく様にそう尋ねた]
(+2) 2010/07/30(Fri) 02時半頃
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[慌てた様子の源蔵に、視線を合わせれば]
源蔵か。 ……いや、会ってないっつーか。
やっぱ、ゆりは、皆と一緒じゃなかったんだな。
[困ったように、眉をさげてから。 2人分の荷物を持つ、源蔵の頭を撫でて]
あとは、俺が探すからよ。 お前は公民館行っててくれるか。勝丸が待ってる。
[いつもの様に、にかっと笑って、森の中へと]
(+3) 2010/07/30(Fri) 02時半頃
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[辰次に頭を撫でられると、 じわ…と目の端に涙が浮かぶ。
いつにないゆりの行動に、緊張していたらしい]
う、うん……。 僕、待ってるから。
絶対、ゆりちゃん見つけてきてね!
[にかっと笑う年上の少年を見上げて、 その背中に手を振った]
(+4) 2010/07/30(Fri) 02時半頃
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[木の根がそこかしこに伸びている森を歩く]
源蔵も頑張ったよな、二つも荷物持って。 勝丸も猫触れるようになったしよ、大人しくしてたな。 小鈴は、日向と夕顔が、ちゃんと連れてくんだろうしさ。
[遅刻しかけたり、子猫で悪戯したり。 そんな自分を少しだけ振り返って]
実は俺よりあいつらの方が、大人なんじゃねェの。
[一人一人の顔を思い出して、最後に浮かぶのは]
ゆり、何処に居んだろうなァ。
(+5) 2010/07/30(Fri) 04時頃
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[分かれ道に差し掛かれば、一度足を止め。 ぐしゃぐしゃと、両手で頭をかく]
そもそも、ゆりのあんな声、あいつのばーちゃんが死んだ時にしか聞いてないしな。 何があったんだかしんねェけど、あんなん…。
あ。
(+6) 2010/07/30(Fri) 04時頃
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えーっと、なんだっけな。 ゆりが、ばーちゃん死んだ時に、行ってた木がある、って。
確か、大きな……。
[森の中には百年杉ほどじゃないが、たくさんの大きな木がある。 その中でも、覚えやすいのは]
あのクスノキ。
[ぱん、と自分の頬を叩いて気合を入れて。
真っ直ぐ向かった先には、長い黒髪を揺らす女の子が―――**]
(+7) 2010/07/30(Fri) 04時頃
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[あまりの痛みに意識は朦朧としていた。汗でTシャツは背中に貼りつき、応急措置はもう意味を成していなかった。
ここは、下級生も知らない場所。こんな所で死んじゃうのかしら、と、ぼうっと考えて。 死ぬ前にもう一度、みんなに会いたいという気持ちが込み上げた時、揺れた瞳が、幼なじみの姿を映した]
た、つ、じ…?
(+8) 2010/07/30(Fri) 05時半頃
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[生まれた時から傍にいた少年の姿を見て、どうしようもなく安心して、ぶわっと涙が溢れた]
辰次、辰次……っ!
[何度も名前を呼ぶ。それ以外の言葉が頭から消えてしまったように]
(+9) 2010/07/30(Fri) 06時頃
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[駆け寄ってきた少年に、両腕を回してしがみつこうと]
辰次…辰次ぃ…っ
(+10) 2010/07/30(Fri) 06時頃
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[荷物を前と後ろに背負って、とぼとぼと、公民館へと歩く]
ゆりちゃん……たっちゃん……。 大丈夫、だよね。
みんな、みんな。大丈夫だよね。
[じんわりと滲む涙を見られたくなくて、 ぐしっと。 乱暴に拭った]
(+11) 2010/07/30(Fri) 09時半頃
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うお。
[何時もよりは力弱い、その腕が自分に回されるのを、半ば驚きつつ]
……な、なんだよ、暑さでバテでもしたか? もう、大丈夫だかんな。
[ぎゅっとしてくる少女の背中を、ぽんぽんと撫でる]
(+12) 2010/07/30(Fri) 10時半頃
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[幾許か――嗚咽が少し収まる頃。 タオルをゆりの首に、軽く巻き。 帽子を頭にぽすっと載せ、顔を覗き込む]
うごけるか? 地蔵さんまで、何とか頑張れば、後は自転車乗せてやっから。
(+13) 2010/07/30(Fri) 10時半頃
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[同い年の幼馴染。自分より少し背の高い少女を、おぶったり、抱き上げたり。 出来ればかっこいいのだろうけど、それは今の自分には出来なくて]
……ブルーみたいに、なんでも出来りゃァ、いいんだけどよ。
[ 絶対に背ェ追い抜かしてやるんだかんな。 なんて、今の状況にそぐわない事を思いながら、手を差し出した]
(+14) 2010/07/30(Fri) 10時半頃
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…ん。
[差し出された手を握ったら、そこから力が流れて来る気がした。痛みはまだ強かったけれど。何とか立ち上がる。
と。自分の状態に気づいて]
あんまり、こっち、見ないで、ね…?
[羞恥に顔が染まった]
(+15) 2010/07/30(Fri) 11時頃
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助けにきて、くれたじゃない。ヒーローみたいに。
わたしは、イエローだから、助ける側なのに、ね。 情けないなぁ…。
[弱々しく笑って、前を行く少し下にある頭に、こてん、と額つけ]
ありがとう…。
(+16) 2010/07/30(Fri) 11時頃
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[とぼとぼと公民館まで来れば、 そこにはまだ勝丸の姿があるだろうか。
二人分の荷物を玄関脇に置いて、ぐしっと涙を拭いながら中へと入る]
(+17) 2010/07/30(Fri) 15時半頃
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たっちゃん……無事にゆりちゃん見つけられたかな? 何もなければいいけど。
[森へ入っていく辰次の背中を思い出しながら、 ぽつりとそう呟いて。
ふと、外を見れば。 いつしか、お日様は。西へと傾きかけていた]
小鈴ちゃんたち、ちゃんと”たからもの”見れると良いな。
(+18) 2010/07/30(Fri) 15時半頃
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[幾分赤みを帯びてきたお日様に眸を細めて呟いた後、 ふと気付いた様に]
あ、みんなを迎えに行くのに、 雷門おじさんに車を出して貰わなきゃ!
[子供の足で歩いて行けば夕暮れまでかかる百年杉も、 雷門おじさんの車で上がればほんの数十分で登れるから]
(+19) 2010/07/30(Fri) 15時半頃
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かっちゃん、僕、雷門おじさんの所に行って来るよ!
[勝丸が公民館にいるならそう告げて、 まるで放たれた矢のように飛び出していった。**]
(+20) 2010/07/30(Fri) 15時半頃
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[途中何度も休憩を繰り返し、いつもの倍以上をかけて森を抜ける。遅いペースに、苛立っているかもしれないのに、辰次には文句一つ言われなかった。
漸く辿り着いた地蔵の前、自転車の後ろに座って背中にしがみ付く。ちょっと逞しく思えるのは、いつもわたしが的にしているせいかしら、と若干おかしな事を考えながら、落ちないようにぎゅうっとした]
先に…わたしの家まで、送ってもらえる? 着替えたいの…。
[波のように訪れる痛みは少し軽くなっていたけれど、このままの恰好で公民館へは行けない]
(+21) 2010/07/30(Fri) 17時頃
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おう、ゆりン家な。 じゃあ冷えた麦茶くれ!氷入ってるヤツ。
[なるだけデコボコしてない道を選びつつ、カーブを遅めに曲がって、ゆりの家の方向へ走る。 ツクツクボーシの鳴き声が、そろそろ日が落ちるのを知らせる]
そろそろ夕日だな。百年杉までの道を間違える……って事ァないか。
[細い声のゆりとは反対に、なるだけ何時ものように明るい声で話しかけながら。 しゃこしゃこと自転車を漕ぐ。
村の住宅街が近くなってくれば、源蔵の乗った車とすれ違うだろう]
(+22) 2010/07/30(Fri) 18時頃
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分かったわ。
…ごめんなさいね、お腹すいてるでしょう? 公民館に行けばお弁当の残りがあるから、わたしを送ったら、行ってもいいのよ?
[少し温度の下がった風が肌を撫ぜる。置いてきた子たちを思いながら、せめて辰次はみんなと一緒にいてほしい、と]
(+23) 2010/07/30(Fri) 18時半頃
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[麦茶のお茶請けは、牛乳寒天にしよう。傷むかもしれない、と、お弁当には入れられなかったから]
小鈴、きっとあの景色、喜んでくれるわよね…。
[自分は見られなかったけれど。 きっと残った子たちが立派に案内をしてくれるだろう。 帰ってきたら、謝らなくちゃ。 そして、良くやったと、いっぱい頭を撫でてあげようと思った]
(+24) 2010/07/30(Fri) 18時半頃
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あの夕日を嫌いなやつァ居ないだろ。 小鈴だって気にいるに決まってんじゃん!?
[初めて見た夕日を思いだしながら、自信を持って、言う。
そして、軽く音を立てて自転車が止まる]
着いたぞ。むーぎちゃ!むーぎちゃ! あっちいから、何杯でも貰って待ってるからな。
[ゆりが降りるのを確認してから、無駄に胸を張った]
(+25) 2010/07/30(Fri) 19時半頃
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[くすりと笑みを溢して家に招き入れる。グラスにたっぷり氷を入れ、冷蔵庫から取り出した麦茶を注ぐ。 お盆にグラスとポット、牛乳寒天を置いて運ぶと、奧に引っ込んだ]
…待ってて、くれるのね…。
(+26) 2010/07/30(Fri) 20時頃
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[奧の部屋では、弟たちがテイコクジャーを見ていた。やはりイエローは男で、更に言えば、少々太めであった]
………。
[何も言わずに母の仕事部屋へ。事情を告げると、驚く程優しい対応をしてくれる。お赤飯炊けなくてごめんね、と言う母に]
別にいいわ。 夕飯は、昨日のカレーがあるもの。 あ、シャワー浴びたら、また出かけてくるから。
[青白い顔で微笑んだ]
(+27) 2010/07/30(Fri) 20時頃
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[腰を温めなさい、と言われてお風呂に入る事にした。 湯船に浸かってぼうっとしながら]
どうして辰次はあそこに来てくれたのかしら…?
[自分が無意識に助けを求めたのには気づいていない]
(+28) 2010/07/30(Fri) 20時半頃
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[紺色のノースリーブワンピースに着替え、辰次が待つ部屋へ]
…お待たせ。
(+29) 2010/07/30(Fri) 20時半頃
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