295 突然キャラソンを歌い出す村3
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[入ってきた生徒が、扉の傍で顔をこすりながらしゃがみこんだのを心配したのだろう。 攻芸は養護教諭に声をかけられた。 攻芸は首を横にふって]
……やっぱり治ったみたいです。
(517) 2019/04/29(Mon) 19時頃
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――♪
だから もうここを出るんだ キミを傷つけ 泣きだしたくなる前に いつかこうなる もういいんだ
だから It's forbidden to come in here...**
(518) 2019/04/29(Mon) 19時頃
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― GW直前/昼休みごろ、どこかの廊下 ―
[攻芸が授業を受けに行くことはなかった。 授業よりも優先すべきことがあった。 それに、今更授業などうけてみたところで……
廊下が凍っている。 空気が冷えてにおいすら変わって感じる。 吐き出す息が濃く真っ白になり、辺りを漂っては消える。 四月も終わりとかどうとか以前に、ここは雪国でもロシアでもなければ(寒冷地だってこんな事にはならない)、屋内である。まるで冷凍庫だ。
攻芸は人探しの続きをしている。 重ね重ね彼は方向音痴であるため、校内をあてもなく彷徨うような歩き方になっていた。 当人的にはあてはあるつもりなのだが、進行方向がどうにも的外れなのである。]
(526) 2019/04/29(Mon) 19時半頃
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[強い妖気が漂っている。 しかしそれの発生源は吸血鬼ではない。
ゆえに攻芸はその妖気に対して頓着しなかった。
誰がどう何を吸い取られようと、己の仕事の管轄であると感じていないのである。]
(527) 2019/04/29(Mon) 19時半頃
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…… 歌に強いも弱いもあるか。
[他の怪異たちが感心を示すなか、攻芸は歌の力を信じてはいないようだった。]
すごい妖気だ。
[確かに雪女の被害なんてこの街に住んで聞いたことはなかった。害のないやつ、というのも了解していたが。 どうも本日については話が違うようだ。
三年の針子先輩っていっていたっけ。 よく知った先輩ではないが、戸高先輩が名前を出していたのを聞いたことがあったようなないような……]
(*110) 2019/04/29(Mon) 20時半頃
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そうなのか?
[丁度昨日先輩に歌空間に連れていかれた時に感じたような心のふれあいを攻芸はまだ頭でも心でも理解はしてはいなかったのだ。
ではここにある怪異たちはみな歌を鍛えているのだろうか。たった十数年しか生きておらず、無心にフィジカルを磨いてきた攻芸にはわからぬことだった。 幸いこの神森という街に住んでいるだけで、喉だけは自然と鍛えられていたが……]
(*112) 2019/04/29(Mon) 20時半頃
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俺がおかしいのか? お前らの常識はよくわからないな。
[攻芸は訝しんだ。]
キャラソ……? キャラソンなんとか……
キャラソニアか。 そこではそう言われているのか?
[攻芸のなかではその三種全てはおよそ暴力の管轄として捉えられていた。]
(*115) 2019/04/29(Mon) 21時頃
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[廊下を歩く途中、不意に歌が聞こえた。 綺麗な歌声だった。朝、聞いたばかりの声……]
……。 また人助けをしてるのか……
[頭を振る。自分には無関係だ。 無関係の、はずだ。無意識に揺らぎかけた気持ちを攻芸はまだ認識していなかった。 ……どちらにとっても気の毒だが、聖歌騎士団公安部あたりはいい加減出番を迎えていそうなものだし。 ヤマモトにも連絡をとらねばなるまいなと思う。]
(547) 2019/04/29(Mon) 21時頃
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[攻芸は静かにカルチャーショックをうけながら]
物心ついたばかりの子供でもその常識を識っている。 つまりお前は喉を鍛えてきたというわけだな。
[試しに耳を傾けてみろと言われて、攻芸はまだ理解不能だとばかりに、廊下で眉根を寄せていた。 しかし実際、今まさに、丁度どうにかなっちゃいそうだというのなら、その歌の力とやらを見せて貰うしかなかろう。]
――……
[雪女自身も、たしかにどうにかされちゃいそうな声音で同意をしていた。 攻芸は耳をすました。]
(*118) 2019/04/29(Mon) 21時頃
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[廊下でただ、二階の歌に耳をすませていた。
――しかし、歌い始めたのはその教室だけではない。 神森市のいたるところから、歌声が響きはじめていた。 市民はようやく迎えた春の復活を待ちわびていた。
人だけではない。 猫ですらも――
攻芸は、窓の外、下の階から響く歌声(による様々な色の羽根のようなあたたかな光など)と市に響き渡る歌声(による日の出のような後光めいた光の筋)を聞いた。
陽に肌が焦げるのも忘れて、その光景を眺めていた。]
(603) 2019/04/29(Mon) 23時半頃
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―― これが…… 歌のちからか……
(604) 2019/04/29(Mon) 23時半頃
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攻芸は、突然市内がキャラソンを各々に歌い出す様をみていた。
2019/04/29(Mon) 23時半頃
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これが強い歌というわけか。
[灼けた眼で前が見えなくなってきたころ、ようやくそれを眺めるのをやめた。]
(*121) 2019/04/29(Mon) 23時半頃
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[灼けはじめた目を伏せて、攻芸は窓辺から去った。 寂しい鼻歌ひとつ、皆の歌に織り交ぜることにして。**]
(607) 2019/04/29(Mon) 23時半頃
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― 市内全域がキャラソンを歌い出したころ ― >>609 >>610 >>611>>613
[何かとぶつかった。 目の痛み、春もうららな太陽を望む歌声に耳奥まで灼けていたためか、相手を避けてやることも出来なかった。]
なんだ……? 悪いな。 前がよく見えないんだ。
[眼球のなかが高温になった炭が如くに、内側からまだらに朱く燃えていた。]
(617) 2019/04/30(Tue) 00時頃
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― 市内全域がキャラソンを歌い終わる頃 ― >>609 >>610 >>611>>613>>617
――♪
HEAT HEAT HEAT ヤケドしてしまいそう HEAT HEAT HEAT 血を焦がされ内側から
春に湧く民衆《オーディエンス》 とりのこされた二人 (ココロ ムナシク シズム)
(656) 2019/04/30(Tue) 00時半頃
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BEAT BEAT BEAT 肌と肌を重ねても BEAT BEAT BEAT 今はなにもわからないよ
キミと俺を燻らせる 歌と陽の氾濫《こうずい》 (ココロ ムナシク シズム)
(657) 2019/04/30(Tue) 00時半頃
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― 市内全域がキャラソンを歌い終わる頃 ― >>655
……
[相手のことは、見えもしない。 男か女かも判別がつけられなかった。 攻芸は小さく鼻でわらった。 こんなところで氷の上勢いよく飛び跳ねてきた人が、なんだかこの春を歓迎していないような気がしたのだ。
攻芸は、きっと自分がこういう身の上だから、相手に都合のいい像を押し付けたのだと考えた。]
気にしてどうするんだ?
[大丈夫なのかと訊かれて、聞き返した。 目の前に顔が迫っているともよくわからずに。]
叫べば誰か来てくれるんじゃないか。
[恐らくは不気味がられているのだろうと攻芸は仮定した。後方でだれか悲鳴を上げている気もすることだし。]
(661) 2019/04/30(Tue) 01時頃
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>>*122
ああ。 氷点下も脱したようだしな。 信じる他ない。
[先程、市内の歌を聞きながら攻芸は素直に九生屋の言葉を認めていた。 歌など信じず戦うことができると攻芸は信じていた。 けれど目の前には想像を絶する光景が広がっていた。]
(*129) 2019/04/30(Tue) 01時頃
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[邪道院が吸血鬼退治に絡んでいるのかと尋ねられ、攻芸は自分と向き合うのが下手なのか、少しの間の後]
俺は俺の血のために お前と殺し(あそび)合ってる。
(*130) 2019/04/30(Tue) 01時頃
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[雪女は消えそうであるらしい。暴走した怪異が消されてしまうことは、まああり得ることだと、頭の冷めた部分が了解した。 戸高先輩は寂しがるだろうと思った。
この結末を望んで皆歌ったのだろうかと考える。 攻芸は元は歌の力を信じていなかったが。 目の前のこれは、彼女が消えるのだとすれば、やはり圧倒的な暴力であるのかもしれないと、攻芸は一人、どこかで納得をしていた。]
(*132) 2019/04/30(Tue) 01時半頃
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>>*128 >>*133 [残念だと零した九生屋の声は、攻芸にとってはあまり聞きなれない類のものだった。]
俺はあまりものを知らん方だからな。 助かった。 ああ。九生屋は強いが、次は俺が勝つかもな。 [『勝つかも』がある限り、攻芸は吸血鬼に挑むつもりでいる。最初から攻芸にとっては同じだ。]
(*137) 2019/04/30(Tue) 02時頃
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……… そうか。やっと逃げられずに戦えるか……。
[なんとこの男、自らの方向音痴を棚にあげ、相手に逃げられているようなつもりでいたのである。]
わかった。 すぐに見つけてみせる。待っていてくれ。
(*138) 2019/04/30(Tue) 02時頃
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― 市内全域がキャラソンを歌い終わる頃 ― >>669 >>670
[攻芸は、悲鳴を上げられても無事に逃げ切ることが出来ると自負していた。この学園で、この脚に追い付ける者がいると思っていないのである。
歌が止み、窓際を避けているうち、徐々に耳鳴りや音の濁りが消えてきた。 相手の声音はメゾソプラノボイス。 喋り方の雰囲気から、年下だと想像して、ますます印象が性別不明になる。]
(692) 2019/04/30(Tue) 02時半頃
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[イヤじゃないよ、という正面にいる誰かに、今朝の金城や宇津木を重ねる。 その誰かは金城を嫌っているともしらない。]
………、 気味悪がったほうがいい、こんなの。 見逃してくれるのは、ありがたいけど。
[そう言いながら、攻芸は覗き込まれていた目を擦った。擦りながら何度か瞼を動かしてみているうちに、炎も消え、眼球が戻ってきた。目を開いて、最初の質問に改めて答えることにした。]
『大丈夫』。もう。
[視力が中々戻らず、顔がぼんやりしている。 顔が近いことにやっと気づき、体をひく。]
(693) 2019/04/30(Tue) 02時半頃
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……なんだかしらんけど、 こんな"何か"なんて探さないほうがいい。
じゃあな。おかげで、すこし、……
[心ときめくあなたのリズム(うた)で気がまぎれたなんて伝えることは憚られた。 だから尻切れトンボに話をやめて、攻芸は廊下を去っていくことにした。**]
(694) 2019/04/30(Tue) 02時半頃
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俺はいいよ。 俺にまで挨拶してくれるくらいなら ……戸高先輩とでも喋ってってくれ。
[卒業式だって、攻芸なら別れの邪魔はせずにおく。 端的に遠慮をして、『みつけた』と聞こえたことに、少しホッとした。]
(*145) 2019/04/30(Tue) 02時半頃
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>>*139 [クソ鈍感野郎だと誤解されても仕方がない者は、廊下を殺意を宿し進みながら、当然まだ辿りつかない。]
そうなのか? 親切かと思った。
[頂いた塩は大事に使わせて頂くのかもしれない。]
(*146) 2019/04/30(Tue) 03時頃
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>>*140
……ん?
[なんか九生屋が唸っている。]
やっぱり逃げるつもりか? どっちでもいいぞ。 殺しに(あそびに)行ってやる。
[一生辿り着かないルートの気配だ!! 勿論迎えにきてくれたってかまわない。 攻芸は辿り着く気だけは満々だ。]
(*147) 2019/04/30(Tue) 03時頃
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>>*148
友達だろ。親切でよくないか?
[まあ本当にクソ鈍感野郎なのかもしれない。]
……さあな。 俺は歌の力なんて信じてない間も 絶対に勝てないとは思わなかった。
……結果的には負けたが 負けたからには、次は善戦するさ。
(*152) 2019/04/30(Tue) 03時半頃
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>>*149
……鬼ゴッコもここまでか。
[いいえ。断じていいえ……]
音波、状況……?
[悪いのかもしれない。 なにせ先日吸血鬼になったばかりのなりたてホヤホヤである。変身などはまだしも、そのあたりの見てもわからない機能についてはイマイチ慣れや理解が遅いのかもしれなかった。]
意味がわからん。
(*153) 2019/04/30(Tue) 03時半頃
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