94 眠る村
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─ 宿 ─
[木戸を開くと、がたあん!と、高い音が響いた>>41 思わず、クラリッサの方へと振り返る]
…あんたはここにいな。 可愛い孫を危険に晒したとあっちゃあ、 ナタリア婆さんに顔が立たない。
ま、あたしも荒事は得意じゃないんだけどネ。
[くるり。と、リボンを結んだ髪を指先に揺らして客室へ向かう。 止めたものの、彼女が来るならそれ以上の制止をすることはない。 ない──…というより、する余裕が、ない。 足早に、音の元へと向かう先]
(52) 2012/06/14(Thu) 19時半頃
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…ああ。
[息が零れる]
───…手遅れって話、か。
[転がる二つの死体、 ブローリンの様子にぽつりと暗い呟きが*落ちた*]
(53) 2012/06/14(Thu) 19時半頃
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─ 少し前 ─
[宿には、ブローリンにラディスラヴァの姿がある>>66 ぽつりと落とした呟きに返る怒りを押し殺すかの声>>90に、 男は薮睨みの目をちらりと無言で、ただ向けた]
……──は。いい香りじゃないか。
[酒場として使われている部屋へ戻れば、幾つもの顔。 漂う紅茶の香りに、男は少し表情を緩める]
(143) 2012/06/14(Thu) 23時半頃
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紅茶ねえ……。 ああ、ああ。仕方がないね。
クラリッサ。 あたしンとこにゃ、紅茶は売るほどあるんだよ。 あとでちょいと、持ってきておくことにしよう。
[薮睨みの目は、ちらと鳥を連れた少年も見る。 けれどすぐに、視線は宿の娘へと向けられた>>130]
(145) 2012/06/14(Thu) 23時半頃
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[ひとつ、ひとつ。起きている顔を見た。 ハナの幼い顔がそこにあっても、 さして動かなかった表情が、異母弟を見止めて初めて動く]
…ケヴィン。あんたも起きていたのかい。
[知らず、長い息が落ちた]
(148) 2012/06/14(Thu) 23時半頃
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[足を止めた異母弟に歩み寄る。 こんな場では珍しく、その肩へとぽんと手を置いた。 普通の、兄弟みたいに]
…確かめないと納得出来ないのかい? 難儀だねえ。 言っとくけど、面白いもンじゃないよ。
[言外に、自分は見たのだと滲ませる声。 背後からかかるブローリンの声に、ちらと一瞬視線が流れた]
(156) 2012/06/15(Fri) 00時頃
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ハン。そりゃあ、こっちの台詞。 あたしはまだ。だが、あんたは───…
[言いかけた言葉は、そこで止まる。 異母弟の恋人の姿はそこにないけど、思うところは]
…ぐーすか寝てりゃ、良かったのにサ。
[唇の端をあげて皮肉めかして笑う、ほろ苦い真]
(163) 2012/06/15(Fri) 00時頃
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ちッ。お前も寝てりゃ良かったよ。しッ、しッ!!! なんだい、ブローリン。 やっぱり獣は眠らないのかい?
[キキッ!と鳴く小猿に、顔を顰める>>162 だが顔が合えば、少し落ちるのは短い沈黙]
……ありゃあ、もう、戻らない。
[手遅れではないと言った男へ、口にする]
(165) 2012/06/15(Fri) 00時頃
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…、ああ。 やだねえ、あたしも終に焼きが回ったか。
[ケヴィンの肩に置いてしまった手、 訝しげに返る視線にひらりと手を上げておどけてみせる。 そのままくるりと、胸元のリボンを弄んで、]
───好きに?
[異母弟の言葉に、軽く男も眉をあげて見せた]
(168) 2012/06/15(Fri) 00時頃
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…、は。 あたしも、別にあの客人とやらは気にしちゃいない。 けれどね。
…───既にやつらは、ココにいるってだけの話だ。
[男は、目元隠した男へ唇の端を歪めてみせる。 薮睨みの両眼に浮かぶのは、皮肉な色]
もう紛れてンなら”手遅れ”だろ。
(178) 2012/06/15(Fri) 00時半頃
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…ま。あまり無理すんじゃないよ。 あんたはサ。
[異母弟へ向ける目は、常に人前にあるよりも少し親しい。 もっとも、注意深く見ないと分からない程度の差ではあるが]
あんたはあたしの、
───…貴重な釣り仲間だ。
[唯一家族と呼べる者なのだ、と。 声にはせず、怒り押し殺すかの表情に目を眇めた]
(185) 2012/06/15(Fri) 00時半頃
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[ローズマリーが、赤いグラスを手に歩み来る。 それよりも早く、とん。と、男の肘が肩に乗る>>183 同じく顔に刺青浮かんだ男の顔を横目にしながら、 微かに響く声に、一度小さく息を詰めた]
…───ハン。
[漸く落とした声は、僅かに掠れる。 声は高くなることなく、だから周囲には響くまい]
(187) 2012/06/15(Fri) 01時頃
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それも加護か。 ブローリン、お前さんそんなことをあたしに言って、
[唇の端を持ち上げる。 目に浮かぶ色は、決して笑みを湛えてはいないのだけれど]
あたしや、大事ないとこが”それ”だったらどうするンだい。
[告げる、声はどこか苦い]
(189) 2012/06/15(Fri) 01時頃
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──…ま。
やれるもンなら、頼みたいところだね。 あたしにも、ちょいと大事なものはあるもんだからサ。
[最後、身体を離して薮睨みの男はにいと笑った]
(190) 2012/06/15(Fri) 01時頃
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おや、ローズマリー。ありがとうねえ。 …ああ。こうなってもやっぱり葡萄酒はいい香りだ。
[にや。と、笑う男の右頬に走る刺青。 表情が動くと、これもまた何かの生き物のようにも見える]
あんたも寝ててくれりゃ、良かったんだが。
[思わず愚痴めいて零すのは、異母弟の告白を聞いた所為。 手にしたグラスを、一度くいと煽って]
…さあね。 ご先祖さんに、村を託されたのかも知れないサ。
[不安げな声に、わざと軽く返して葡萄酒の赤を眺めた]
(192) 2012/06/15(Fri) 01時頃
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仲がねえ。 ……小猿がいなけりゃ、もっといいサ。
[キキッ!と、抗議するように鳴く小猿に目を眇める。 猿の手の間合いに入らぬよう身体を引いて、男は笑った]
そうかい。 あたしゃ、まあ…悩ましいところだが、 [自分で言って、苦笑する。 好きかといわれれば、別にそんなに良い思い出の多いわけでもないが]
…──あんたらは、きっとそうさ。
[慰めるように口にするのは、クラリッサへ向けたものと同じ]
(196) 2012/06/15(Fri) 01時頃
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……そりゃあ、構いやしないが、
[薮睨みの目が、決意浮かべた碧を見る。 けれど、その告げる内容には少し考えるように沈黙をして、]
どっちにしろ、紅茶を取りに帰るつもりだからネ。 そのついでだ、行くのは構いやしない…が。 これだけ男が居るンだ。
むしろあんたは、ここを守っていたらどうだい?
[異母弟へも視線を向け、男は緩く語尾を上げた**]
(198) 2012/06/15(Fri) 01時半頃
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…へえ。そりゃあ、残念。 随分簡単なこったと、思ったがねえ?
[薮睨みの男は、目を眇める。 小猿連れた男が煙草を咥えるのに、少し間を置き、]
…──真っ当なことを言ってンじゃないか。
[にい。と、唇の端を上げた]
(211) 2012/06/15(Fri) 13時頃
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なに、
[異母弟に返す、声は軽い。 瞳の色に残る憂いには、それ以上かける言葉はないが]
…。あんたらがいいなら、構いやしないサ。
[労わるように、異母弟の指先が恋人へと伸ばされる。 そのやり取りに、笑うでもなく男は少し目を細めた]
まあ、どの道人手は必要だ。 寝てる奴には、顔に小猿でも置いてやりゃあいい。
[冗談とも本気ともつかぬ様子で軽く言い、 男は、クラリッサの見送りにひらと片手を挙げて返した]
(212) 2012/06/15(Fri) 13時頃
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[ブローリンが歩み行く背を少し眺めて、振り返るのは二人の方。 薮睨みの小男は、まずは異母弟を見上げるようにして、]
ケヴィン。もう言ったのかい。
[目顔でローズマリーを示すのに、何をとは言わず。 血縁を、男から口にすることはしない。───ただ、]
(220) 2012/06/15(Fri) 14時半頃
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ま、何でもいいさ。…ケヴィン、ローズマリー。
あたしはね。 ああは言ったが正直、村にさしたる思い入れはないのサ。 別に憎んじゃいないが、何が何でも救いたいほどでもない。
…──けど、まあ、
(221) 2012/06/15(Fri) 14時半頃
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クリストファーは、胸元のリボンを指でくるりと弄り───、
2012/06/15(Fri) 14時半頃
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あんたたちくらいは、助かるといいと思ってる。 もし、中身が別のもんになッちまったとしてもサ。
……全部が消えるわけでも、ないかも知れないし、
[それは根拠のない、望みのようでもあるけれど]
(222) 2012/06/15(Fri) 14時半頃
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手を繋いでりゃ、どうにかなるだろ。
[言うだけ言って、小男は背を向けた。 呼び止められなければ、そのまま見回るつもりで]
─── 頑張んな。
[小男は、リボンを結んだ髪を揺らして恋人たちに片手を振った*]
(223) 2012/06/15(Fri) 14時半頃
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[それから男も、幾つか家々や畑を見て回る。 そう熱心な動きではないが、見かければ住人を布団へと運ぶ。
最後に訪問したのは、学者の家。 書斎に眠る学者の背には、誰かの手で既に上着が掛けてある>>63]
……やれやれ、あんたもか。
[安堵かそれとも落胆か。 小さく息を落として、少しの間その横顔を見る]
(256) 2012/06/15(Fri) 18時頃
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『───見ておいてやってくれないか。』
[声が、聞こえた気がした]
(257) 2012/06/15(Fri) 18時頃
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─ 自宅 ─
[自宅へと戻り、手にするのは紅茶の茶葉。 ナタリアの好む茶葉を多くしたのは、老女ではなくその孫娘のため]
簡単に見つけられりゃ、
[ふと、呟く。 思うのは、呪いのように響いた男の言葉>>183]
───…殺しきれば、ネ。
[将来ある若い者。 では彼らが”それ”だったらどうするとブローリンは言うのだろう]
(258) 2012/06/15(Fri) 18時頃
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『───なかなか難しい年頃でね。』
[零すようにしながらも、どこか愛情の篭った声が脳裏に響く。 思い出すのは、先に彼の寝顔を見たからだろう。
──気にかけておいてやって欲しい。 学者にそう頼まれたのは、一人の金髪の少年のこと。 彼がセンセーと呼ぶ彼は、男の紅茶を良く好む。 薮睨みを気にせず話しかけてくる彼と、折に触れ話をした]
『なあ、見ておいてやってくれないか。 私では、あの子は少し意固地になってしまうから。』
[良く逃げ出す被保護者>>35を、彼はそう語った。 薮睨みの小男が、気に掛けてどうなるとも思えないと返したが、 それでも。と、学者は穏やかに首を振った]
(259) 2012/06/15(Fri) 18時半頃
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……誰か気に掛けているだけでも、か。
[今、この時を予見したわけでもあるまい。 けれど宿にあったシメオンの姿を思い、男は長い息を落とした**]
(260) 2012/06/15(Fri) 18時半頃
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─ 宿 ─
…どーうも、
[ただいま。とは、常の如く言わない。 ただ、こんばんはと言うわけでもなく少し半端な挨拶を口にした。 帰り着いた、宿にはクッキーの焼ける甘い香り。 それへ僅かに目を細め、真っ直ぐにカウンターへと向かう]
クラリッサ、そら。 これだけあれば、暫くもつだろ?
[目の前に置いてみせたのは、紅茶の袋。 彼女にはきっと、これが彼女の祖母の御用達と嗅ぎ分けられよう]
(274) 2012/06/15(Fri) 20時頃
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……お茶の香りってやつは、落ち着くもんサ。 馴染みのあるものなら、尚更ね。 代金は要らないから、好きに振舞ってやっとくれ。 どうもこの調子じゃあ、ここの世話になるかも知れないからサ。
[にい。と、唇の端を引き上げれば頬の刺青が共に歪む。 恐ろしげな笑顔で、小男は代金は要らぬと首を左右に*振った*]
(275) 2012/06/15(Fri) 20時頃
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