22 共犯者
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>>*5 復讐…。
[かつて出された「宿題」>>*2:40への答えを、 ぽつ、と口にする。]
復讐…か? 殺された同胞への復讐……。
人の子への…。 それとも森を捨てた同族への…?
[同胞の真意が理解できない。 人の子へ対する怒り ―少なくともヘクターは大きな怒りを抱いていた― ではなく、なにか別の目的が?]
(*6) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―回想・巡礼三夜目の明け方・遺体安置室―
[誰もいない教会の地下納骨堂前の部屋に 安置されたニールの遺体に近づく。 遺体の血を舐め、嘗て味わった 「血族」と同じ感覚を感じ取る。]
我らが血族―――。 我らの代わりに、人の子の手によって還りし者。 祝福は我が与えん。
汝の肉体と魂は、我らと共にある。
[そう言って、パピヨンやピッパにしたのと同じように 肉体を捕食し始める。 ぽっかりと空いた腹部には、 聖地の土を詰め、また布で覆う。 彼らに一礼し十字を切ると、そのまま立ち去った。
そして、四夜目の巡礼へ―――]
(191) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―四夜目の巡礼・夜・広場―
[今夜は一層ビリビリとした悪意が強く感じられる。]
ガキどもが…。 殺気を其処ら中に撒き散らしやがってよ!
[その感情に呼応するかの如く、 彼の闘争心も高まっていく。
オスカーやテッドと目が合えば、 鋭く睨み返しただろう。]
(193) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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>>*8 [突然饒舌に語り出した同胞に少し驚き、 じっと話に耳を傾ける。]
(*9) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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―四夜目の巡礼・夜・森― >>193 [広場で巡礼者たちと言葉を交わしたかもしれない。
そしていつものように 一番最後に、森に、入る。]
今夜はあの片割れにするか? あの挑むような目。 神を畏れぬ不敬で愚かな思想。
同胞に危険を及ぼしかねん。
[それに―― 今夜は特に、血に飢えた気分だ。]
(195) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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>>196 あん? 俺に言ってるのか?
巡礼が始まる前に そんな下品なモンちらつかせんじゃねえよ。
[そう言ってオスカーに不敵な笑みを返し、 森に入っていく彼をじっと見つめていた。]
(197) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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―四夜目の巡礼・夜・森の中―
[今夜も巡礼開始の合図の鐘が鳴る。
巡礼者の中で最後に森に足を踏み入れたヘクターは 半人半獣の姿になると、森を駆ける。
そして、道を歩くオスカーを見つけると、 深い森の中へ勢いよく蹴り入れる。]
―――よお。 御使い様、探してんだろ?
(198) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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>>*12 [森の守護者である自分達ですら、 信仰を忘れた人の子と同じ、と断罪する 同胞の言葉に衝撃を受けたか。]
そんな……。 だったら…だったらアンタは。
アンタが此処に来た理由は何だ? ただ、儀式を再び行うだけじゃない。 森を聖地を護る為じゃなかったのか?
…アンタ、一体何と戦っているんだ?
(*14) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>198 [深い森の中で、オスカーと対峙し、 黒髪の少年の手に握られた拳銃を目にする。]
なんだお前、銃持ってたのか。 なら、これァいらねえな。 せっかくお前の為に持って来てやったのによ。
[そう言って散弾銃を地面に投げる。]
まあ使うにしろ使わねえにしろ、 好きにするがいいさ。 その前にお前を肉塊にしてやるからよ。
[姿勢を落とし、戦闘態勢を取ると 獲物をじっと睨みつける。 牙が伸び、体躯も一回り大きくなった。]
…来いよ。楽しもうじゃねえか!!
(200) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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―四夜目の巡礼中・おそらく同胞との会話の後― >>200 俺はあの片割れをやるぜ。 ホリーを襲って正解だったな。 あの感情の高ぶり…。 ノックスより楽しませてくれそうだからな。
アンタはどうだ? やはりミッシェルか? それとも趣向を変えてトニーの餓鬼でも喰うか。
(*16) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>201 [彼の問いには明確には答えない。]
「ヘクター」が散々教えてやってたのによ。 まだわかんねえのか。
俺を前にしても、 まだそのような戯言が言えるか。
[オスカーから眼を離さず、じりじりと間合いを測る。]
(202) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>200>>202 [それは、一瞬で終わる筈だった。 金髪の少年を屠った時と同じように、 間を詰め、オスカーの喉笛を狙う。
しかし、その瞬間、女の声が脳に響く―――]
「一緒に、変わっていこう?」
……マーゴ?
[あっという間に狩り終える筈だった。 今頃オスカーの首は落ちている筈だった。
それなのに、突然の幻聴と激痛。 接近し振り上げた腕が、一瞬だが静止する。
その一瞬の躊躇が、決定的な隙になった。]
(205) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>204>>205 が……っ!ぐお……!
[至近距離から放たれたオスカーの銃弾は、 ヘクターの頑強な肉体をも撃ち抜いた。 その衝撃でその巨躯は後方へ吹き飛ぶ。]
痛えじゃねえか! このガキがああああああっ!!!
[出血を始めた脇腹を押さえ、 自分に傷を与えたオスカーに吼える。 森の獣とは明らかに違った鳴き声。
暗闇に響き渡る銃声と咆哮が、 森を往く他の巡礼者にも聞こえたかも知れない。]
(207) 2010/08/07(Sat) 17時頃
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>>207 [旧来行われてきた生贄の儀式では、 「御使い様を敬い畏れる」人間の肉を取り込む事で、 御使いたる森の獣神らは力を得ていた。
その力を行使し、新たな敬意と畏怖を広める。 いわば相乗効果があったのだが―――。
もしかすると、今までに食べた生贄達の血肉が… ソフィア、パピヨン、ノックス、ピッパ、ニール。 そしてホリーやマーゴの想いが、彼の肉体へ作用し、 その一瞬の隙を作りだしたのかもしれない。]
「我らは彼らと共に。彼らは我らと共に」か…。 はッ、ちくしょうが、てめえら……。
[剥ぎ取った上衣で傷口を押さえ、闘争心をむき出しにする。
オスカーに加勢する者が居たら、 ダメージと出血に弱りつつも彼らと応戦するだろう。]**
(211) 2010/08/07(Sat) 17時頃
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>>*15 最後の祭祀……。
[……ああ、そうか。 そう言う事なのか。 頭の何処かで解っていた事なのだ。
もう無理がある、と。 「御使い様」は既に生きながら死んだ存在なのだと。 その緩やかな死は、人の子だけでなく、 自らの仲間達の手でも進行していたのだ、と。]
アンタの言いたい事は、たぶん解った。 だったら俺は…。
――いや、それでも。 俺はアンタに付いていくぜ。 やる事ァ、どっちみち、変わんねえな。
(*21) 2010/08/07(Sat) 23時頃
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>>*20 [……。しばしの沈黙。 きっと口元は笑っていただろう。]
…なら、終わらせようか。 アンタは独りじゃないからよ。 俺たち二人、生きて儀式を終わらせようや。
(*23) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>*22 何言ってんだよ。らしくねえな。 アンタの声を初めて聞いた時、 俺がどんなに嬉しかったか、アンタ知らねえんだろ?
今夜の生贄は、随分活きが良い。 俺も全力で狩りに行く。 また後でな、「ヴェスパタイン」。
(*24) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>207>>226 [咆哮の後、再びオスカーに飛びかかる。]
ほんとよ…まだまだガキかと思ったのによ…! てめえら姉弟揃って…!
[負傷と出血の為か、 普段より攻撃のスピードが落ちているようだった。 接近するテッド>>279には、気が付いていない。]
(280) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>283 [オスカーの銃弾を紙一重で交わす。 こめかみに赤い筋が走る。
しかしその瞬間、 テッドが力いっぱい振るった剣>>284が、 ヘクターの腹部に深く突き刺さる。]
ぐうっ!! ……ちッ。 なめやがってよおぉぉ!
[剣が刺さったまま、 テッドを吹き飛ばそうと体を反転させる。 地面に鮮血の華が広がった。 何故だ、身体が重い……!]
(287) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>287 げほっ、げほ…!
[内臓を損傷したか、片膝をつき喀血し始める。 しかし眼は狙いをつけたままで]
ガキどもがぁ!調子に乗ってんじゃねえぞ!!
[そのまま勢いをつけ、 宙に浮いたテッドに飛びかかる!]
(291) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>291 [ヘクターの大振りな攻撃は空を切り、 同時に大きな隙を生む。
そこからは一方的な展開だっただろう。]
(292) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>292 [繰り出されるテッド>>293やオスカーの攻撃。 彼に其れを全て交わせる程の力はもう残っていない。]
(―――致命傷…か。)
[本能で自らの限界を悟ったか、 引き抜いた剣を投げ捨て、 止めを刺そうと走り込む少年らを打撃で吹き飛ばす。
やがて彼は大きく跳躍すると、 大樹の枝に飛び乗り、彼らを見下ろす。 そして息を整えると、彼らに大声で語り始めた。]
(295) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>295 大いなる原罪を持って生まれし人の子よ!
我らは代々この森を聖地とし、守ってきた。 祝福されし人の子を愛し、育んできた。
なのに何故!
お前達は感謝を忘れ、畏怖を忘れ! 儀式を堕落させ、聖地を汚す!
そして一方的に契約を破棄し、 我らの存在すら消そうとしている!!
―――汝らは我らの消滅を願うのか? 我らの力を思い出せ! 我らと共にあった時代を思い出すがいい!
[彼が叫ぶ度に、オスカーやテッドの頭上から、 小雨のように赤毛の森獣の血液がポツポツと降り注いでいるだろう。]
(297) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>297 オオオオオおおおおおおおおおッッ!!!
[それは最後の咆哮か。 銀の同胞へ向けて、何かを伝えようと、吼える。
そして、そのまま、「ヘクター」は森から姿を消した。 無事に森を出た巡礼者は家路についただろう。]
(301) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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―四夜目の巡礼後・深夜から早朝・アレクサンデル屋敷―
[赤い毛並みの狼は「ヘクター」の形に戻ると、 血を滴らせながら、最後の力を振り絞り、 アレクサンデル屋敷のイアンの部屋に突入する。
――ガシャン!!!
窓から血まみれの巨躯がイアンの前に現れた。]
…よォ。
(304) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>304 [肩で息をしながら、 ヒューヒューと言った呼吸音と共にイアンと対峙する。 血を滴らせながら、ドッ、ドッと足音を立て、 ゆっくりと彼に近づく。]
(ぐっ…ちくしょう、目が翳んで良く見えねえが…。)
[傷だらけの両手をイアンの頬に伸ばし、 イアンの顔に自らの顔を近づける。 他の者には聞こえないよう、 だがイアンにははっきり聞こえるように言った。]
イアン―――。
どうか、「あの方」を、頼む。 お前、なら、きっと、あの方を、助けて……。
(305) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>305 [続く言葉は、気管から上がる血塊に遮られる。 暫く咳き込み、床に血反吐を撒き散らす。
と、次の瞬間。 いつもの「ヘクター」のような 人懐こい顔をイアンに向け、悪戯ぽく笑う。]
ああ、それから、もいっこ…。 この前の煙草…、一本くれねえか?
(307) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>307 [イアンから煙草を受け取っただろうか。、 咳き込んで血を床に吐き捨てた後、そのまま口に咥え、火を受けただろう。
壁にもたれ、そのまま腰を下ろす。 床に敷かれた絨毯がみるみる赤く染まっていく。 口に咥えた煙草を指で挟み、随分懐かしい香りのする煙草をゆっくりと吸い込む。]
ふう……。 …やっぱり、旨えな。
[ふぅ、と煙を吐きだしたが、もうそれ以上紫煙が上がる事は無かった。]
マーゴ、お前はまだ還る途中か? これから行っても、間に合うかねェ?
[やがて腕が力なく垂れ下がり、 ヘクターの指に挟まれた煙草は、 床に溜まった血痕の上に、ジュという音を立て、 落ち、赤く染まり、消えた。]**
(310) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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ドナルド、タバサ、先代様、 俺も、そっちに、還る……から…な。
(*28) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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[そして、最後に一言、敬愛する同胞に。]
わりィ……。
[どうか、アンタは、無事で、いて、くれ。]**
(*29) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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