162 絶望と後悔と懺悔と
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[姉を討った、と告げた言葉。 正確には貫いたのは守備部隊の二人の刃だ、 けれどそこまでの説明は不要だろう。 零瑠がこれらの言葉を、父に伝えようとも構わない。
彼に背を向ける頃にも、 刃は抜き放たれたままだった]
(65) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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―補給基地・倉庫地帯― [仕掛けられていた罠に使い捨てられた鬼と、 父の命令に縛られかつての同胞を屠る獣と、 戦場の被害はどちらも甚大であったけれど――]
……、
[ここは被害の少ない場所だ。 そしてかすかに感じる同属の気配]
(68) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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[理衣の最期の言葉、確かに届いていた。 彼がもう、そうなるだろうことは、わかっていた。 ただその事実を受け止めて、けれど]
――……、
[あの言葉は、後悔、だったのだろうか。 自分は彼が願うことを、止めはしなかった。 ――それは胸の中の小さな棘だ]
(71) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[そして彼の代わりのように、増えた眷属]
……周、
[名を呼ぶ響きは、それ以上の言葉もなく]
ごめんなさい。
[零瑠を留めたあの時に、本当は彼を逃がしたかったのだ]
(*22) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[裏切りを働いたとて、 人を殺すに躊躇いなき鬼であることは相違ない。 邪魔なものは切り捨てていくから、行く後は血の道の出来た。 これで殺されるのであれば、数の内にも入らぬだろう、と]
明乃進……、
[気配を探し、呼ぶ声は――、 己を探すものにもまた届くかもしれない>>75]
(78) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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―補給基地・空き倉庫― [>>79 足音無くその入り口から顔を覗かせた。 彼のほかにも人の気配がある、 中に足を踏み入れて良いのか、すこし思案した]
明乃進、
……明くん、みなと一緒なの?
[少しだけ中に足を踏み入れた、 そこには近づくことは出来ないとでもいうように。 >>80 もうひとつ、聞こえた声はキャロライナのものだ。 彼はまだその意思のかわらぬのだろう、その声]
(81) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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[己を追う気配には、 僅かな動揺を感じながら、 けれどそのままに置いた。
>>84 キャロライナにも気づかれたようで、 更にもう少しだけ近づいて、明乃進の姿を見やる。 抜き身だった刃は、既に収めていた]
お姉様を殺したの。 ――……すこし、自由に、なれた?
[怪訝な声音、その意味もわからぬままに、 ただそうであってほしいことを、問う]
(87) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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あなたを逃がせなかった。
[>>+8 それだけの理由を告げて、続く言葉はない]
(*28) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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あなたたちが自由になれると思ったから、 彼女の力を奪えばお父様に抗えるかもしれないと思ったから、
それから――……、 彼女に殺されたくない人がいたから。
[その当人に聞かれているのはわかっていたけれど、 問われた言葉にはそう答えて、ゆると俯く]
(96) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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……ええ、ずっと。
[>>99 明乃進の驚く様子には簡易な肯定を示して]
けれど、だめね。 ……行き詰まってしまった。 道を示してくれた直円も、もういない。
わたしはやはり父の支配の下にある。
[そこまで一息に語って、 ――あのひと、その言葉に首をかしげた。 そして視線を落とす、銘のついた短剣]
……お姉様に?
(104) 2014/02/18(Tue) 00時頃
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[キャロライナの過ぎていくのを、 言葉なく眼差しを伏せて見送り]
……そうね、 お姉様の血はわたしの中にある。 でも、父の呪縛に抗えるかは――。
これは、私がお姉様に託されたものだけれど。
[その短剣の刃を抜いた、 輝きに感じるだろう恐れ、魔を屠る力。 避けた袖、覗く己の腕に薄く刃を充てて見せる。 その赤くついた筋は何時までたっても塞がらない。 ――ニルヴァーナ、涅槃の銘を持つ刃]
あなたは役立てることが出来る?
[問うて、少しずるい聞き方かもしれないと気づいた]
(118) 2014/02/18(Tue) 00時半頃
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[静かな絢矢の問いかけ、 己は沈黙を守り、言葉は明乃進に任せた、 ――彼の言葉はいつだって優しかったから。
抜かれた刃の輝きが彼女を刺激せぬように、隠した]
(121) 2014/02/18(Tue) 00時半頃
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……先に零瑠を殺してくればよかったわね。
[>>122 そうすれば少なくとも、 障害となる者は自分と新たに増えた眷族、 そのふたつだけとなったはず、と。
己の命を物のように語るのは、 人の命をも物のように扱ってきたからだ。 ただ、守りたいものだけを、除いて]
いいなら、いいわ。あなたに託す。
[>>124 言葉のすべては必要なかった、 鞘に戻したそれを明乃進に渡せば己は無手も当然で]
(126) 2014/02/18(Tue) 01時頃
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――……、ああ、
[絢矢の声と、 それから父の声が重なる。 祈るように目蓋を閉ざした、無防備に]
零瑠が早速、 お父様にわたしのこと告げたみたいね、 ……早く行って。
[――吸血鬼以外、 目に収めた命は全て殺せ。 それが下された命令だった]
(130) 2014/02/18(Tue) 01時半頃
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[目蓋を閉ざせば視界には入らない。 それで駄目なら目でも潰せばいいのだ。 その手に残っていのは角殊の棘。
>>109 己を守ろうとするものがあることを、 きっと忘れていたのだ**]
(136) 2014/02/18(Tue) 01時半頃
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―回想・戦場にて―
わたしは自らに恥じることなど無いわ。
[零瑠を今殺さぬ猶予を与えたのも、 ホリー・ニルヴァーナを殺したことも、 絢矢を置いてきたのも、全て己の意思だ]
わたしはあなたに、あなたの罪を問うているだけ。 周をさらい父に捧げた、それはあなたの意思でしょう? ――周の優しさに甘え、それを喰らい尽くした。
[>>173 姉の血を、純血の力の全てを奪った。 彼の察する気配が、己の察せぬわけがないのだ。 ふわりと、飛んで宙を返る。足を着くは零瑠の背後。 足音もない、冷たく憂う変わらぬ深緋]
――……
[それからはもう何事もなく立ち去った**]
(182) 2014/02/18(Tue) 18時半頃
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―倉庫内にて― [>>147 明乃進の言葉に頷いた、 手の中には姉を杭とした角殊の棘。 けれど、そう、ここでは駄目だと思ったのと――、 高い金属音が響いたのとは、ほぼ同時で。
咄嗟に、閉じた目蓋の上、 その棘を躊躇うことなく突きたてた。]
っ、あ………、ッ、く、
[真横に引く、両の眼に何も映らぬように。 視界は赤黒い焼ける何かで満たされた、痛みはわからない。 ただ、強い衝撃と焼けるような熱があるだけだ。
傷ついた両の眼窩を片手に隠す。 ぼたぼた、と滴り落ちる血の滴]
(183) 2014/02/18(Tue) 18時半頃
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[>>162 尋ねる言葉には答えようも無い、 ただその続いた言葉に、この熱が痛みであることを思い出す、 認識する。思い出させるのは、いつだって。]
……だ、め、
[――引かれた手、 近く感じるあたたかな存在、その背中。 抗いようがなかったのは、見えぬせいではなくて弱さだ]
(184) 2014/02/18(Tue) 18時半頃
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……あなたを見たら、殺して しまう、
[震えた声、それでもこの刃では、足りない。 始祖の血と、純血の血と、傷は癒えていくのを感じている。
何度でも、眼を突いて。 駄目なら腕を落としてもいい。]
(185) 2014/02/18(Tue) 19時頃
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[>>163 その手を振りほどけなかった**]
(186) 2014/02/18(Tue) 19時頃
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――……、
[>>+9 気に病む必要は無い、 その言葉には、すると言葉が滑り落ちた]
そうね、 最初からもっと、 死に物狂いで抵抗してくれたらよかったのに。
……ばか。
[喧嘩傷を諌めたような、 そんな物言いと似て、けれど確実に違う言葉*]
(*45) 2014/02/18(Tue) 21時頃
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……っ、
[喘ぐような吐息が零れた、 緋に世界に影が落ちる、土ぼこりと鉄の匂い。 あたたかい、温度。
>>188 その腕の中でふさがれた世界、 意識は眼窩のその灼熱に倦んで、まどろむ様。 決してやすらぎのないまどろみ]
明くん……、お願 い。
[それは託したものを願う言葉だった。 >>189 サミュエルの言葉を聞いて、咄嗟に。
何より彼の腕に抗う意思を失くしてしまったのは、 その言葉が、嘆願のような言葉が、ひどく胸を苦しくさせたから。 身を預けたのは、ただその痛みに寄り添いたかったからだ]
(193) 2014/02/18(Tue) 21時半頃
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ねえ、……どこに、行くの?
[腕の中、かすれる声で問いかける。 きっとどこにも行く場所なんてない。わかってた*]
(194) 2014/02/18(Tue) 21時半頃
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[>>197 答える言葉はない、わかってる。 何か方法を考えなければいけないと、思うのに、 力こめられた腕に全てを委ねてしまいたくなる。
血と火薬と泥の匂い、やけた匂い。 変わらぬ戦場の匂い、生きたものの気配を感じない。 座り込んだ場所は、どこだかわからなかったけれど。
緋色と熱に満ちた視界は、 ずっと暖かな闇に包まれている]
――……、
[そっと、その胸に頬を摺り寄せた。 出来ること、問いかける彼の声の振動が、肌を通して伝わる]
(204) 2014/02/18(Tue) 22時半頃
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[しなければならないこと、 考えなければならないこと、 全てを置き去りにしてしまった。
案じることは沢山あるのだ、 妹たちのこと、捕虜となった2人のこと、 また誰かに託すことしかできなかった無力と、 討つべき父のことと、それから――それから]
……わからない。
今はこうしてくれるだけで、いいな。
(206) 2014/02/18(Tue) 23時頃
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[始祖を討つ障害となる姉を倒し、 その策のひとつを託すことが出来た。 自分にやれることはやれたのか。
あとは自身が障害としかならないのなら、
――そう考えていたのに、 彼の温度を感じているとどうしてか、 離れがたくて、もう少しだけ]
……何言ってるの、血だらけなのに。
[>>209 比ゆ的にも物理的にも、本当に血だらけだ。 それをどうとも思わなくなってしまった、感じなくなったと思っていたのに]
(215) 2014/02/18(Tue) 23時半頃
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うん、……ありがとう。 ごめんね、さっきは死ぬつもりだったのに、 サミュエルが来てくれて、嬉しくて。
――……わたし、
[離れたくないと感じている、 言おうとした言葉に重なるような声。
ずっと傍に。
それはあの頃そういられると信じてたこと。 でも、もう同じかたちには、なれない]
(216) 2014/02/18(Tue) 23時半頃
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……だめ。 わたし、あなたを、殺したくない。
[片手で押さえた目蓋の傷、 ぬるりとすべるようだった皮膚も、 潰れた目蓋もいつの間にか治り始めていて]
ねえ、あなたの武器を貸して。 ……この傷では癒えてしまうから、 もっとちゃんと、見えないように、眼を。
(222) 2014/02/18(Tue) 23時半頃
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また、行き詰っちゃったな……、
あなたと一緒にいたい。 ずっとそばに、その意味はわかっているよ。 ……少しだけ、それでもいいかな、って思ったけど、
でも、わたし、
[言葉の途切れる。 父の呪詛の響きを感じる、――視界は緋色]
(242) 2014/02/19(Wed) 00時頃
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……サミュエル、
あなたの一番の幸せは、なに?
[唇だけが柔らかな弧を描いた]
(244) 2014/02/19(Wed) 00時頃
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