143 宵を待つ村
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[―――夢を見ていた。 2年前のあの日の出来事だ。
姉ちゃんが隣村へ出かけてから、1か月ほど経った日、手紙を受け取った。 ―好きな人ができた。 この人と一緒になりたい。 戻ったらちゃんと紹介する。― そんな内容だった。
同じ頃に隣村で人狼が出たって噂をきいて、心配はした。それでも強い姉ちゃんなら生きて帰ってこれるだろうと高を括ってた。
5日後また姉ちゃんから手紙が届いた。次は、動かない姉ちゃんと一緒に。 ―村に人狼がいる。 あの人は人狼に立ち向かうって言うから、運命を共にしたい。―
姉ちゃんは恋をしてたんだ。 アイツの為なら一緒に死んでもいいって、オレに教えてくれたんだ。
(13) 2013/09/14(Sat) 13時半頃
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でも、姉ちゃん。アイツは裏切り者だよ。
アイツが姉ちゃんの死体を運んできてくれたこと。 姉ちゃんの首に縄の痕がついていたこと。
それが全てだろ?
姉ちゃん、その恋は満足できたの?アイツの口から慰めの言葉が出る度に、姉ちゃんへの思いなんて表面的なものなんだって思い知らされた。
姉ちゃんの過去はもうない。 だから、オレがいちからやりなおすんだ。
姉ちゃんに扮したオレの姿を見て、親は勘当した。 バカなことやってるんじゃないよ、って罵られた。
でもオレは姉ちゃんが死んだなんて、耐えられなかったんだよ。―――]
(14) 2013/09/14(Sat) 13時半頃
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―ラルフ邸―
[どうやら寝ていたようだ。 額にくすぐったさを感じ目が覚めるとラルフが心配そうな顔で覗きこんでいた。>>16]
わ、…! い、い、今すっぴんだから!
[化粧をしていない顔をじっくり見られれば、きっと男だとばれてしまったかもしれない。急いで布団に潜って顔を隠した。
昨夜はベッドに寝かされ自分はソファで寝るから、と言う彼に対して、ソファで寝たら体固まっちゃうよ、ベッドおいでよー、なんて暢気にからかっていたが、承諾されなくてよかった。
――ラルフには、男とバレたくなかった。 いや、オレは男じゃない。ミルフィ―姉ちゃん―なんだから。姉ちゃんができなかったことを、オレが果たすんだ。だから、バレていない人―ラルフ―が必要だった。]
……ごめん。
[布団に入ったままの籠った声が彼に届いたのか、どう伝わったかどうかはわからない。]
(17) 2013/09/14(Sat) 18時半頃
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[布団の隙間から目をやると、ラルフが手にしていた水の入ったペットボトルと錠剤のビンが見えて、理解する。]
咳、つらかった? 一夜明けたし、支度したら、黍炉先生呼んでこようか? 朝ごはんも、なければアタシが買ってくるよ…?
[たしか先生は>>1:182家に帰っていったはず。
昨日は不安で仕方なく、人の家にまで上がり込んでしまったが、だいぶ落ち着いた。 どうせ人狼なんて出ていやしない。現に、ラルフもオレも無事でいるじゃないか。外に出ても村長の思い過ごしだったんだ、と皆のほとぼりも冷めて今まで通り生活ができるようになっているんじゃないだろうか。]
(22) 2013/09/14(Sat) 22時半頃
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[>>47すっぴんでも可愛いよ、というラルフに、バレていない、とほっとため息をつくと同時に、どこか気恥ずかしさを感じてそれには返事をせずに。]
うなされてた?何か夢見てたかなー… 人狼がいる、なんて変な噂ばっか聞いて影響されちゃったのかも。 大丈夫、ありがとう。
[なぜか昨日から姉ちゃんの夢ばかり見る。これからの現実を暗示しているのだろうか。…まさか。]
(53) 2013/09/15(Sun) 09時半頃
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[自分も出る、という提案に承諾の返事をするとラルフとはなるべく目を合わせないようにしながら布団からのそのそと這い出る。 乱れた服と髪を手でのばし、手早く掛け布団を畳むと、かばんを掴んで洗面所へ走った。
洗面所のわきに、水に挿した花を見て思い出す。昨日集会所の控え室で見つけた黄色い花だ。>>1:88 日の差す場所に置いたそれは今は花が閉じている。宵に咲く花なのだろうか。 ハンカチを水で濡らし茎を包むと、花の部分がつぶれないようにかばんの外ポケットにしまう。]
(54) 2013/09/15(Sun) 09時半頃
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[互いに準備が終わったことを確認し外に出れば、騒がしく集会所に駆けていく村の人を見て、何かがあった事を悟るかもしれない。**]
(55) 2013/09/15(Sun) 09時半頃
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…泊めてくれて、ありがとう。今度何かお礼するね。
[ラルフの家を出る前に一言、感謝の言葉を忘れていた。 皺がついたシャツを再度伸ばしながら伝えた。騒ぎが少しでも治まっていれば家に帰ろうと思っていたから、気にする必要もないが。]
(58) 2013/09/15(Sun) 16時頃
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[>>60お礼を述べたのにお礼が返ってくるなんて、お互い様だったんだな、とくすりと笑う。
集会所へ人が集まっていることは明らかだ。「人狼」という単語がそこら中で聞こえる。]
何かしら。 人狼が出たのなら、ケガ人がいるかも。 …黍炉先生も、もしかしたら。 ここからなら集会所の方が近いし、先に集会所行ってみない?
[ラルフに聞いたところで、道の少し先にヒューが急いで集会所に行く姿>>62を見つける。昨日とは違う、取りみだした姿にきっと何かがあったのだろうと察する。 名を呼び、気付いて止まってもらえたならば、どうなっているのか聞いただろう。あるいは彼は周りの声にすら気付かず集会所へ向かったかもしれない。]
(63) 2013/09/15(Sun) 18時頃
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―村の小道―
ウソでしょ……?
[>>65「村長が死んだ」「襲われて、無残に」――ヒューから聞いた情報と集会所へ向かっていく人々が言っていた「人狼」が、頭の中で繋がる。やはり集会所へ急ぎ行かなくては、とラルフと顔を合わせ頷く。
「お前らだけの方が早い」―たしかに、普通に歩くのならばオレとラルフの方がヒューより早く集会所へ行けるだろう。一時はヒューの先に歩みを進めたが、しかし――…]
……あーもう!放っておけるわけないだろ! 一緒に行くよッ!
[振り返りやや感情的に『言葉を作る』のを忘れて叫んだ。 ヒューが自分の位置まで来るのを待ってから彼とテンポを合わせて歩きだした。村に人狼がいるのなら、1人で出歩くのは危険だ。
…そういえば、たしかヒューはケヴィンと共にクシャミの家へ行ったはずだが、一緒ではないのか?こんな騒ぎの中、別行動をするのは危険だ。]
…クシャミくんとケヴィンくんは…無事なの…よね?
[なんとなく呟いた質問が、彼の気に障らなければいいが。]
(70) 2013/09/15(Sun) 21時半頃
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―集会所―
[目的の場所へ着くと辺りを見渡し、知り合いがいれば声をかけただろう。
集会所には昨日家に帰った人も集まっていた。泣き崩れる人、茫然と立ち尽くしている人、座りこんでブツブツと何かを呟いている人などいたが、彼らは共通して集会所へ入ってきた自分たちに敵意の目を向けてきた。
――昨日はこの視線から逃げて来たのに。どうして…
一室へ向かうと、遺体には布がかけられていたため、わざわざ布をはずしてまで見ようと思う気にはならなかった。 血肉の臭いだけで惨状を物語っていた。 布から出た遺体の手は、昨日私たちを疑って指してきた>>1:143間違いなく村長の手指だ。]
…うっ……
[異臭でえずきそうになるのを手で抑え、広間へ戻った。]
(71) 2013/09/15(Sun) 22時頃
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―回想・村の小道―
[>>72乱暴な口ぶりに一瞬肩がぴくりと動く。 クシャミとケヴィンと昨夜『別れてしまった』のでなければ、きっと大丈夫だ。彼らも騒ぎを知って集会所に行くだろう。
「急ごう」という言葉にこくりと頷き集会所へと歩いた。―――]
(78) 2013/09/15(Sun) 23時頃
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―集会所―
[口を抑えて俯いていると>>73腕をぐいと掴まれた。声のする方を向くと昨日本を読んで転寝をしていた男―ヤニクといったか―が立っていた。]
・・・こんにちは?何かしら?
[ヤニクに腕を引っ張られると、抵抗はしなかったためそのまま壁際の方へ。]
…何?
[誰かに聞かれたらマズい話でもするつもりなのだろうか、と再度同じように話を促した。]
(79) 2013/09/15(Sun) 23時半頃
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[>>80>>81ヤニクの言葉を聞いて少しだけ上げていた口端が下がり、彼を睨みつけた。
「ミルフィの遺体を見た」―それだけならば、ヤニクは自分をからかってるのだろうと思っただろう。しかし、「縄に掛けられた」―――それは誰にも言っていない。事情を知っている友人にも、死んだ理由などは言っていないはず。
…では何故?]
アンタ、それどこの情報だ? …ぅ、…
[喉を絞められ息苦しくなったところで手が離され、再度首に手を宛がわれ――また絞められる、と思い肩を震わせた。]
『ミルフィ』は死んでない…ここに、いるだろ…
[首筋を撫でる手を右手で掴み引きはがそうとして。 「いる」とは隣町に出た人狼のことだろうか、もしかして、ヤニクは姉ちゃんを人間ではないと疑っているのか。]
(83) 2013/09/16(Mon) 00時頃
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姉ちゃんに、アンタは会っていたのか。あの時の事も… アンタも辛かったな。
[彼女の最期に手紙でしかやりとりができなかった自分に対して、ヤニクは傍にいたのに、姉ちゃんを助けられたかもしれないのに、と言いそうになる言葉を飲み込んだ。 >>84頭を撫でられ俯いて、姉の最期を思い出して目に涙が溜まる。]
紛らわしい格好してすまん。可能なら―――
[昨日会ったばかりの男に頼むのも変だとは分かっている。]
許してくれ……。
[自分が姉として生きることを――。**]
(88) 2013/09/16(Mon) 00時半頃
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