194 花籠遊里
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亀吉に1人が投票した。
シーシャに9人が投票した。
シーシャは村人の手により処刑された。
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藤之助! 今日がお前の命日だ!
2014/09/19(Fri) 02時頃
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
藤之助が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ヴェスパタイン、トレイル、ニコラス、亀吉、朧、丁助、ヘクター、櫻子の8名。
昇り出た陽が打ち落とされ。
宵闇が変わらずやってくる。
昨夜と違うことはといえば、霧雨降り出したことであろう。
壊れたラヂヲは変わらず繰り返す。
おうや、おうやと手招きひとつ。
一匹の蝶減った虫籠。
一輪の蝶減った花籠。
(#0) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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トレイル殿。 今宵の銀月は綺麗ですねえ。
(0) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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[雲に隠れて見えもしない月を まるで見透かしたように、揶揄した。]
(1) 2014/09/19(Fri) 02時頃
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― 黎明幕間 ―
[月の視界を塞ぎ、彼が嫌がるたびに、名を恋わせた。 毒を浴び続ける享楽は、身体以上に心を軋ませたろう。
夜蛾の悪辣は際限を知らず、今宵も花を傷付けていく。 作法が為っていないと叱る花主など居らず、 元より蝶と花とはそういった関係。>>2:206]
(2) 2014/09/19(Fri) 02時半頃
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[嫌がる彼を押さえつけ、放埓に振舞う夜は刻々更けていく。 暴力的とすら言える睦言は、情人に齎す其れでない。 蜜を貪る愉悦の一時であった。
そうして、暁が迫り、明星が空に瞬く頃。 男は好きに使った彼を牀榻に捨て、傍を離れる。 眼差しを隠す帯も解かぬまま、彼を暗闇に幽閉するまま。
気怠げに床に降り立ち、格子に進める足。 最中、チラと別の牢へ視線を向ければ、 ほんの少し瞼を細め、浅く唇を開いた。]
(3) 2014/09/19(Fri) 02時半頃
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[ひとつ、ふたつ。 零す言の葉は恐らく要を得ない。
まだ、漆黒に閉ざされる銀月を示唆するように一瞥した後、 好きにしろと云わんばかりに余所の牢からも視線を引き剥がし、 男は再び足を踏み出す。本来、己の住まう外の世界へ。
朝日を厭い、夜蛾は翅をまた開く。
――――*さぁ、夜が明ける。*]
(4) 2014/09/19(Fri) 02時半頃
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ー 夕暮 玄関先 ー
[今宵も又、何かに誘われるかのように館へと翅を伸ばす。 自分を追う者も居らず、忌む者も居らず。 夕闇は雲に覆われ大粒の涙を館へ沈め。
――その雫らに打たれた身の端を絞りながら、宵闇に詠われた言の葉にはぞくりと背筋を凍らせて、只々気まずさを隠す様に上げた口端は――果たして、闇には見透かされていたか。]
綺麗…ですね。…ええ。
[訝しむ瞳を隠すことはせずに重質な扉を開けてはみるけれど、矢張り空に銀月は浮かばず。 その雲の裏隠されているのなら、明日にはきっと視えるだろうか。 甘い期待はそこそこに、怪し気な花主にはじとりと纏わり付くような視線を差し上げ。
今宵もまた、蜜を吸いに花籠へ。]
…銀月、か。
[花主の言葉に翳りを落としたこころはそのまま。新しく手についた黒衣をぎゅうと握り。 ただ其の姿を見てみようかと、踵を鳴らして仄暗い廊を歩む**]
(5) 2014/09/19(Fri) 02時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 02時半頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 02時半頃
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── 東雲の頃 ──
[ペティンガーさまを癒して差し上げることは出来たでしょうか。 その『蝶』もやはり、飛び去ってしまった後。 淀んだ空気をかき混ぜながら、花主さまが訪れました。 一人一人に落とされていく声は、錆びた歯車のような音でした。
朝陽の陰に消えてしまわれる前に落とした言葉>>2:*67
それはどうしてか歪に、裡を陰らせて行きました。 早朝には、一輪居なくなっているともまだ知らず>>2:*68 されど胸には厭な漣が掻き立てられていったのでありました。]
(*0) 2014/09/19(Fri) 03時頃
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── 書斎 ──
[その日はずっと、霧雨が降っておりました。 花の世話は恵みの雫にお任せする事にしまして 僕は、埃の雪舞う書斎にて書物を読んでおりました。 薄い唇が開かれ、深く息を吸い吐き出し。 泣かぬとはいえ欠伸でくらい睫毛は湿ります。 こしこしと瞼を擦っては、連なる文字を読んでおりました。
昨夜は、ペティンガーさまが癒されてくださいますように 優しく穏やかな声音にて夢の唄を囀り やがて東雲の頃になるまで、僕は一睡もしておりません。 格子に近づく足音の粗雑さに>>3 何方が近づいたかは判りましたが、僕は視線を向けませんでしたので その唇が何を紡がれたのかなんてわかりもしない事でございます>>4
それから部屋へ戻ることもなく、書斎にて本を読んでおりました。 『花』にお逢いする事も、ほぼなく。 ましてお優しい鏡花が一輪減ってしまったことなど 今もまだ知らずに居るのでありました。]
(6) 2014/09/19(Fri) 03時頃
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[辺りに散らばるは『夢物語』綴る書物にございます。
零時に解けてしまう魔法。 泡沫の泡となりゆく運命。 錘に指を刺し落ち行く眠り。 真っ赤な果実に塗られた毒。 相容れぬ立場を嘆く窓辺。
他にも沢山、取り出しては読み取り出しては読み そんな繰り返しを続けていたのが 宵に差し掛かる少し前までの事でございます。]
んー、っ… ふぁ───…
[疲労に耐えかねた小さな身体は 撒き散らかした書物を枕に転寝を始めてしまいました。
宴始まる時分となっても 書斎の奥、小動物が隠れるようにして 小さく丸まり眠る姿がソファの上にあることでしょう**]
(7) 2014/09/19(Fri) 03時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 03時半頃
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― 黎明幕間 ―
[手を引かれ頬の輪郭を辿られ戯れた月の夜。今宵己に触れている指先は掠める香りはどう足掻いたところで導いてくれた蝶のものではない。
拒絶は瞳に雫を滲ませ視界を黒く黒く染め上げていく。 けれども楔を打ち込まれた痩躯は重なり合う度に赤く熟れては色付いていく。
その手業は私利私欲に塗れた暴君の振る舞い。 花の都合などお構いなしに甘蜜を啜る蝶そのもの。
花の蜜が枯れてしまう夜更けまで、強いられた唇は紡いでいく。 一匹の蝶の名を。請うように恋うように喉震わせて。 暁が射し込む気配も、闇に覆われた身では知ることは無く。
掠れた声で一度名を紡ごうとして半端に咲いた花びらは、はらり ひらりと地に落ちてゆく。
完全に蕾を芽吹かせることの無い淡藤は黎明の灯りを浴びることはなく、覚めることのない暗雲のもとその身を晒した。
霞み行く意識は霧雨のように曖昧でいて薄っすらとした曖昧なもの。 光など──…見えない*]
(8) 2014/09/19(Fri) 11時半頃
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[花籠から溢れ地に落ちた花に何の価値があろうか。
それもいつまで経っても蕾芽吹かせ咲き乱れることのない八分咲。
水を滋養を与えたところで綻ばず、泥に花弁を染める花に見向きされることはない。
拾うのはきっと、唯の物好き。 穢れを知らぬ稚児と清純な心を持つ指と──…]
『あの花を返して貰えるかな』
[厭らしい三日月を乗せた唇。私利私欲に肥えた厚い肉塊。 あの日銀糸を乱れに乱れて引き連れた男そのものが鎮座し、銀月に科せられた金子を容易く支払っていく。]
(*1) 2014/09/19(Fri) 11時半頃
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『雨が止んだ頃合いに迎えに来る』
[楼主の返事も待たぬまま身を翻すお客人。 一連の流れを耳にしたのは、割り当てられた室内にて。告げに来たのはまだ芽吹かぬ一輪の蕾>>2:*3
乾き切った双眸に、被せられた布の気配はもう消え失せた。 だというのに鉢に浮かぶ顔色は憔悴し切ったもの。
淡藤の様子を眺めていた綻ばぬ蕾が少しばかり憂いを持ったように萎んでしまうもので、気になり声をかける。 すると小さな椿色の唇は滑り転び、やがて淡藤は鏡花が欠けてしまったことを知る。>>2:*68]
(*2) 2014/09/19(Fri) 11時半頃
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[視線は自然と窓辺へ。 しんしんと注ぐ天雲へと向かう。 霧雨に隠された月は朧気に鈍く。 庭の花を鵐に濡れしていく。]
…有難う。
[思い出したように背後にて控える花見習いに告げれば小さな足音を立てて姿を失せる。
そのまま指先を雨露降り注ぐ窓に伸ばせば、懐かしむように瞳を閉じる。ゆっくりと口遊むは雅楽の音>>0:6 せめて雨が藤を濡らさぬようにと、そっと]
(*3) 2014/09/19(Fri) 11時半頃
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─夕刻・自室─
[唇に乗せる音はもう奏でられることのない琴の旋律>>0:6 膝を抱えて小さく小さく声を乗せる。ぷかりと浮かぶ水珠と共に。
ふと、人伝に耳にした言葉を反芻させる。 記憶に浮かぶは花籠へ束ねられる前のこと。幾年か過ごした鉢の中、気紛れの気紛れに名を呼ばれてしまったのだとか。
花が籠を壊すことは出来ずとも、摘み取られることは出来る。 深く考えずに引き抜かれた花は、気紛れに水の張られた瓶へと生けられ、部屋の中飾られるのだろう。
それはいつかの日と同じ繰り返し。 胡蝶の夢とは異なり、紛れもない過去に刻まれた頁をまた歩み出す。
視界に入れた片黒衣>>2:124には双眸を見開かせ歪めながらも、結局その名を呼ぶことも、袋に手をかけることも、蝶の匂い残る革に触れることもせずに瞳を自ら手で*覆った*]
(9) 2014/09/19(Fri) 11時半頃
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ー宵闇ー
[それは赤い花の腕に抱かれる夢の中で果てた頃の事だったか。
荒く息を交わし見合わせていた花の顔がふいに後ろを向く。そして白い蝶の顔が僕の目に入る。>>2:204
白い蝶は赤い花に男を買えと言った。 それがどんな意味を持つのか僕には分からない。 ただ二人にはそれが大切なことなのだろうと記憶に留め、事後の倦怠感の中で少しだけ目を閉じた。
やがて謝罪の言葉が降り、目を開けると牢を去る白い蝶の背と、辺りに散らばる紙幣とがあった。
別に邪魔されたことに気を悪くしてはいないが、金にもなんの喜びも興味も沸かなかった。 ただの紙の形をした礼儀だ。]
(10) 2014/09/19(Fri) 12時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 12時頃
座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 12時半頃
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― 回想 / 地下牢 ―
[とんとん。とんとん。 鼓膜を敲く夢物語。背中に伝う僅な振動。>>3:201 我儘と笑うなら、笑えば良い。 ただ蝶は自分を飾る何かを探して翅を伸ばすのだから。
そう、微睡の中幼心を露にしながら。 堕ちた脳内、沈み行く夢沼に。]
(11) 2014/09/19(Fri) 14時頃
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[――そうして明方。月も星も薄らんだ色の空に溶けては消え、 彼方から陽が上る頃。 乱雑な翅音にぼんやりと目を開けると、格子の先に浮かんだ毒蝶>>3 「お楽しみだったかい」 そんな言葉は朦朧とした脳に沈み、顎先はぼふんと枕に乗せ。 呆けた瞳で蛾を視界に捕らえると、何を言うでもなく蛾の歌を耳に通し。]
(12) 2014/09/19(Fri) 14時頃
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[独り言に歌を返すこと、ひとつ。ふたつ。 軈て吐息を洩らしたならば、隣に眠る花を他所に格子を潜り、沈む月の籠へと歩みを向ける。
鳴る踵はただ反響。 明方独特の仄灯りに影が伸びる。 眠る銀月常闇に包まれ。 草臥れた躯は陽の光と代わる事を望んでいるだろうか。]
…――また、後でキミを。
………迎えに来るよ。
[夜に眠る銀月の、その視界を遮るものを開いて。 纏いの無い手でその頬に触れたのならば、目元を腹の指で撫でること、二度。 疲れた躯は如何するのが良しなのか、解らぬけれど。ただ布団を掛けて遣ったのならば、軈ては朝日の下へと蝶は翅を伸ばした*たろう*]
(13) 2014/09/19(Fri) 14時頃
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[この館に訪れるのはもう三度目か。
片手に包みを持って、この館に似つかわしくない陽の明るさを身に纏った金糸雀は舞い降りた。
なぜこの館に来るのか。 それは今度菓子を持ってくると約束したからで…否、未だ識りたいことがあるからだ。
未だ、宵闇の暗さを。 太陽が如きこの身に教えて欲しい。
普通にしていれば太陽は己が照らし出した物の裏に潜む影を目にする事はできぬのだから。
僕は三度目ともなる花主の挨拶を耳にすると、それは恒例の文句なのだろうとやっと察して。 そのまま誰かがやって来るのを持つように館の入り口に留まった。]
(14) 2014/09/19(Fri) 19時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 19時頃
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―昨晩の地下―
[一度熱を吐き出させるよう促すと、枕元に転がる仮初の蜜を後ろへと塗り込めて、彼に女を教えること。 其れが、今宵の赤い花の務め。
痛みを記憶に塗れさせぬ様、快楽を共に、ゆっくりとした速度で。
快楽を強請り、見上げて来る異国の色の瞳。 綺麗ですね、と言葉を紡いだ唇で、その目元に口付けた。]
(15) 2014/09/19(Fri) 20時半頃
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[ぬるついた感触を沈め、すべてを終えるまで、花は決して、蝶を労わる事を止めずに。
其れは、金色の頭を抱き寄せ、休息を取る頃合にか。
不意に訪れた一羽の蝶。>>2:204>>2:205>>10 強引に合わされた視線と、意味を捉えきれない言葉。]
判り、ました。 ……もしも、僕がこの花籠から無事、出る事が出来たのならば。
[四日後の約束は、今決まり。 其れよりも遠い果てに位置づけられた。
何故、と問う前に。 何かを隠した蝶は、去り行き。*]
(16) 2014/09/19(Fri) 20時半頃
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半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 20時半頃
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[男は今日もまた、陽がすっかりと暮れてから館に顔を出した。
霧雨を逃れ、冷気を払い、夜の暗がりに隠れるよう、 軒先に滑り込ませた身体は僅かに湿気っていた。
水気を厭う癖、男が傘を持ち歩くことは無い。
傘だけに限らず、男は何一つ、連れてきた事がない。 その身一つで月のない今宵も、花籠へと舞い降りる。]
(17) 2014/09/19(Fri) 21時頃
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[夢覚める頃。 花主様の御言葉を、垂れた頭の上に受け取った。
素直、に自嘲が零れても、地ばかりを視界に収める花の表情は、花主様には判るまい。
しかし、"罅割れ"というのは。
――予感は僅かに、脳は肯定を拒む。]
(*4) 2014/09/19(Fri) 21時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 21時頃
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― 遊里来訪 ―
[そうして、訪れたる花籠。 連日連夜の来訪も厭わず、恙無く迎え入れる花主に軽い会釈を向け、パイル地の手拭借りて水気を孕んだ短い髪を拭った。]
嫌だねぇ、涙雨の様なんて芝居がかりすぎちゃいねぇか。 最近は色町もキナ臭せぇ。
[独り言を漏らしながら廊下を闊歩する長躯は、目先に先客を見止め>>14一日と開けず、籠へ通うようになった金の蝶へと眼を細めた。]
―――よう、ニコラス坊や。 謳歌しちゃいるかね、花の美麗は愛でたかね。
それにしちゃあ、浮かない顔だ。 まだ、遊び方を知らぬと見える。
――――…夜の深さを、知らない顔だ。
[タオルで雑に口元を拭い、ニィと笑んだ顔を向ける。 物怖じしない彼に、裏を作らぬ声で語りかけた。]
(18) 2014/09/19(Fri) 21時頃
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ー昨晩の地下ー
くっ、は… やっぱり、優しい人じゃないですか…
[それは丁寧に慣らされた入り口に徒花の雄蕊がゆっくりと沈んだ頃だったか。>>15
口では耳を喜ばせる言葉を紡ぎ、穏やかな口づけを落とす。そしてその指は僕に快楽のみ味わわせようと丹念に慎重に僕の身体を行き来した。
これでどうして幻滅させるかもなどと口にするのか、僕には分からなかった。
指で確かめられた好い所へ楔を穿つその動きまでもがひどく優しかった。
けれども。 優しいだけでは物足りなくて、 僕は絶頂へと昇りゆく中でこう口走った。 もっと激しく、と。
それは自身への快楽の為ではなく、 赤い花の優しい以外の面を目にしたくて。*]
(19) 2014/09/19(Fri) 21時半頃
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―翌日―
[藤色の花の姿が無い事を、何時にか己は知るのだろうか。 知った所で、探しに行く事など、出来る筈も無いのだけれど。
花を気遣う花。 彼の不在に、哀しむ顔は、幾つも容易に想像がついた。
細かな雨の香りを窓の外に見やり、一つ、溜息を吐いた。]
(20) 2014/09/19(Fri) 21時半頃
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あ、ヘクターさん。
[毒蛾を名乗る彼が風雅な台詞と共に笑みを向けてくれた。>>18 そのことと彼に会えたことが僕は嬉しくて、目元と頬とをゆるりと緩ませて微笑んだ。]
こんばんは。 そうですね、色々と普段ではしない 体験をさせてもらって楽しいですよ。
でも……そう見えますか?夜を知らない。 そうですね、僕もそう思います。
[彼の言葉に同意して、僕は初めて出会ったときのように彼の姿を改めて見回した。 やはり背丈ぐらいしか自分との共通点は見つかりそうにない、自分とはまったく異なる存在。 まるで宵の闇の中から生れ出てきたかのようだと僕は思った。]
じゃあ僕に教えてくれるというのですか? 闇夜の愉しみ方を。
[清廉な揚羽は誰をも厭わず、誰をも慕う素直さで、毒蝶に破顔した。]
(21) 2014/09/19(Fri) 22時頃
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─自室─
[一向に晴れる気配のない暗雲の元。 姿を見せない金月には一瞥も暮れず、鉢の中で泳ぐ4匹の金魚と戯れていた。
目覚めてすぐのこと。 身に被せられた掛け布のことを思い出す。
昨晩、閨を共にした男がこのような細やかな配慮をするのだろうか。 考え辛かった。
ならば誰が? 『花』の中の一輪だろうか。 いや、皆それぞれの夜を共にして忙しない筈。
それに花籠にて捉えられた花からすれば、昨晩身に起きたことはありふれた一枚にしか過ぎない。 だからこそ、そんな気遣いをする貌を脳裏に浮かばせることを]
…違う。
[唯々拒む。]
(22) 2014/09/19(Fri) 22時頃
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[水草の元、ゆらりと尾びれを煌めかせる魚達。 鮮やかでいて見るもの全てを虜にする美しさがあるというのに。 此処から出ては行きて行けぬのだ。]
……可哀想。
[くつくつと咽喉を震わせれば歪んだ視界にて入るは黒片布。 湧き上がる虚しさは一つ、二つと情事を思い出させ唇を引き結ぶ。
銀糸を左右に揺らす。雑念も何もかも薙ぎ払うがの如く。
それでも何処からか香る蝶の匂い>>18>>21に、左胸を疼く痛みが増して。 逃げるように部屋から出ては、硝子戸を引き霧雨降る中 唇歪めては立ち尽くした。]
(23) 2014/09/19(Fri) 22時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/19(Fri) 22時頃
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[人好きする柔らかな気配は常と変わらず、二日続けて花を購った蝶には到底見えぬ彼。>>21 顔を合わせたのは決して久方ぶりではないが、彼は喜色を隠さない。]
普段は出来ない悪戯事を? お前さんに才能があった、それだけだろう。 俺は存外、目利きが上手いんだぜ。
[傲岸な自信家の物言い吐き出し、喉を揺らして見せた。 彼の知らない遊び方、人の心の暴き方、舌の上で転がし、彼の傍に翅を休め。
彼が毒を恐れぬのは無知故でないと知っている。 毒を孕んだ蝶に、同じ毒は効かぬだけ。]
それも余興の一つよな、―――なぁ、美しき人?
(24) 2014/09/19(Fri) 22時半頃
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[夢の中にまで、しとしととした雨の音が届いておりました。 まるで雲に霞む月の泣く、催涙雨でしょうか。 それとも水面に浮かぶ銀月揺らす、悲しみの雫でしょうか。
『夢物語』を読みすぎたせいでしょう。
ひとえに『夢物語』と称しましても、幸せな結末を迎えるものは 実はあまりないのだと謂うことを 眠ってしまうよりも少し前に知ったのでございます。
すれ違いては、死を迎える話もございました。 涙のように泡となって、消えゆく話もございました。
まるで彩るように雨が、そっと降り注いでいるのでございます。]
(*5) 2014/09/19(Fri) 22時半頃
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愛を知り、喪った物語の登場人物(彼ら)たちは 『しあわせ』だったのでしょうか?
(*6) 2014/09/19(Fri) 22時半頃
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―廊下― [変な胸騒ぎはしていたのだ。 昨夜はどこか上の空で蝶の相手をし、また何時ものように紙吹雪が舞うのを視界の端におさめ。 朝焼けを見ながら眠気が訪れることは無く、そのまま過ごし。
花籠から一輪、居なくなったのを知った。
雨はあまり好きではない。 それが霧雨程度の雨だとしても。]
(25) 2014/09/19(Fri) 22時半頃
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── 書斎 ──
[哀しげな雨の微かな音に、僕は目を覚ましました。 『おうじさま』の接吻けなんてありません。 櫻は緩やかにその射干玉を、数度瞬きさせます。]
………さ …む ぃ。
[寝起きは直ぐに動けない体質です。 瞬いたあと、散らばる本をじいっと見詰め 表題を読むでもないのに眸を滑らせ 埃ゆるやかに舞う書斎を、暫くぼやりと視線泳がせておりました。]
(26) 2014/09/19(Fri) 22時半頃
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[――以前に花籠に咲いていた"丁"という花を、己は話のなかでしか知らない。
酷く花らしい花であったとか。 同じ花の面倒を見ていたとか。 其れから、彼が何故不在となったのか、とか。
花らしく咲いていた筈なのに、籠の中に許される咲き方以外を選ぶ程に。 毒は甘く、丁を蝕んでいたらしい。
伝え聞く内容を耳に、己は彼の名を真似る事にした。 他の花達はどのように感じたかは知れない。
唯、花主様へのささやかな反抗であった事。 子供じみた本心は、誰にも明かした事は無い。]
(*7) 2014/09/19(Fri) 23時頃
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悪戯事と言うには到底及びませんが。 ふふ、ヘクターさんに認めてもらえたのなら嬉しい限りです。
[家庭教師に勉学の成績を褒められたときのような仕方で、ヘクターの言葉>>24を喜ぶ。
まるでこの館に相応しくない笑顔を金糸雀が纏い続けていられるのは、まだ宵の暗さに染まっていないためか。 それともその微笑みこそが不幸を知らぬ生が育てた確かな甘い毒であるためか。]
では是非…ご教授願えませんか。先生?
[美しい人と謂われたのなら、 薄い瞳を嫣然と眇めて毒蛾を先達呼ばわり。
甘い毒は苦い毒に教えを請うた。]
(27) 2014/09/19(Fri) 23時頃
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―→書斎―
[自室に籠る気分にもなれずに、どうせなら静かな場所へと足は自然と書斎へと向かう。
一度中に入ってしまえば誰の声も届かなそうな静寂。 それでも霧雨の音は微かに届いたか。
ひとつため息をついてから、適当な書物を手に奥へと向かえば。
ぼんやりと微睡む桜を見つけただろうか。>>26]
…櫻子、こんな場所で寝てると風邪をひくぞ。
(28) 2014/09/19(Fri) 23時頃
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[ぼんやりとまだ射干玉の眸が宙を見詰めておりました。 窓辺から差し入る月光も、今宵の泣き空では難しく 薄暗い部屋の中から見詰める廊下は 四角く切り取られたように、蝋燭の灯で彩られておりました。
廊下からやってくる気配に、その射干玉を向けます。 何方でしょう? 薄らとした意識は、記憶に重なる陰を幻に見ては何かを紡ごうとして動きます。 けれども言の葉になることを知らぬまま ゆうるりと首を傾げて、やってきた『花』を見上げました>>28]
お、ぼろ…… さん。
[いつもほやほやとしている声は、殊更のことでありました。 見上げて、見詰めた朧月はどこか陰っているようにも思えます。]
どうか、なさいましたか?
[首を傾げては訪ねてみるのです。]
(29) 2014/09/19(Fri) 23時頃
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[普段と何ら変わらぬ顔で、花は館の廊下を歩む。
昨晩、もっと、と強請った金色の蝶。>>19 彼は今日も、この花籠へと来ているのだろうか。
蝶に満足を与える事こそ花の使命と、激しさは言われるままに。 余裕の無い貌は、彼の中に果てるその刹那に。 優しさを全て取り払う等とは、きっと出来はしなかったけれど。
夜抱く熱とは正反対のように。 しとりと濡れた窓は、肌寒さを感じさせた。]
(30) 2014/09/19(Fri) 23時頃
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花街遊楽覚えても、性根が捻れちまうだけだが、 お前さんは火遊び程度で満足しない性分。そうだろう?
[彼の喜悦は難解なれど、上流階級らしい育ちの良さを無下にする男でなし。>>27 彼は自身をこの花籠より浮いた存在だと判じているようだが、中々どうして、欲深さたるや一目を置かざるを得ない。
今もこうして誘い文句を遊ばせる彼に、喉の上下が収まらず。 霧雨に冷えた指先を彼に向かい伸ばした。]
夜の深さを、人の挫き方を? 止せ止せ、月のない夜に刺されちまうぜ。
[口では咎める素振りを見せながら、指先を彼の耳横について、廊下の壁へと彼を追い立てる。 静かなる軟禁は、花にする暴力的なそれでなく。 されど、対等であるはずの彼へ教える上下間。
視座の変わらぬ眼差し触れ合わせ、首を僅か傾ける。]
―――…それとも、心の遊ばせ方を? 情熱を知らず、毒に過敏なる籠の鳥よ。
(31) 2014/09/19(Fri) 23時半頃
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― 廊下→中庭 ―
[ごつりと一際大きく踵を鳴らし、開けた場所に出たならば。 硝子戸の先に透き通る曇天を、霧雨を。唯一瞥しては湿る髪先を揺らし。 急いで来る間に跳ねた水は脚を濡らしているだろうが――そんな事は、如何でも良く。 今宵も夜に咲く淡藤が、誰にも取られぬ様にと焦りの向こう側。 館の入口にて宵闇に聲を掛けられた事は、記憶に新しい。]
(32) 2014/09/19(Fri) 23時半頃
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――…今日は、部屋に居ると良いけど。
[仄暗い廊下を雨音を背曲に歩むのは聊か億劫だと、自分本位に胸中を染めながら。 銀月の沈む籠の元へと視線を向け、足音を響かせようと片足を宙へ浮かせた時に出でる彼の月儚気な月>>23
何を慌てているのか、それとも気でも狂ったのか。 急ぎ足にて硝子戸を引いた彼は、夕暮れ時の霧雨の中、ただ立ち尽くし。 思わずに唇を情けなく開いてしまったことは、隠す事も無く。]
…ねェ、何してんの
[未だ呆ける頭を飾ったまま、引かれた硝子戸から焦り月を覗けば、ぱちりぱちりと上瞼は下瞼を叩く中問うた。
傘を持たぬ手は月を雨から守る術を知らずに。 肌寒さの為に一枚持って来た羽織物を脱いだならば、それを被せ様と庭先に爪先を伸ばしたことだろう。
――常ならば雲上に在り濡れることも無い月が、その躯を濡らすなんて珍しいと、心中にからかいを乗せながら。]
(33) 2014/09/19(Fri) 23時半頃
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どうか……?
[櫻は月を見上げ問いかける。>>29 『何時も通りの日常』を過ごす朧の顔をしていたつもり、だったのだが。 その瞳に一体何を映したのか。
覚えは沢山あるせいか、無意識に書物を握る手に力が入る。 ちらつくのは、昨日見たきりの墨色と藤色。 具体的な何かを指しているわけでは無いと分かっていながらも過るのは、何故なのか。自分でもわからず僅かに歪んだ笑みを作った。]
どうも、してない。雨の音が煩わしくて逃げてきただけだ。 ……櫻子、
[同じ年頃の花の名前をなぞったところで音は止まる。 一体何を彼に問おうとしていたのやら。
今日の俺は、何処かオカシイ。]
(34) 2014/09/19(Fri) 23時半頃
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……?
[これといって、何が原因で気がついたなどと明確なことはございません。 そのお顔が『何時も通りの日常(もの)』ではないように思われたのです。 この花籠にて、長きを共にしてきた『花』同士でもあります。 仲のとてもよろしかった藤之助さんならば、きっと 朧さんが謂わずとも何があったのかまで気付けたことでしょう。
『何時も』なら優雅に微笑まれるお顔は どこか歪に、歪んでおられました>>34
続く言葉も、不自然さを助長してならないのです。]
……お座りに、なられますか?
[追求するでもなく、僕はそっとソファの隣を空けました。 散らかした書物は重ねて端に寄せましょう。]
(35) 2014/09/19(Fri) 23時半頃
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ええ。今まで知りませんでしたが僕はどうやら欲張りなようです。
[欲する前に欲しい物を与えられてきた人生の中では知りえぬ自分の一面。僕はその一面を嫌悪するどころか、むしろ益々自分のことが好きになったのだった。]
人の挫き方ですか? 僕は自分で兎の肉を捌いた事が無いのですよ。 いつも他人が捌いたものを食しています。 そしてこれからもきっと。
[姿だけで威圧感を齎す毒蛾に壁へと追い詰められても恐れは無く。>>31ただ距離が近づいたことに胸を高鳴らせるのみ。 見詰め合うには丁度良い位置にあるその顔ににこりと笑みを返す。]
心の遊ばせ方。ええその通りです。 僕には彼岸花の優しさだけでは物足りませんでした。
もっと別のものを、その奥にあるものを… そう求めずにはいられません。
[一字違いで毒に成り得る人の心の深さを。 あるいはその浅ましさを識りたい。]
(36) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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[昔々“丁”という花が咲いていた。
とかく花らしい花であった。 花の面倒もよく見ていた。 花に慕われる花であった。
そして、咲き方を間違えた花であった。
毒に根を犯され、狂い咲き。 醜く咲いた花であった。
“丁”の最期を看取った花も、此処にはいる。 何故、不在となったかの話も絶えずある。
――けれどその花手折った者が、誰であるかは誰も知らない。]
(*8) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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[廊下を進む翳がある。 濁った空気を身に纏い、濡れた体は足音も無い。 窓辺に佇む焔を見つけて、男はそっと傍へと寄った。]
“丁”。
[ゆっくりと背後に立つ。 霧雨が落ちている窓辺より、冷えた空気が背を撫ぜるだろう。]
(37) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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……あぁ。
[櫻子が空けてくれた空間に腰を下ろして息をつき。 手に持っていた図鑑は膝の上にでも置いておいただろう。
突き詰めて聞いてこないでくれるのは、彼の正確故にか己の寡黙ゆえにか。>>35 少なくとも、長い付き合いなために機嫌が悪いわけでは無いのは見て取れただろう。
少しの間、口の中で沢山の言葉を転がす。 どれも本来なら『花』へと投げていい言葉では無いものばかり。 しかし自分一人だけでは迷路からは脱出する事はできずに、その苦悩は小さく音となり。
そういえば昔。まだ己が花としての知識教養が足りなかった頃、同じ問いかけをした事があったかもしれない。]
櫻子は、自分が『花』であった事を後悔した事はあるか?
[櫻子は、自分が今知る中で最も『花』らしい花は。どんな反応を示したか。]
(38) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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……花主様。
[低く呼ばれる聞き間違うはずの無い音色。>>37 かけられる方向を向けぬは何の圧力か。 冷えた空気は傍へ、されどじっとりと纏わりつく悪寒を伴って。
前方に、誰の影も見えずとも、取り繕った笑みを浮かべるは、花ゆえに。]
何か、御用がお有りでしょうか。
[声は日頃に異ならず。 染み付いたるは、花籠じみて。]
(39) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 00時頃
半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 00時頃
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[空いた場所にお座りになる所作は、流石に崩れず美しいものでした。 遅咲きの淡藤に『花』の作法を教える先生でもございます。 優美なそれを射干玉に捉え、彼を見詰めておりました。
しばしの間、霧雨の音だけが響きます>>38 口を開かずあったのは先程、彼が僕の名前をお呼びになったからです。 名を呼ぶということは、何かを伝えたいときでございましょう。 そして名だけで止まってしまったということは なにか、言の葉になりにくい思いが胸の裡にあるからでしょう。
やがて舞い降りた一片に、僕は射干玉をまあるくします。
そしてまた少しの休符を添えた後に答えるのです。]
僕は、後悔を『した』ことはありません。
[謎掛けのような一言を落とします。 それから言の葉にはせず「あなたは?」と問うのです。]
(40) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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─中庭─
[宵闇を切り裂くような琴の音がもう廊に響くことはもう無い。 いつかの約束>>0:263が果たされること無く泡沫に消えてしまったことに寂寥感が胸を過る。
いつか耳にした『花』の行方を脳裏に浮かべれば、鼓膜揺らすは一つの唄。>>0:278
あの日>>2:19言葉の意味を知ってからずっと。 胸に渦巻く約束は雁字搦めに身を捉えていく。
何をもって櫻の梢に『』はその言葉を伝えたのだろう。 何をもって櫻の梢は『淡藤』にあの言葉を伝えたのだろう。]
(41) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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[霧雨は音も無く地を濡らし、水気を吹くんだ土はつま先を直に汚していく。 見上げた先には一向に晴れる気配のない灰色の空。
唯一外へと出られる小さな箱庭へ向かう際、月下蝶>>33の翅を視界に収めど一瞥も暮れずに。
ただ隠れた月を求めるよう視線は空へ。
背後から伝わるつま先の気配には]
──…此処に蜜はありませんよ。
[淡々と抑揚無く呟いては、空を仰ぐ。 雨に打たれ水気を含んだ髪は銀色ではなく、灰色。]
(42) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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[足を踏み入れた花籠で知る本質。 求める前に与えられてきた傲慢さは己とは異なるが、 やはり、彼は親の世代の後に生まれた青い血の貴人。]
――…知っている、それがお前さんの在りようよな。
[蝶らしいと言えばそれまでだが、彼から覚える異質は、鱗粉撒いて拡げる翅だけに在らず。 ほんの少し上体を傾け、彼に迫る顔貌と落ちる影。>>36]
お前さんが知らぬものを余所に求めるとは結構。 しかし、奥ってぇのは――…、
[空の右手がスラと昇り、正装の上に至る掌。 大きく武骨な五指は彼の心臓を捉えて、淡く圧し。]
この奥のことだろう。
[人を暴きたがる彼に向ける言葉は訳知り顔。 撓る唇は弓形を描き、小さく喉を震わせた。]
(43) 2014/09/20(Sat) 00時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 00時頃
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用がなくちゃ呼んではいけないのかい? 寂しいことをいってくれる。
[振り向かない花の直ぐ背後に立つ。 男の気配に、空気も一層冷え込んだらしい。 常日頃と変わらない、飄々として見せる声が耳に届く。 男はまた、ねっとりとした声音で嫌味たらしく囁いた。]
姿が見えたから傍に寄っただけだよ。 雨が降っては、寒くてねぇ。
[くすり。 喉を軽めに鳴らし、後ろから回す手先。 氷のように冷たい指先。 首筋へと、這わせ。]
(44) 2014/09/20(Sat) 00時半頃
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違うな。 お前が雨で消えてしまいそうに見えてね。
(*9) 2014/09/20(Sat) 00時半頃
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[拒絶許さぬ圧は、悪辣な害虫とは違うもの。 方や蛾一匹、方や花の主。 囁き際、後ろより耳朶に冷え切った唇を霞めさせる。]
(*10) 2014/09/20(Sat) 00時半頃
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……いえ、そのような事は、決して。 唯、陽のある時間帯にこうして御声をかけて頂くのは珍しい、ので。
[背後の小さな笑い声が、空気を揺らす。>>44 冷たい感触が素肌に触れれば、背がびくつくのは反射。]
……冷えて、おられますね。 暖めなくては、風邪を引いてしまいますよ。
[植物の蔓が如く首に纏わった指先へ、そっと手を重ねた。 冷たすぎる温度に、じわりと熱を奪われる。]
(45) 2014/09/20(Sat) 00時半頃
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[そのままで取れぬような響きを持った返しに>>40暫しの間口を閉じ。 ゆっくりと瞼を下し、尽かぬ息をまた小さくはく。 こげ茶も蔦色と共にゆるりと揺れ動き、半分程瞼を明け映すのは美しい射干玉ではなく己の足元。
厚い雲は微かな月光さえも通す事無く。]
俺は、花である事に誇りも無ければ後悔も無かった。今までは。 だが、昨日は………止める事が出来なかった。 手を掴んで、もっとましな言葉を伝える事ができなかった。 俺もあいつも『花』であるがゆえに。
なぁ、櫻子。花は『大事な物』は何一つ、持ってはいけないのかもしれないな。
[それは彼に向けながらも朧の独り言にも近い言葉。 櫻子が聞いても何の事やらわからない言の葉に困らせてしまったかもしれない。 それでも誰かに聞いて欲しくて。今の朧は『花』としてなっていないと言われたかったのかもしれない。
『大切な物』を持つのがこんなに苦しい事だなんて、知りもしなかった。]
(46) 2014/09/20(Sat) 00時半頃
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丁は……雨に消えるような花では御座いません。
[更に冷えた感触を耳元に、肩が跳ねた。
花籠の主は、植物等では決してなく。 逃がすまいと、その圧が、蛇が如く絡みつく。
逆らう事など、決して出来ない。]
(*11) 2014/09/20(Sat) 00時半頃
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[見詰めていた朧月は、ゆるりと瞼を伏せられました>>46 吐かれた息は『しあわせ』が逃げてしまうような呼気。 射干玉とは違うこげ茶色は、蔦色と共に揺れ やがて再び開かれたそのお眸は、足元を映しておられました。
連なるお言葉の意味は、よくよく考えても 僕にはわからないものでございました。 けれども幾つか判ることもございます。
朧さんは、何かを悔いておられるようです。 何かを悲しんでおられるようです。 何かに苦しんでおられるようです。 それは『大事な物』が、原因であるのでしょう。
そしてそれはきっと、藤之助さんなのではないでしょうか。 『あいつ』などと呼ばれる御方は、藤の花しか思い浮かばなかったのでございます。]
(47) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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僕は、たくさん『大事な物』を持っておりますよ?
亀吉さんは僕が教える、大事な花のお一人です。 丁助さんは不器用ですが、気を使ってくれる大事なお一人で。 藤之助さんも、大事な甘いもの仲間ですし。 朧さんも、数少ない同い年の、大事なお人です。
中庭の花々だって大事です。 此処へ来ては花にとまっていかれる『蝶』も。
[話の内容がわからないだけに、何をどう伝えていいのか 僕に出来る限りの言の葉を、僕は口に致します。]
(48) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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それらを捨てろといわれても、きっと僕には出来ません。
朧さんの『大事な物』は そんなに容易く捨てられるものだったのですか?
[指先をそっと、お膝の上に伸ばしましょう。 触れることを許していただけるのならば 慈しむようにそうっと撫でて、微笑むのです。]
『大事な物』を、なくされてしまったのですね?
(49) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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[反射には、機嫌よさげに唇の端を吊り上げる。 口裂け女とでも比喩できそうな程。]
他の花なら声は掛けないさ。 お前はすこうし、特別だからね。 素直で可愛い沈丁花。
風邪を引くのは莫迦だけだ。 それとも何かい、お前が暖めてくれるとでも?
[重なる手から伝わる温度。 奪うよに冷えすぎた氷の指先が、熱を求めて掴む。]
(50) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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この…奥?
[影が落ちれば毒蛾の表情は少しだけ読み取りづらくなって。 胸に圧を覚えながらのその言葉の指し示す意味に思い当たることがなく、微笑が固まる。
鳥籠の中のようなそこで生まれ育った金糸雀が、宵闇の蜜を求めて訪れた花籠で出会った毒蛾は真理を突いた。
なに不自由ない生だったはずなのに 何故鳥籠の外に蜜を求めたのか。 何を識りたいのか。
孤を描く唇に答えを探して視線を這わせた。]
(51) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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そうかい、ソウカイ。 私の知る“丁”は、雨に根腐れを起こしてね。 狂い咲いてしまったものだから。
お前もそうなってしまうんじゃないかと思ったのさ。
[蛇が絡みつき、ぞろりと耳を嘗め上げる。 知っているぞ、見ているぞとは言葉裏。]
(*12) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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―――丁は“蝶”でもないんだよ?
(*13) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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[この花が何を思い、“丁”の字をとったかなど知らぬ。 そして男が知らぬように。 “丁”を手折ったのが男の手だということは 誰をもが知らぬことであろう。
先に告げた通り、少しばかり特別な花。
丁に丁を重ね。 蛇は首筋を緩やかに締め付けて。 後ろより首筋に残す、朱の花ひとつ。 無論、逃げることも拒否することも赦さない。
優しく、冷たく、甘美に、落つる。]
(*14) 2014/09/20(Sat) 01時頃
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私を置いて、飛んでなどいかないでおくれ。
(*15) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[まるで棒読み、或いは抒情詩。 どちらにとるかは、“ちょう”次第。]
(*16) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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左様で御座いますか。
[疑問符は幾つか。 其れを全て、言葉の隙間に押しつぶす。 訊く事を躊躇うのは、相手が籠の主であるがため。
冷えた冷えた感触に掴まれ、]
今宵は、花主様が丁を買っていただけるのでしたらば。
[欲する対価を素直に口にし、もう片方の指先を重ねる。]
(52) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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お前に買い手がつかないのなら。 “また”私が、教えてあげようか。
[冷えた手を首から離し、意味深に囁くは去る *間際*]
(53) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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――――――もう、男は“慣れた”かい?
(54) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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……いいや。 俺には『最初から』大切な物は無かったと、言い聞かせてはいるんだが。 捨てる事も忘れる事も、容易では無いな。
[朧に伸ばされた指先は暖かく優しい。 沢山の大切な物を両の手に抱える事ができる櫻と>>48 不器用で全てを手放そうとする月。
……同じ長い年月を過ごしてきた身にも関わらず、こうまで違うかと先程より柔らかな笑みと少しの苦い色を浮かた。]
無くした、のだろうな。この身じゃ探す事もできやしないが。 ……女々しいと笑うか? 一つ失くしたくらいで上手に振る舞えない、枯れてしまいそうな勢いの『花』を。 忘れろと言われたのに、最初から無かった事にできない月を。
(55) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[………こんな事をただ美しく凛と咲き誇る櫻へとぶつけても仕方がないと言うのに。 器からあふれ出た言の葉の勢いはようやく止まり。 一度射干玉を見つめると、自然な淡い笑みを灯らせて小さく謝りの言葉を。]
……わけの分からない戯言をはいて悪かった。 『忘れて』くれ。**
(56) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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開いたことも、抉じ開けられたこともねぇんだろう。 ―――…識っているぜ、ニコラス坊や。
[着衣の上からそろりと撫で上げる心臓の上。 彼の空いた胸を確かめながら、男の指が染みていく。>>51
彼の微笑みも甘言も、本質的なものだとしても、己の鼓膜には留まらず、流れていく。本当の鳴声は、きっと、この奥に在るのだ。
揺らめく夜蛾は鳥篭の傍を飛び、胸を淡く弾いて茶化す。 言葉で刺した直後の刺激は、更に微笑へ変質を促して。]
(57) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[彼の手首を不意に捕らえ、エスコートなど知らぬように強く引いた。踏鞴さえ踏ませて傍に侍らせる。彼の長躯は己の傍らに映えて、有無を言わせない。 掴んだ五指は、初めて彼に掛けられた束縛と代わり、顔を起こして小姓を呼ぶ。]
――…手隙の花を一輪つれてきな。 誰でも良いとは言わねぇが、花主に告げりゃ見繕うだろう。
[采配を花主に任せ、白羽が立つのは蝶と同じ響きを持つ彼だろうか。覗かせる悪趣味の深淵は今宵も深く、傍らの蝶の否は聞かずに足を踏み出す。
慌てるように小姓が目的を問えば、野暮天と詰りつつも、 白い歯を覗かせ、うっそりと笑みを刻んだ。]
―――ああ? 決まってるだろう、 可愛いニコラス坊やの躾に使うのさ。
[子供を躾ける折檻を思わせる声。 また、美しい彼が知らぬ世界を、夜蛾の閃きが開け放つ。**]
(58) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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以前の"丁"の話は、耳にしております。
[舌這う感触に息を呑んだ。 きゅ、と触れる指先を軽く握る。]
……ええ。 丁は、蝶では御座いません。 真似事をしても、決して飛ぶ事は出来ぬ花。
[首に痕残す感触にさえ、逆らえずに居る、哀れな花。]
(*17) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[彼が何を思い"特別"だ等と告げるのか。 気付ける程に彼や"丁"を、己は知らず。
この己を閉じ込める花籠の主を、好ましく思う事は無く。 けれど、逆らい立場を危うくする賭けに出るでもなく。
行きません、とは言わず。 この花籠の外を望む唇で]
花は、飛べはしないのですよ。
[とだけ、繰り返し。]
(*18) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[大切な物は『最初から』なかったのだと、言い聞かせるという言葉は>>55 どうしてでしょう。 微かに僕の胸の裡を、漣立てて行きました。]
『大事な物』なら、そう簡単には捨ても忘れも出来ません。 だって、大事…なんですから。
[そうでしょう、そうであってほしいのです。 僕はそう思いながら、朧月を見上げました。 厚手の雲がかかっているように思います。 これがもし、琴爪弾く指先ならばきっと違ったのでしょう。
僕の手は、両方に大切なものを抱え上げます。 それはとても我儘で、何一つとして捨てたくはなくて。
そして一番拾い上げたいものに伸ばす指先を失くすのです。]
(59) 2014/09/20(Sat) 01時半頃
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[冷えた温度が離れる。
息苦しさに開放された心地。 花主様に気取られぬよう息を吸う。]
……ッ。
[ひゅ、と微かな音をたて、肺が酸素を求めた。
脳裏に過ぎる過去は、決して落ちぬ穢れが如く。
去り行く黒へと振り返り、深く頭を下げる。 言葉を返せずに、其れを代わりにする事を、許されるかは判らないけれど。
唯、苦いものを噛んだかのような表情を、隠す。*]
(60) 2014/09/20(Sat) 02時頃
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[そうして拾わぬものから目を背け それは『大事(しあわせ)』ではないと、謂い聴かせるのです。]
(*19) 2014/09/20(Sat) 02時頃
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[無くしたのだと判ったのなら探しに歩けばいいはずなのに。 行けぬ理由があるのでしょう。]
『大事な物』が少なければ少ないほど。 ひとつを失くせば、辛く思います。
[飽和するほどに抱えた僕と 少ないものを大事にする朧さんと>>55 同じ歳月重ねていても、幾分違うものでございます。 苦み走った笑みに、そして続いたお言葉に>>56 僕は、射干玉を向けたまま 微笑むことなく、真っ直ぐに告げるのです。]
判りました。 『憶えて』おります。
[小さな身体を傾かせ、朧さんへと寄せましょう。 叶うのならば、その身をきゅうと抱いて差し上げるのです**]
(61) 2014/09/20(Sat) 02時頃
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もし、違えば。 縁起でもないことをと、櫻の花を叱ってください。
[何故、探すことが出来ないのか。 何故、謂い聴かせねばならぬのか。 何故、大事な物を持ってはならなかったのか。
判らぬなりに拾う言葉と、判らぬ僕に聴かせる言葉で 綾取りのように完成した言葉を紡ぎました。]
(*20) 2014/09/20(Sat) 02時頃
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―――藤之助さんに、何かございましたか?
[きゅうとその身を少しばかり 強く抱きしめたのでございます**]
(*21) 2014/09/20(Sat) 02時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 02時頃
半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 02時頃
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[一階部屋の奥深く。 淀んだ穴倉に、小間使いの一つがやってきた。 言伝は蛾からの悪辣な鱗粉。 思い返すは背に聞いた喉の微かな音。]
本当に躾がいるのはどちらなものかね。
[しかして歪むは唇。 歪、歪にゆがんでは。]
丁にお伝え。
お前は二匹も引き寄せた。 魔性の花よ。
相手が出来ず悔しく思うよ、と。
[棒読みが愉悦を *滲ませる*]
(62) 2014/09/20(Sat) 02時半頃
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明日の明け方。 沈丁花に降り積もる雪は。
それは多くあるだろうねえ。
[丁は“蝶”に在らず。 花は飛ぶに在らず。]
(*22) 2014/09/20(Sat) 02時半頃
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[しかし綿毛持つ蒲公英なれば―――… **]
(*23) 2014/09/20(Sat) 02時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 02時半頃
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[「識っているぜ」
淡い指の感触が胸を突く。 彼は僕の何を識っているのだろう。 僕ですら知らない僕の何を。
僕とは一体]
(63) 2014/09/20(Sat) 03時頃
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あっ…。
[ふいに引かれる強引さにされるがまま、 踏鞴を踏んで身体が毒蛾に寄る。 手首を掴む慣れぬその力の強さには、 抵抗の意思さえ湧かない。
その代わり頭に浮かぶのは、 思いの外温かいな、なんてことばかり。 初めて味わう従わせられる感覚に 悦びすら覚えていたかもしれない。
彼は小姓に花を一輪摘んでくるように言いつけると、理由を尋ねる小姓に言い放つ。
「可愛いニコラス坊やの躾に」と。
その笑みにぞくりと背筋が震えた。 それは恐怖ゆえに這い上る感覚ではなく…**]
(64) 2014/09/20(Sat) 03時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 03時半頃
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[ひとつ。またひとつ。淡藤へと歩を近付ける。 霧を纏う霧雨は、ぼんやり彼の姿を消しに掛り、其の事に酷く怯えながら。
そうして先のからかい言葉に相反して、眈々と、何の色も見せずに紡がれた言の葉>>42は随分と、…随分と雨に濡れてしな垂れてしまっていると、眉間に皺を寄せては雨に打たれる事に不快感さえ覚え。]
…蜜は無くとも花は在るじゃないか。
[返した言の葉は果たして、霧雨に融け消えてしまったのだったか。
進んだ足先は蜜無し花の隣へと。 随分と覇気も、儚気も無くなってしまった髪にはゆうるり羽織を掛け、花へと降り来たる恵みの雨を、空を仰ぐ花頭を遮る。]
ほら、中に入ろう。
[濡れた花の気持を蝶は知らずに。 空を仰ぐその姿さえ何とやら。其処まで想ってしまうことには我ながら呆れの色さえ浮かべ。 冷えた手を包み込んでは――ただ、硝子戸の中へと誘う。 「風邪引くよ」と。昨晩櫻の花にも似たような事を言ったとぼんやり思い巡らしながら。]
(65) 2014/09/20(Sat) 10時半頃
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[空を翳らす曇天と、しくしく撒かれる霧雨。 残暑の名残すら奪い、人肌より体温を奪う。
足りないのは享楽か、愉悦か。 更に深き人の業か。
不遜な男は翅を閃かせ、金糸雀を鳥篭から花籠へ移す。 花鳥風月とはよく言ったもの。
鳥の飼い方、花の咲き方、蝶の遊び方。 今宵の地下はよくよく冷えていた。
散ってしまった花の熱を惜しむように。]
(66) 2014/09/20(Sat) 12時頃
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― 地下牢 ―
[日を重ねるごとに花も蝶も減る。 元々蝶は素性が知れず、何処に飛び去っても不思議ではない。 元々花は保障がされず、何時枯れても不思議ではない。 だから、不在はさりとて気にせず、今宵を彩る花を待つ。
どうせ、花樹は何処にもいけやしないのだから。
格子の中に収まる木製の牀榻、跪台が傍ら。 呼んだ花は今頃、白装に身を包んでいる頃だろうか。
己は早速、ニコラスの肩を抱き寄せ、香を確かめてから、腕を解いて、牀榻へ先んじた。されど、彼には布団の上を許さず、自身の眼前に起立を命じる。]
――…さて、今宵の遊びはまた一興よ。
(67) 2014/09/20(Sat) 12時半頃
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お前さんは――…、そうさな。売られてきたばかりの花よ。 可愛そうに、あくどい客に購われた。
[先ず男が成したのは彼の立場の剥奪。 上に立つものとして育てられてきた彼から奪う翅。
自身の顎鬚をざらりと撫でて鑑賞の眼差しを注いだ。]
全て脱ぎな。ニコラス。
[彼に強いるストリップは、端的。 全ての花に与えられる白装束すら、与えられぬ彼は未熟な蕾。 そんな、在りもしない幻想を拡げ、彼を惑わしていく。 淫靡で倒錯的な茶番だ、男の遊戯は今宵も行儀が悪い。
彼の羞恥を騒がせ、一糸纏わぬ裸身に変われと囃して。 悪趣味に巻き込まれる一輪は、宛ら彼の監督役と云った所。
―――堕ちた蝶の先行きを、花に見せるようにして。]
(68) 2014/09/20(Sat) 12時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 12時半頃
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ー地下牢ー
[今日は二人で暗い地下牢の中へと降り立つ。 三度目ではあるが、慣れるということはなく、 むしろ回を重ねるごとに緊張は増すようだ。
櫻色の恋人との逢瀬のような晩、 彼岸花の優しさに抱かれる夢、 そして今宵は……
肩を抱き寄せられる感触にどきりと心臓が飛び跳ねる。腕はすぐに離れるが、齎された緊張感にいつもの微笑を取り戻すことはできそうにない。]
(69) 2014/09/20(Sat) 15時頃
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[彼が告げた茶番にこくりと従順に頷いて、花になった自分というものを想像してみる。
あくどい客とは目の前のこの男のことだろう。自分で自分をあくどいと称するとは。 可笑しさに笑みが漏れそうになるが、おそらく売られてきたばかりの花はそんなことをしない。
代わりに眉を下げて不安そうな顔を形作って見せると、裸体を晒すことを命じられた。]
分かりました…。
[今夜の自分はニコラス坊やではない。 その呼称に実感すると、まずシャツの一番上の釦に細長い指をかけゆっくりと外した。
暑い夏の日ですら折り目正しく閉じられているはずのそこに、霧雨で下がった地下牢の空気が触れる。 続いて二つ目、三つ目と釦を解いていくが、薄い肌に触れる寒気に反比例するように身体の温度は上がっていくようだった。
釦を全て外しシャツを脱ぎ捨てる段になって、隙間から僅か見えてるばかりに過ぎない肌を覆うものがなくなることに不安を覚える。 不安を気取っていただけの表情は本当の羞恥に歪む。
それでも、一呼吸置くと僕はシャツを床に放り捨て、細い白い躯幹をあくどい客の視線の下に捧げた。]
(70) 2014/09/20(Sat) 15時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 15時半頃
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[頬を濡らし顎を伝う雨粒は地に水たまりを作っていく。 ぼんやりと浮かんだ水面に映る銀月は霞み曖昧に揺れては一つ、一つと雫を生み出し人影を滲ませる。
花見鳥の囀り>>65は霧雨と共に溶けていく。ぬかるんだ土の音が背後から迫ろうと『花』は振り返ることはない。
花は一人でに振り返ることは出来ないのだから。
香る夜露に月は更に隠れていく。 雨を遮る代わりに光を失えば、翳りを一つ二つ浮かび上がらせ顔を俯かせる。]
(…あったかい)
[触れた手のひらから伝わる温もりは、一昨日革手袋越しに触れたものとも、昨晩痩躯を暴いた手とも異なる形。
指先が拙く震えては動きを強張らせる。温かくて綺麗な白い手。 爪痕の出来た自分のものとは違う美しい透けるような肌に触れられていること、濡れた唇は歪み崩れて…]
(71) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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…行きたく、ない。
[硝子戸の奥へと花籠の中へと誘おうとする手を引いて縫い止める。
そのまま力を加えれば決して蝶の姿 を映すことなく顔を地へと落とせば、肩口に頭を寄せて掠れた声で言葉を紡ぐ。]
……貴方なんか、大嫌いです。 だから、…何処へなりとも行って下さい。二度と、会いたくない。 顔なんか見たくない。声も聞きたくない。アンタなんか、特別じゃない…、嫌いだ。
[雨は止まない。 唯々蝶が纏う闇により深く深く、水珠を滲ませて。 やがて顔を上げれば、にっこりと口元に三日月を刻んで微笑─]
(72) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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──…さようなら。
[踵を上げれば口端に掠めるような口付けを落とし、離れようと温もりを拒絶するように力を加えた。]
(73) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2014/09/20(Sat) 16時頃
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[一度目は抱く側として、二度目は抱かれる側として。 そうして、三度目の今宵は虐げられるものとして。
彼が階段を下る度、花籠より立つ香は真実へと誘った。 淫欲を抱える冷たい地下牢には、数多の情と蜜が隠れている。無論、彼の熱情と秘密とて。>>69
己の与太に乗る彼に、喉を揺らして、幕の上がる音を聞く。 地位を失い転落した蝶など、花街でも珍しくは無い。 毛色の違う色を好むものは少なくなく、それ以上に蝶を強いる行為は雄の征服欲を刺激する。彼が本当に蝶が堕ちてしまえば、悦んで群がる男など幾らでも居るのだ。
色街の摂理に刹那、気をやるも、哀れな蝶の末路を更に語る。]
―――…お前さんには花より仕込が施された。 だが、蝶が留まるは初めてのこと。
淫欲に濡れて過ごした過日は習いであったのさ。 夜蛾の前に屈する為の、な。
[彼の記憶と現状を混ぜ込んで唆していく低音。 櫻の梢に注いだ一昨夜も、沈丁花の種を孕んだ昨夜も、全ては客に奉仕する為の手順であったと、毒を垂らしこんだ。]
(74) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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[即ち、白皙は何も知らぬ身体では無い。 男の欲求を満たす事を教えられた肉体だ。>>70 色を惹いて脱衣に至る所作さえ、この先の情事を自覚させる。]
流石に卸したては綺麗なもんだな。 ―――上席の花共は優しく教えてくれたかい?
[均整の取れた肢体はすらりと伸びて、絵画の中に住む麗人そのもの。牀榻に腰を落ち着けたままの男は、戯れに指先を起こし、鳩尾から腹の脇までを撫でてみせた。
指先に吸い付く質感はやはり、金の掛けられた造形。 美しい身体には、社交界で乙女たちが一曲強請らざるを得ない柔和な面差しが付いている。 だが、男は眼圧は鋭く掛け、色も淡い乳嘴を視線で舐めた。 本来ならば、伴侶となる娘にも受けない辱め。
されど、今の彼は堕ちた蝶。 未熟で硬い花蕾、甘い閨房しか知らぬ彼の初見世であった。]
(75) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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俺を退屈させるなよ、ニコラス。 次は下だ。
―――なぁに、一輪呼んである。 そう、不安を覚えずとも構わねぇよ。
[気遣う振りして、全く彼を労う声ではなかった。 暗に客観に晒し、視姦を愉しむ薄暗い笑い。
彼の貴人としての矜持をゆっくりと詰ったのだった。*]
(76) 2014/09/20(Sat) 16時頃
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[白い衣に袖を通し、蝶舞う地下へと降り立った。
今宵は黒に塗りつぶされる。 其の覚悟からの開放に、一人安堵の息を吐く。>>62
魔性だ、等と。 一字一句漏らさず伝え聞き、唇を歪ませる。
巫山戯た事を。
思考は視界に捉えた光景にも、重なった。]
(77) 2014/09/20(Sat) 17時頃
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[二匹の蝶の戯れに、ゆったりとした笑みを向け。]
お待たせ致しました。
[白を纏った赤い花は、恭しく腰を折る。]
(78) 2014/09/20(Sat) 17時頃
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[自分の肢体が果たして男の欲を惹くものなのかは分からぬ。 だが少なくとも目の前のこの男の興味は掻き立てるものらしいと、上下する喉を見やり思う。
彼が続けて語る可哀想な花の詳細に皮肉めいた笑みが口許を歪めるが、それもすぐに消え。
彼の打つ芝居にしおらしい声で答える。]
はい、それはそれは優しく。
[彼岸花のそれが末席の花に教え仕込むためのものだったのだとしたら、さしずめ転落した人生を哀れまれ、せめてもの施しに苦痛だけはないように…そんなところか?
身体を舐める視線が茶番に真実味を肉付けしていく。]
……。
[腹を撫ぜる暖かい指に、唇を湿らして張りつめる自分の気を宥める。瞳を彩る金の睫はしきりにまばたいて灯りを反射した。
やはり嬲るように眺め回す視線を受けると、羞恥に頬が朱く染まって。 脱衣の続きを命じる声に目を伏せて、自分の細い腰に衣服を縛り付けているベルトを解いていく。]
(79) 2014/09/20(Sat) 17時半頃
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[もう一人の観客となる者の存在を示唆されれば、自分はこんなところで何をやっているのだろうと、一寸我に返り外の明るさを思い出して。 その思いはこの地下牢の薄暗さを引き立たせ、自分は辱めを受けているのだという事実を濃く浮かび上がらせる。
何ももったいぶることはなかろうと一息に脱いでしまうために下穿きごとスラックスに指をかけると、>>78白い正装に身を纏った赤い花がちょうど現れる。]
あ…。
[彼の姿のなんと凛としていて艶やかなことか。 僕は彼から視線を引き剥がすと、羞恥に身を打ち震わせながら、指をかけた手を下ろして己の下肢を完全に外気に晒した。
そしてこれでいいのだろうかと尋ねるように、伏せた目をちらりと寝台の上の男に向ける。]
(80) 2014/09/20(Sat) 17時半頃
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[今宵の享楽はまたしても夜蛾が如いた姦計。 彼を悪辣などと詰る癖、決して褒められぬ毎夜の事。
ニコラスを花に見立てて、君臨者を気取っていた毒虫は、紅華の来訪に視線を上げた。>>78]
―――よう、丁助。 相変わらずの面構えだな、もうちと媚を知らねぇかい。
[相も変わらず口の悪い男は今宵もまた変わらず。 視線で彼に示すは、毒牙に掛かる蝶の健気。
昨夜彼が慰めた蝶の末路。]
(81) 2014/09/20(Sat) 18時頃
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初心なもんだな、さぞ、甘やかされたんだろう。 この廓の花々は籠の内に温いとは知っているが。
[半分は芝居だが、半分は男の本音で。 まだ日の浅い彼に強制する花など、玄人意識に関わる。 無理を強いる悪辣な毒は、精々夜蛾ばかりだ。>>79
彼が決意したように下衣まで剥いてしまえば、明るみの中に裸身が露わ。細いが華奢ではない男の腰つきに、性器の色合いまで、じとりと鑑賞し、指が足の付け根まで降りていく。]
……まぁ、最初にしては上出来よ。 こんな所で無様を晒せば、紅華の不興を買うぜ。
[実際、花から見ればどちらも蝶。 そんな無体は与えぬだろうが、この場の支配者を教えるための語であった。悪趣味は今宵も牢で火を入れる。]
(82) 2014/09/20(Sat) 18時頃
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[戯れの指先で未だ角度を知らぬ彼の屹立を軽く弾き、無体に扱いながら、迷い子の瞳に視線を重ね合わせ。]
まさか、それだけで満足を買えるとは思っちゃいねぇな? 初見世で下手踏むようじゃあ、値が下がるぜ。 場末で厠代わりは嫌だろうに。
―――…俺の膝に手を付いて尻を丁助に向けな。 お膳立てくらい、幾ら寝んねでも出来るだろう。
[傲慢に申し付ける声が、ニコラスへ更なる恥辱を与えた。
彼の唇に促すのは甘い口付けではない、己の下肢で息衝く熱杭への奉仕だ。 指先で軽く自身の前立てを暴くと、熱を僅かに兆す陽物が姿を見せた。これが今宵、彼の身体に収まる兇熱だ。]
(83) 2014/09/20(Sat) 18時頃
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[今宵の興を示す一連見せつけた後。 ツイと、丁助に視線を向けて、一瞬笑気を視線に走らせ、淡い息を漏らした。]
……そんな訳で今宵のニコラスは俺の花よ。 そのようにお前さんも扱いな。
[淡紅華に告げる約束事。 卸したばかりの花だと金華を評し、言葉も態度もそれに準じさせようか。 頬を染め、儚く震えるニコラスの佇まいは、確かに生娘然。 自由を知らぬ花として咲く彼を呼んだのも皮肉のうち、世話役与えるのは興のうち。]
―――用意してやんな。 たっぷり解してやらねぇと、瑕が付くぜ。
[華を扱う男は、彼らの矜持も人権も無視をする。 犯すための剛直を育てさせ、犯されるための孔を開けと言う。
彼らの身を使い、蝶に悦を捧げよ。と宣った。*]
(84) 2014/09/20(Sat) 18時半頃
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[ 震える花の手は如何してか。寒さか、はたまた。 脳裏に今朝方の毒蛾が浮かんでは沈む。蛾の撒き散らす毒が彼の体に触れたのでは無いだろうかと、引き攣った咽喉に寸時の水分を通すことも無く、その指先>>71をしかりと握り締め。
然しされとて籠へと、その身を雨から守る為の籠へ引き戻そうとしたならば、ゆうるり引き留められ。 掠れ声に覗かせた拒絶は雨音に紛れて鼓膜を敲く。 こつこつ、こつこつ。 雨は止まずに、ただ花を濡らし翅を濡らし。 肩口に寄せられた花頭は、水面に揺蕩う影月のように。
そうして確かに響いた拒絶の唄には、蝶の頭こそ今以上に冷えたけれど――]
(85) 2014/09/20(Sat) 18時半頃
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―――まるで、
まるで今まで俺のことを「特別」と、想っていたような口振りじゃあないか…
[言の葉は、蝶の唄は強く波打った。 霧雨に惑わされぬように、掻き消されぬように。
ただ脳の芯を揺るがす声>>72を聞き逃すこと無く、真面にその身に甘受したならば。その唄の裏に咲く本音か、はたまた…自分からは視えないそれに微かな期待を寄せ。
唇を掠めた其れには、よりいっそう紺瑠璃の瞳を見開いただろうか。 ただ信じられないと、自分のこころに壁を張り。 困惑か、寂寥か、それとも淡い気持を砕かれたその痛みか。寄せられた眉は痛いほどに。鼻奥を突つくツンとしたものは歯の奥を噛み締め耐え。
逃がすものかと、淡月の影を縫い止めるようにその指を握る。]
(86) 2014/09/20(Sat) 18時半頃
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――……、んで…
[ぽつり。惑いに染まる言紡ぎは月には届かず、雨に打ち落とされる。 せめてもの自尊心を、蝶の気品を崩さぬ様にと表情を硬めたならば、軈て結んだ唇を開き寒気に吐息を混ぜる。]
――俺は。…好きだよ、キミのこと。
[拒絶には肯定を。ただ栓を緩めたことによって零れた一筋は、霧雨によって隠されることを望んで。
「例えば蛾に、毒されたとしても。」 ――拒絶がこころにのし掛かろうとも、ただ唇を震わせ、唄を紡ぐ。]
キミを、俺だけのものにしたいくらいには
[情け無く歪んだ瞳で、ただ淡月を射抜き、 その躯を引き寄せた。**]
(87) 2014/09/20(Sat) 18時半頃
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[蝶に衣服を脱がせ、眺め楽しむ蝶の所作。 口を挟むことなどせず、日頃のままに穏やかに、赤い花はそこにある。
唯、辱めを受ける蝶の様子へとは、無理矢理にではないかと確認するよう視線を向けて。
媚びを知らぬとの声には、申し訳御座いません、と謝罪を口にする。 心篭らぬは知れた事だとしても。
意地の悪い蝶の言葉。>>82 夜遊びに慣れた男の言葉を、花は本心ではないと掬い上げ、牢の片隅に控えるのみ。]
(88) 2014/09/20(Sat) 19時頃
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[一糸纏わぬ蝶と悪辣な笑みを浮かべる蝶の、戯れ。
やがて身に下る指示には、一連に昨晩の蝶の不満を見出さぬならば従う事だろう。]
倒錯的なお遊びがお好みで。
[逆らう気はない。 しかし、了承では無く錆色の蝶へとその一言だけ告げて。
牢に用意された潤滑油を手繰り寄せる。 失礼致します、と金色の蝶へと近付く。
やはり昨夜に近い指先で、花を真似る彼を撫でた。]
(89) 2014/09/20(Sat) 19時頃
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[穏やかな笑みは常変わらず。>>88 上滑りする謝罪を聞き流し、小さく鼻を鳴らす。
相変わらず彼は紗の向こう、何処か遠く思うのは、互いの距離感がそうさせるのか。内と外の違いか。 されども、本日彼は買われた身。 否を言わせぬ廓の掟が、彼の身体に絡んでいく。]
そいつを連日男に買われるお前さんが云うとは皮肉だな。 それとも、自分だけは違うとでも云いたいのかね。
―――自分だけは、まともだと? 良い身分じゃねぇか、丁助。
[嗤う眸が金の向こうに朱を透かし。 それでも、優しくてやれよ。と嘯いた。>>89
優しさなど、誰も彼も、求めて居ないと知りながら。]
(90) 2014/09/20(Sat) 19時半頃
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[下肢をじっとりと注視されると、顔の温度がぐっと上がり頬から火でも吹いているのかと思うほどだった。 こんなにもまじまじと他人に恥部を見られたことなどない。 それでも覆い隠すことなどせずただ眼光に耐える。]
…っ。
[性器を軽く弾かれれば屈辱に口許が歪む。 常に微笑を浮かべてきた僕の表情が、毒蛾によって乱され、薄い肌を紅に染め上げられていくのであった。
途中、丁助がどこか案じるような視線>>88を向けてくる。もしもこれが無理強いだったとして優しい優しい彼は如何してくれるというのか。 好奇の色が目に浮かびそうになるのを抑える。]
(91) 2014/09/20(Sat) 20時頃
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[あくどい客は更なる奉仕を命じる。 場末で厠代わりとは一体何を意味するのか。 あまりよくないことであろうという想像しか働かぬが、言われるがままに彼の膝に手をつく。
傲岸不遜に言いつけられた命令が彼の逸物への口淫だと理解すると、これが屈従するということかとぞくりと寒気のようなものが身体を走る。
いや、これは寒気ではない。悦だ。 大きな彼のものが映り込む僕の瞳には、恐怖の色などなかったろう。そこにあるのはただ期待。]
んっ…
[後ろに触れる感覚がして、丁助が言われた通り自分の入り口を解そうとしているのだと分かった。
口淫の経験など勿論無いし、どうすればいいかは分からない。けれどもぼさっとしていたらあくどいお客様は機嫌を損ねてしまうだろう。
僕は口を開けて舌を突き出すと、震えながら彼自身を口に含んだ。鈴口の形が舌に触れて確かに自分がそれを口にしているのだという実感が湧いた。]
(92) 2014/09/20(Sat) 20時頃
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――蝶を花にと、そう扱ってくれと当人が頼むのではなく、他の蝶を混ぜるのは、貴方位で御座いましょう。 しかし、いいえ、此の籠の中で咲く花である己を、まともだと言えはしませんよ。
[思い出すのは、此処に舞っては居ない蝶。
交わす言葉は揺れる焔、本心は火傷を恐れて常に奥へと追いやるばかり。>>90 煌く金の上を霞め。 優しく、と告げる蝶こそ倒錯じみて。
花の如き金の蝶に、触れる。>>91>>92 昨晩の行為を記憶から引き出しながら、濡らした右手は狭まりへと。 驚きが少ないよう、もう一匹の蝶へ粗相させぬよう、ぬるりと徐々に指を滑らせ、沈め、解していく。
同時に彼の足の間に揺れる陰茎を、左手で包み。 ゆるい刺激で撫で扱いて。]
(93) 2014/09/20(Sat) 20時頃
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[全裸を衆目に晒され、同性に性交を強いられる。
彼の人生には縁のなかった経験だろう。 色付く肌理は瞳を愉しませ、薄ら滲む熱に飢えを覚えた。>>91
彼は屈する事を知らず、伸びやかに育った籠の鳥。 大事に育てられた彼が、今宵花籠で毒蟲に穢されているとは三者ばかりの秘密。
――――地下牢でまた秘密が生まれた。]
(94) 2014/09/20(Sat) 20時半頃
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[彼の眼差しから淫蕩な期待を見つけ、笑みを噛む。>>92 従属の性を示す彼の本質、花籠へと彼の足を進めさせた本能。
紅い花は金の蝶にも無体は強いまい。 どうせ、どろりと甘く溶かすだけ。 痺れるように甘く、多大な優しさで、片棒を担ぐだけ。
躯を開く準備は贄の心地を彼に与え、陰茎の先で唇を拭い。 薄い唇を詰る亀頭の丸みは薄く開いた口唇を進み、唇の裏側より唾液を攫って舐めていく。
口腔の柔い粘膜を歪め、舌腹の感触に腰を揺らせば、微かに淫液が染み出し彼の舌に染みた。青い香りが鼻の奥に忍び寄る。]
―――…しかし、物慣れちゃねぇな。 この顔は嫌いじゃねぇがよ、刺激が足りねぇ。
[ぬぐ、と数度陰茎の裏筋を舌腹に擦りつけ、煌く金糸を愛でながらつける文句。不満と言うより、更なる悦楽を求める言。 有言実行とばかりに徐に右手を伸ばし、彼の長い前髪を掴んで秀でた額を晒させた。形の良い頭部に金の髪を押し付け、稚戯を詰って漏らすは身勝手。 巧偽拙誠とはよく言ったものだが、熱が腰辺りを周回するだけの感覚は温い。]
(95) 2014/09/20(Sat) 20時半頃
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[彼の二の腕をゆるく引き、細い肢体を膝立ちに変えさせる。 その反動へ、背後を弄る丁助の指が僅かに追従し、優しい愛撫に大きな攪拌を添えた。]
まぁ、花には購う感覚なんぞ分からりゃしねぇだろうな。 ―――…良いもんだぜ、此処は行儀の良い客が多いがよ。 ちと格を下げた廓では相応よ、丁助。
[悪辣なる語は下卑ていた。>>93 今宵は、彼に熱を上げる女衒を見ていないが、こんな悪趣味に茶々を入れてこない辺り、来館していないのだろう。
何処へ行ったかなど、知りもしない。
彼が金華を綻ばせる最中、己は楔を口内より引きずり出した。まるで拙さを叱るようで居て、瞳には新しい悪戯の灯が灯る。 おもむろに腰の位置を変えると、ニコラスの胸を飾る紅い珊瑚玉へと濡れた先端を押し当てた。 ジワ、と鈴口の窪みに生まれる先走りが、左胸を下っていく。 腰を浅く突き出すと、乳嘴と屹立の合間で銀糸が引いて細く繋がった。
ニコラスが身を震わせる程に、熱い剛直は胸を掠めて弄び。胸に雄を擦り付けられ、濡れていく感覚。
蛹を破り、大輪へと変わっていく偽りの蝶を眺めていた。*]
(96) 2014/09/20(Sat) 20時半頃
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[蝶の口吻から紡がれる言の葉>>86 花は微かに花弁を揺らして笑みを深くする。 雨粒がまた花びらに落ちては先へと滑り落ちていく。頬を濡らす水は蜜であらず、ただの生温かい雫。冷える身体を皮肉にも温めた。
唇から漏れるは震えた吐息。 見開かせた双眸は霧雨の中でも鮮やかな紺瑠璃色。夜に映えるその瞳が歪む前。萎れた花に止まった蝶が、一匹が、花弁を揺らした。]
…好き?
[鸚鵡のように問いかける瞳は、頬は強張ったものとなり、表情を強張らせる。]
──…そうやって。 蝶は花に甘い蜜の代わりに夢を見せるんでしょう?宵闇だけに気紛れに現れては、胡蝶の如く。 明けない朝などない。覚めない夢などない。散らぬ花など無い。 私と貴方が会えるのはこの花籠の中だけ。
全ては、夢なんです。 全部、夢物語。…それでも、
[落ちる滴は、頬を濡らして唇は空気を飲んだ>>87]
(97) 2014/09/20(Sat) 21時頃
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……どうして、
そんな酷いことを仰るのですか。
[落ちるのは言葉と、雫。 鉢にて泳がせた瞳が、ゆらりとあやふやに揺らめいていく。
広間にて耳にしたあの花の囁きが何度も脳裏に浮かんでは、楔となり唇を強張らせる。
花に蝶のような口吻などは存在しない。与えるだけのもの。差し出すだけのもの。蝶のように翅を閃かせ空へ舞うことなど出来ない。
そしてそれを望むことすら出来ぬというのに。]
……なら、覚めない夢を与えてくれますか。 好きだと言うのなら、…腕を引いて連れて行ってくれますか。
[唇はつらつらと言葉を綴る。 鼻先に掠める櫻の香りは霧雨と共に霧散していき、酔ったように甘い夢を望んで。]
(98) 2014/09/20(Sat) 21時頃
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……月が綺麗ですね。
[水気を吸いすぎた花弁ははらりと一枚、二枚と散らしてはやがて蝶に寄り添うように傾いた。]
(99) 2014/09/20(Sat) 21時頃
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ふっ、ん……
[あのニコラス坊やが男の陰茎を口に含みながら自身と秘部とを刺激されて悦んでいる。そんなこと家の者の誰が想像できようか。 そう思うと、屈辱でたまらない筈のこの状況が途端に愉しく感じられてくる。
深く、剛直なそれが口の中に収められていく。 顎の小さな僕には苦しみとなったが、青臭い香りが彼のものだかそれとも自分のものも含まれてるのか分からない程度には、僕は背徳的なこの瞬間に逸楽を覚えていた。
舌へそれを擦り付けられれ、口腔を犯すように揺らされれば、空気が口から漏れ苦い味が広がっていく。 荒々しく奉仕させられながら、後ろは優しく解きほぐされれば、違った二つの快楽に息が上がり、無様に空気を求めて呼吸した。]
(100) 2014/09/20(Sat) 21時半頃
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[前髪を掴まれればまさにその様は完全な服従を表しており、ちらりと彼を見上げた瞳にはもはや恥辱よりも悦びの色の方が勝っていたか。]
んっ……!
[ふいに体勢が変えられ、大きく攪拌される内部に驚きの声が上がる。しかしぎゅうと寄せられた眉は苦悶ゆえではなく。
口から逸物が引き抜かれれば口で大きく呼吸をした。 呼吸で上下する胸に今まさに咥内に含んでいたそれを擦り付けられた。 びくんと敏感に身体が反応する。]
あっ…く、
[荒い吐息には艶が乗せられ、口許は微笑ではなく嬌笑のために孤を描き始めていた。
自分が、決して甘くはない、けれどもどうしても甘いと感じてしまう快楽の中へ溺れていこうとしているのが分かった。]
(101) 2014/09/20(Sat) 21時半頃
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[羽化の様を背徳的な心地で見つめていた。>>100
天真爛漫な彼が穢れ、自ら堕ちていく。 堕落の味は喉を滑り落ち、彼の体内から変質を促す。
煩悶の表情を眺め、頭を撫でるように金糸を梳いた。 まるで幼い彼を褒めるよう、深淵へ進む背中を押すように。
前後の孔を刺激され、蕩けだす肢体。 じわりじわりと熱が上がり行くのが知れて、己も熱の孕む呼気を吐き出した。]
―――…悦い顔になってきやがって。 好色は美徳だぜ……、ほら。
これも好きだろうよ、自分で塗りこめてみな。
[己の先端を宛がい、甘い窪みで尖った茱萸を潰す。 その度に彼の胸から卑猥な水音が零れ、胸板のラインを辿り、肌を穢した。 滑る切っ先を数度アクセントをつけて押し潰せば、亀頭の丸みが幾度か尖りを弾いた。徐々に肥えゆく熱源は如実で、彼の目前で雄が育つ。 彼の色が、己の欲に、火を燈してゆく。]
(102) 2014/09/20(Sat) 22時頃
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[とろとろと滴る淫液に塗れた彼の左胸。>>101 熱い体液は左胸ばかりを愛して苛めてみせる。 唆されて彼が自ら胸を慰め始めると、その指の爪先にも先走りを塗りつける算段。]
―――…啼けよ、ニコラス。 堪らねぇだろう、狂おしいだろう。 女のように善がってみせろや、お前さんは買われた花よ。
花に、自由など、何一つねぇ。
[不意に彼の肩を掴むと、そのまま彼の胸を引き寄せ、抉るように尖りを圧しようか。 小孔が開く感触すら、過敏な末端に送り込み、見下ろす男の悦は深い。*]
(103) 2014/09/20(Sat) 22時頃
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ニコラスは、ヘクターに話の続きを促した。
2014/09/20(Sat) 22時頃
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[花は、花。
花を買う気持ちに理解は無い。>>96 真似事をしようとも、結局は真ではなく。 遠い将来に、約束の一度が在れば其れは経験になるだろうが、其れもまた、今ではなく。>>2:204]
(104) 2014/09/20(Sat) 22時半頃
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[優しくしているのは、きっと己の為。 好き好んで花籠に咲く訳ではない己を慰めるための。
せめて、愛無くとも優しさが在って欲しいと望む、傲慢な花。
錆色の蝶の真逆に。]
(*24) 2014/09/20(Sat) 22時半頃
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[白い素肌の蝶を穢していく。 其れを見守りながら、体勢の変わる彼を、指は弄り続ける。
声に、吐息に篭る熱を見詰めながら、己は置物が如く、薄く笑むばかり。
――其の笑みに、歪に軋み音を立てる物が、微かに混じる。
男を抱き、抱かれる事に嫌悪していた頃の自分を思い出すのは、霧雨よりも冷えた花主の指に触れた所為か。]
(105) 2014/09/20(Sat) 22時半頃
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丁助は、ヘクターへと一度視線を向け、逸らした。
2014/09/20(Sat) 22時半頃
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[横暴さに似合わぬ髪を撫ぜる温かみは、 甘露となって己の痴態を肯定する。
ヘクターも欲情しているのだろうか。 その吐息に熱さが含まれているのを感じ取れば、奉仕が報われる悦びを知る。]
う……はい。
[精を塗り込めよとの命令には流石に躊躇するが、細長い指を伸ばして滴る液に穢させる。 そしてぬちゃりと水音を立てながら自らの胸の突起に触れ始めた。 そうすれば熱源は容赦なく清潔だった卵型の爪先すら穢していく。]
(106) 2014/09/20(Sat) 23時頃
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[身体の隅々まで目の前の悪辣な男に犯されつつあった。 声すらも犯さんと彼は啼き声を所望する。]
あっ、ふ……。
[不器用に声を漏らし始めると、彼は肩を掴んでぐりりと突起を嬲った。]
ああっ…!好い……、
[櫻の花のように可憐な声でもないが、それでもいつもより少し高い媚びた声が漏れた。 自分の耳に届く自分自身の声の無様さにまた羞恥の感情が浮かび上がる。溺れて、羞恥してのサイクルは僕をより深淵へと導く。
優しく解され続ける後ろからも微かな水音が響いていた。]
(107) 2014/09/20(Sat) 23時頃
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―――…誰も彼も、遠ざけて。 お前さんは本当に悪質にて寂しい花よな。
[ふと漏らした言葉は、常に偽りを貼り付ける彼に向けて。 誰に買われる姿を見送ろうと、彼の表情はいつも変わりない。 常に淡く笑んだ顔は、己より、花主より、ずっと胡散臭い。
心を明かさぬ、花としての彼。>>104 きっと、散り際さえも、差して変わらぬ。>>105
憐れむのではなく、真実を語るように開いた唇は、一度閉じ。 されど、僅かに揺れた表情筋に、微かに視線を揺らした。]
……本当に、色気の足りないことだ。
(108) 2014/09/20(Sat) 23時頃
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[爪に鑢まで掛けられ生きる貴人の痴態。 自慰を促すのは雄の性器ではなく、本来不要な肉粒へ。 芯を育て、彼の新たな性器と変える。 火照りを集めた肌と、卑猥な光景。 彼の身体を探る水音は反響し、鼓膜に愉悦を拡散。>>106]
分かるかい、お前さん胸を弄られて女子のようよ。 これだけ、はしたない花も中々いねぇなぁ。
[淫乱を言葉で責め、熱源が脈を打って彼の胸に鼓動を伝播。 血液と熱の集まった男根は、血管を棹に浮き立たせ、色立つ彼の香を聞く。花が開くに似た夢幻の香を。]
………っ、
[小さく奥歯を噛み締めれば、熱塊がぶるりと大きく震え、乱れる彼に一等の熱を与えた。ぴしゃりと肌を打ち、弾ける飛沫が迸って彼の掌ごと精子で穢す。白濁の体液が胸を弄る所作に紛れ、淫液よりも重く滴り落ちていく。
男の精を塗りこめ、乱れていく彼は最早蝶ではない。 ―――もっと、別の。
名前に恥じぬ美しい人だった。>>107]
(109) 2014/09/20(Sat) 23時半頃
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そう、だな。こんなにも、大切で大事だったんだな… この失くし物は。そうか…俺は
[辛い、のか。]
[暖かな優しい櫻は月へと身を寄せ、月は櫻の暖かさを分けてもらう。>>61 意地が悪いと笑えばいいのか、そうしてくれと頷けばいいのか。 どう反応を返せば良いのか判らぬまま、朧の手は宙を彷徨う。 どのくらいの時が過ぎたか、僅か数秒にも満たなかったかもしれないし四刻半程流れていたかもしれない。
ほんの少し、何かが満たされた気はした。 けれど月は欠けたまま、厚い雲は弱い光なんて通すはずも無く。]
―――、
[小さく小さく名をなぞり、弱々しく縋りついた。]
(110) 2014/09/20(Sat) 23時半頃
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……叱らないさ。答えは否だから。 何かあったわけじゃない、良くある話だ。 花籠から花が一輪消えるなんて、何度もあったろ?櫻子。
[日が昇ってから嫌な胸騒ぎは収まる気配は無く、むしろ増すばかり。 一目藤の花を見ようと訪れた時には、部屋は『何も無くなって』いたのだ。 『どうして』そうなったかまでは察せない、解らないが。 花がどうなったかなんて、想像するのは簡単だった。]
(*25) 2014/09/20(Sat) 23時半頃
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……丁助、控えな。 頃合だ、良き按配に致したかね?
[金華を開く指先を言葉で払うも、退席は許さず目視の続行を命じる。徒花の手により開いた細い内壁は、奪わせる境界と傷つけぬ最低限に留められているだろう。売花の儀礼めいて。 彼も決して初心な花ではない。媚が足りぬと苦言ばかりを呈しているが、彼の売れ行きを知らぬ訳でもない。―――ただ少し、花として在り過ぎるだけ。
丁助の愛撫が退いた後、己の両手をニコラスの尻に伸ばした。小作りな臀部を左右に開きつつ、膝の上へと召喚。 抱擁する振りで、ニコラスの頬に接吻を一つ与えて飴代わり。
割った尻は慎ましい窄まりを花の視界に晒し、逞しい剛直がネチ、と触れる。熱い猛りは優しさでも、柔らかさでも、甘さでもない。 彼の身に、盛ると言う、それだけの欲望。恣に振舞う男が息を一つ漏らした。]
力を抜いていろよ、丁助に見せてやらねぇとな。 今日も、昨日も、別の男に抱かれていると。
―――所詮、花は枯れて散るまで、蝶の餌。
[垂らしこむ毒と共に、ニコラスの細腰を引き摺り下ろす。 猛々しい熱杭が、狭隘な肉筒を衝撃伴い、貫いた。*]
(111) 2014/09/20(Sat) 23時半頃
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[響く甘い声を遮らぬよう、けれど滑る感触を金色の蝶の内側へと塗り込めるべく、指は水音をかき混ぜることを止めず。>>107
一匹の蝶にのみ向ける貌に、何も言うことなく益々笑みを深くする。
重ねる言葉は、花の根をじくりと抉っても。>>108 欲に綻ぶ美しい金色の花に比べ、唯咲けといわれて咲く花に、色気が無いと感じるのも当然だろうと。
ふるり、唇が震えたのは刹那。]
(112) 2014/09/21(Sun) 00時頃
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[己の粒に液を塗り込め摘んだりなどしてみる。 後ろの孔を弄られ続けている快楽が伝播し、その胸の突起を慰めることにすら感じているように錯覚する。 それとも錯覚ではなく本当に感じてしまっているのか。だとしたらそんなのは……
頭の中を見透かされたかのように毒蛾に詰られ、言葉によって辱められる。 実際には花ですらないのにこんな痴態を晒しているのだ。言葉による陵辱に脳内がじんと痺れる。
きっと、本当に一番淫らなのは胸で感じてしまっていることよりも、詰られて悦びを露わにする自分の顔だったろう。]
んあっ、
[白い飛沫が胸に降り注いだ。 雄の臭いに包まれながら白く汚れた自分の身体を見下ろし、自分の頭の中のどこか冷静な部分が「本当にこれは自分か」と問うた。
これは本当にニコラス・ベルか。 男のものを咥えて、精に塗れて悦ぶこの人間は。]
(113) 2014/09/21(Sun) 00時頃
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畏まりました。 ……ベルサン、失礼致します。
[離れる際に、名を呼んで。 金色の花の、十分に解れた孔から指を抜くと、指示されるまま牢の隅へと控える。>>111
見せる、の意味は、見ていろ。 優しく細めた瞳と緩く弧を描く唇を、面のように貼り付けて。 眉には微かに困惑を混ぜて、蝶である花を見詰めよう。]
(114) 2014/09/21(Sun) 00時頃
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[花から滴る雫>>98を、何と譬喩出来るだろうか。 霧雨に濡れたものでは無く、ただ花の情、芯から湧き出る水を。
夢物語と詠われた籠の中の愛憎は、だった一夜の短篇。 月を手にした其の晩も 月を奪われたあの晩も 櫻の憂いを聴いたかの晩も。 花も蝶も夜を捲る毎にまた頁を綴る。
――そしてその終焉は、いつの日か。]
(115) 2014/09/21(Sun) 00時半頃
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――……
[まるでかぐや姫だと、遠い国の御伽噺を思い浮かべる。 月から逃げた彼は、然し何れは優美な迎えによって月へと戻り。 されとて今、雨に濡れる「花籠物語」は、御伽噺などでは無いのなら、逃げた其の先に視えるものなど、大方察しは付き。 しかし夢に微睡む脳は、其の先を綴る。
――墜ちた月を抱え、星達に後指を指され影を追われながら遠い地へと翅を羽ばたかせるか。 其れとも大切に愛でるが為に籠へと捕まえ、彼方此方の蝶にさえ蜜を分けるか。 真っ当に月を購うことなど――かの宵闇が許すとは思えずに。
切望が一瞥される「逃走劇」を待ち望む言の葉>>98は、静かに芯を染め上げる。 ただひとつ。霧雨の濃い霧の中にて瞬きをひとつ。 薄く開いた瞳は、色の様に深い意思を。 蝶へ傾く濡れ花弁は、胸元を濡らす。 じわり、じわり。染み込む雫は、こころの色さえ染み込ませる。 蝶の胸から咲く色は、鼓動を刻み花の鼓膜を優しく叩いているだろうか]
(116) 2014/09/21(Sun) 00時半頃
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……、嗚呼、
どうしてキミはまだ、そんなに美しいの。
[震える音色はただ、彼を望む。明けぬ夜は在るけれど、醒めない夢物語を綴ることは、「人」ならば――そう、出来ると。]
籠を抜けたら人に成る。 俺もキミも、人に変わる。
…そうして一から、始めよう。
[幸いこの霧雨は、止む気配さえ無く。玄関先に揺蕩う宵闇は、今や花買いの声を待ち奥の部屋にでも居るのだろうか。 まるで降るは恵みの雨、されとて下すは苦渋の決断。
寄り添う花弁を、蝶はそっと翅に包め、ゆうるり、三日月を湛え。 震える翅を、胴体を。其の先を、ただ紡ごうと唇を開き、]
(117) 2014/09/21(Sun) 00時半頃
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――だけど。
今まで俺達を包んでいた夜は、やがては影を追い掛けて来る。
無い翅を捥ぎ、茎を折りに足音を忍ばせ来ることだろう。
……―それでも、良いのかい。
[霧雨は降り続く。 ただ添う花と蝶を隠す様に。 その身を濡らし、景色と同化させ、鼠色の空に馴染むように。 空に輝く月は既に無く、在るは翅に抱かれる一輪の花。 墜ちた月の其の先を、ひとつの花にしか止まれなくなった蝶の行く末を、誰が知るのだろうか。否、きっと誰もが知って居る。]
――其れでも良いなら、俺の手を取って。 握り返して。
キミが花のまま散りたくないと、云うのなら。
[ 知ってて尚、誰も彼もが紡がない。]
(118) 2014/09/21(Sun) 00時半頃
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[良き按配…その言葉が意味し期待させるものは明白であった。 指が退いた孔が微かに収縮する。既にそこは快楽を覚えて足りないものを求めているというのか。認めたくはなかった。]
んあっ、
[臀部を左右に開いて膝の上に導く手の温かみにすら小さく声が漏れる。頬へ落とされる接吻に眦が熱っぽく潤んだ。 窄まりに口に含んでいたそれが宛がわれるのを感じ、緊張を逃がすために吐息を吐いた。
視座の変わらぬ場所にある歪んだ唇が毒を紡ぐ。 今日も、昨日も、別の男に。 それはまさしく事実であり、淫蕩に溺れた自身の現実を示していた。]
あぁーーッ!!
[涙が頬を伝うがそんな感触は知覚できず。 自分が啼き声を高く上げていることにも気づかず。 逸らした身体は貫かれる衝撃に支配されていた。 一人の男に掌握される悦びに。]
(119) 2014/09/21(Sun) 00時半頃
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[櫻に雫が一つぽつりと落ちる。たった一滴だけ月を伝って。 何かを伝えた声は僅かに揺らめき、掠れ。 凛とした空気を纏う月花はそこには無い。
手折られたわけでも無く、変わらず花籠に収まっているのにも関わらず。 月光を浴びれぬせいなのか、俯いたまま。
執着しすぎたのだ、望み過ぎたのだ。]
――…… 、
[しあわせを、ゆめを、抱きすぎたのだ。]
(120) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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[年期がいつか明けたなら。俺自身も、彼の年期も明けたなら。 本当の名前をそっと教えるつもりだった。 柔らかな音で奏でられる名の音を聞きたかった。
雪山にかかる月も、『本物の朧月』も共に眺めたかった。
身に余る望みは砕け散り、砂のように落ちていく。]
(*26) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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[噤んだ唇は、封の代わりか。それとも失語か。>>112 隠蔽する心の在り処も知らず、花籠の底で朽ちても茶飯事。 ほんの少しだけ、淡焔の髪色がくすむのは惜しいと噛んだ。
現に彼はここ数日で、ゆらと能面に波を立たせるようになった。 そんなもの、唯の気のせいと一蹴してしまえる程度の変化だが、まるで彼の笑顔が、彼自身を庇っているようにも見えた。]
―――…来な、丁助。 お前さんは可愛げねぇな、悪辣よな。
何もかも、諦めたってぇなら、そんな顔して護るなよ。
[また、彼に言の刃を放ち、細い呼気を漏らした。>>114]
(121) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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[悦は神経内を巡り駆け抜けて、彼を再構築する。>>113 理性と言う名の隔壁を破り、常識と言う名の偏見を捨てさせる。彼が得るべきは悦、花の快であり、人の性であった。
淫蕩を晒す彼は、何より喜悦に従順で、身体を支配する熱に熟む。弾む声は高く響き、彼を奏でて壊す男が嗤った。]
花籠には嘘ばかりが詰まっている。 暴くは蝶の性分よ、―――ッ、
[謳うよう奏でた誘惑。 されど、穿った途端、粘膜の収斂に絞られ、僅かに顎を引いた。待ち受けて歓迎する身体は絡みつくように甘く、熱い。
悲鳴は肉筒を拡張するよう陰茎を育て、みっしりと隙間なく埋め尽くす。根元まで咥えさせた身体は窄まりの皺をピンと張り詰めさせて、緊張を強いる。>>119
間を開けず、呼吸の暇さえ与えずに、喰い締めてくる肉輪を掻いて、再び突き刺す律動を開始。深々と貫くたびに、細い身体に収まる臓腑を突き上げた。 彼の腕を己の背に導き支えれば、身体を跳ね上げさせた。奔放な律動は放縦を与え、未熟な粘膜に雄を擦り付けて歪めていく。]
(122) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/21(Sun) 01時頃
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[淡く吐き出す呼気は喉から溢れ、僅かに汗が浮く。 傍に呼んだ花へ片手を差し伸べつつ、数度虚空を掻いてから、紅華の手を取ろうか。]
見ていろよ、丁助。 ――― 眼を逸らすな、嘘吐きめ。
[眼前で殻を破り、新たに生まれ変わるニコラスを見せる。 今の金華には偽りなど欠片もなく、ただ、己の希求に甘んじ、身体を拓いていた。貪られるだけの哀れな存在、しかし、とても、うつくしい。
更に嬌声を聞かせるように、或いは単に蠢動に抗いきれず、麗人の奥まった場所を先端で抉った。白濁混じりの先走りが小さな泡を立てて内で次々弾けていく。
卑猥な水音は際限を知らず、彼の媚肉を酷使させ、視られる喜びを心身に覚えさせる。己の熱塊も、彼を陵辱したがる素直を露呈。 ニコラスの肩に回した腕で圧を掛け、跳ねる隙を狭めてストロークの短い一打を幾度も撃ち込んだ。
傍若無人なる男は一度全てを壊してゆく。 ひっきりなしに肌を穿つ生々しい音が牢を巡り、淫香が濃く煙る*]
(123) 2014/09/21(Sun) 01時頃
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[過ぎた滋養を与えた花はやがて枯れる。濡れそぼった翅は空を裂く邪魔をする。
されども重なる鼓動の音から花は揺らぐことをせず。 蝶から紡がれる夢物語に耳を傾ける>>117]
…『花』は、美しくなければならないのです。
[世辞には浪漫のない捻くれた呟き。 けれども陶酔し切ったような瞳はただ甘い毒を望み、酔ったように身を寄せ、胡蝶の夢に目蓋を閉ざします。]
……人、に?
[『花』として花籠に束ねられてから、何度も夢見ては諦めた願い。 綴られた囁きは何処までも甘く、緩やかに花弁を濡らす。
ゆっくりと、花さえも知らない色に染まり変わる]
(124) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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[コクリと音を立てたのは喉仏が唾液を嚥下したために。 自分達が今何をしようとしているのか。その意味が分からない訳では無い。判らない筈が無い。
今日人づてに聞いた話によると以前身を置いていた主人がまた所望しに訪れたという。 楼主がどう答えたのかは知らぬ所ではあるが、どちらにせよ多額の金をかけられた身。
抜け出せば、逃げ出せば、唯では済むまい。
それは耳に聞いていた『ちょう』と同じ道やもしれぬというのに。]
………。
[花は、ただ目の前で差し伸べられた翅に焦がれるように花弁を揺らす。
梔子は何も囁かない。瞳を持たぬ花は唯々盲目に蝶へと花びらを濡らすだけ。
きっと花ならば、そう在るべきなのかもしれない。]
(125) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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…いずれ花も蝶も散るもの。 でも、人として…生きることを、…望んでもいいのなら。
──…貴方と、死にたい。
[重なる掌は霧雨に振られ、冷たく冷えている。 それは雨粒に打たれた故か、それともこの身に潜む陰によるものなのかは、分からない。
それでも、水気を含んだ重たい睫毛で真っ直ぐに紺瑠璃を見つめれば、花は言葉を口にする。
甘ったるい情人のような戯言を。 水面に揺れる花は月の隠れた空の下、指先をそっとその人に重ねて]
……連れて行って下さい。 花籠の外へ。
(126) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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[はにかむように笑っては誘うように腕を引く。
腕を引き連れた場所は中庭奥にて存在した扉。 老朽の進んだものなれど力を込めてこじ開ければ、何とか人は通れそうで。
何故修繕されぬまま置いてあったのか、そしてそれを伝えてくれた見習いが知っていたのかは知らぬ所ではあるけれども、縋れる場所はここしか存在せず]
…足は早い方なんです。
[頬を引き攣らせつつも、一言。 思ったより軋んだ音は大きく中庭にて響く。焦ったように振り返りつつも、掌を硬く握り締め]
──…。
[唇だけで言葉を紡げば、そっと外の気配立ち込める先へと足を伸ばした。 重なり合う影は二つ、霧雨にて朧気に溶ける*]
(127) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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["ならば放って置いてはくれますまいか。" 薄く砥いだ言の葉に、花として其れは返すに相応しくない。>>121]
護る、とは。 一体何を仰るのか。
[笑みより更に眉尻を下げる。 苦笑に近い声色で、来い、と告げる蝶の元へと。
近く、自分でも自分のまぐわう相手でもない精液の香りが濃くなった。>>123]
目は、逸らし、ません。 逸らしてなど、おりません。
[強く握られた腕から、振動は伝わる。 震えた声は、身体が揺れた所為だと、脳に言い訳する。
女を識りたいと言った蝶が奏でる音色が、全身に絡み付いてくるようだ。>>2:154]
(128) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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あ、うぐっ、うぁ…!
[赤い花のそれとはまるで違う荒々しい質量。 それが律動を開始したのなら、僕は悲鳴を上げる為の空気すら満足に得られずに体内を攪拌されていく。
初めて振るわれる暴力。屈服。 それに快楽を覚える倒錯的な自分がいることに気づくと、叫びとも呻きともつかぬ音を発していた喉は、甘い高い媚を発させるようになる。]
ひ、いや、好い…っ!
[己を貫く獰猛に、段々と涙を流していた瞳は求めるものへと変質していく。 圧倒的な力の下で僕は、剥がれ剥かれ自分自身さえ識らなかった本質を暴かれていく。]
(129) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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[吐息、嬌声、だらしなく垂れる唾液。 何の偽りようもなく僕の口から漏れていく。]
あぁ、もっと、んあぁ…ッ!!
[やがて僕は壊れたように、自分を壊す暴力を求める言葉を口にし続けるようになる。
自分の姿がどう見えるか、自分が何をしているのか。そんな余計なことを考える隙はもうない。 ただ自分を襲い来る快楽に従うだけ。
敗北、隷属、屈従、悦楽、暴悪……
それが壊れた美が狂い求めるものであった。]
(130) 2014/09/21(Sun) 01時半頃
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[快楽に善がる蝶を見詰める仮面は、相変わらず。 唯、眉根はきつく寄せられて。
其処に、亀裂は確かに。
花よりも花らしく、花の悦びに浸る蝶を、見詰めていた**]
(131) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/21(Sun) 02時頃
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[ 嗚呼、月が堕ちては花開いた、と。
重なった掌を、影を。暫く呆然にも似た色で見つめたならば、軈てはその口元を、喜愛に緩め。 同時に花が雨の下咲き開いた>>127のを収めると、こころの擽られる感覚に、然し背筋を上る悪寒に唯震えては歯の奥にて情を噛み千切り。]
…死ぬなんて、物騒だなァ。
[共に、と。 呟かれた言葉の、何と切なく、儚気で――愛おしいものか。 口先には揶揄いを乗せながら、然し涙雨に紛れ一筋仄かに透明が頬を伝い。 「俺もキミと、同じ気持ちさ」なんて。 そんな歌にも歌えない素の言葉を吐いてみせてはまた喉にて嗤う。
朽ちた木扉は雨が染み込み色濃く立ち塞がるけれど。 されとて花の一押しで口を開けてしまったのならば、其の先に視える光は希望か、其れとも。]
(132) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/09/21(Sun) 02時頃
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大丈夫、転けても俺が、支えてあげる。
[ひとつ。踏み出した。 ふたつ。強く踏み込んだ。 そうしてみっつ。「彼」の手を強く握り。
視えた先に見えたもの、それが何であれ。 鉢と籠、花と蝶、愛反れぬ二対として生きるくらいならば。 同じ者として、生きていた方がましだと。 そう想ったのならば、其の先に見えたものは、宵闇とは反対のものなのだろう 。
ただ館にはさよならさえ告げずに、前だけを向き。 紛れる煌の方へ、ただ宵闇の籠へは影を伸ばした。]
(133) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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[胸に過る痛みを見ぬように視線は一度だけ地に落ちる。 濡れた地面を彩る数々の秋の彩り>>2:5
誰の手によって植えられたものなのか。考えずとも鮮明に脳裏に思い浮かばせ、青年は顔を顰めた。
おとつい自分との出会いを「しあわせ」だと口にし>>1:*27 数々の教えを伝えてくれたその人自身を裏切る行為なのだろうから。
『花』としての振る舞いや心を苦労して見守ってくれた先生や
同じ年の瀬であることから砕けた調子で言葉を交わしていた青年のような世話になった恩を仇で売るような選択でもあるのだろう。
それでも儚き一夜の夢で終わってしまうかもしれなくとも。 この身が朽ちてしまおうとも、繋ぎ合った指の絡まりを見下ろせば、唯々幸福そうに口元は弧を描く。]
…ごめんなさい。
[囁きは雨の中、消えていき その姿はもう花籠にて揺られることは、無い*]
(*27) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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― 館→ ―
―――おいで、亀吉。
[ざくり。ざくり。 霧雨に濡れた体を揺らしながら、一層色の強まった靴先を葉に土に沈めながら、男は人の手を引いた。
森の奥の奥。 花籠から遠く離れた知る人の無い土地へ、ただ二人。歩む。
「痛くはないかい。」 「疲れてはないかい。」 「もうすぐだから、大丈夫さ。」
夜の張り巡らす蜘蛛の巣から逃れた「蝶」は、声色朗らかに花へ語り掛けては、不安を生む胸を掻き。花を守るようにその隣へと寄り添う。]
(134) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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――大丈夫。 きっと俺達は、幸せになれるから。
[物語を綴るのは人間だと――翅を亡くした蝶は笑う。夜に飛ばなくなった蝶は昼に唄い、腕を花の…否、人の頬へと伸ばしては撫ぜ。 …ただその瞳が同じく不安に揺れていたのならば、その気を和らげるように微笑んではみただろうか。]
キミはここで、俺を待ってて。 …大丈夫、ここなら誰も、キミを見付けない。
[森の奥の奥。ただ木々に囲まれ小川の流れるその場所で。ちいさな家が在ったならば、其処に人を招き入れる。ひらり、ひらひら。翅の名残の鱗粉は、空気に踊っては地面に落つ。 そうしてパタリとその木造扉を閉めたなら、横の開けた窓から顔を出し、また囁く。]
(135) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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―――必要なもの、集めて来るから。 直ぐに戻るよ。
[その淡藤が窓辺に寄って来たなら、その髪先へと指を通したことだろう。 然しそうで無いのなら、少し寂寥を滲ませた笑みを張り付け手を小振り。
霧雨に濡れた体は、今や乾いてちいさく嚔を催すけれど。 男はただ、人を想っては歓喜に溢れる音を唄う。]
勝手に月に、帰らないでね。
[其れは嘗て月と呼んで居た彼を揶揄ったもの。其れは嘗て、囚われていた籠を比喩したもの。 くつくつと咽を鳴らしたのならば、男は漸く、名残惜し気に時折後ろを振り返りはしたけれど――その家から歩みを遠ざけ。
―――その姿が森の奥へと戻る事は、きっと *]
(136) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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[主を失った数匹の金魚は水面下にて踊る。 ぶくぶくと揺れる泡。 パチリと音を立てて浮かび上がったのは──一匹の梅の花。 水草を尾びれに絡ませながら、ぷかりと姿を煌めかせた。
もう泳ぐことは無い*]
(137) 2014/09/21(Sun) 02時頃
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