22 共犯者
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―午後・礼拝堂>>169― そう……ブルーノ司祭が。
[ 眉根を少しだけ寄せて呟く。]
ブルーノ司祭は、何かに気付いておられたんだね……祭が始まる前から。
(172) 2010/08/07(Sat) 13時頃
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……なのかな。
それで、ソフィアが……森で見つかった時に、ブルーノ様は、パピヨンの所に話をしに行って、──ああ、そう言えば、その後にニールがここに来て、真面目な顔でブルーノ様と話していたっけ。
(173) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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−真昼の森>>172−
そう……最初はそのつもりだったのです。 そして、それが私の仕事であると、私は今でも認識しております。
ですが……私は同時に気づいたのです。 この森に棲まう絶対的な力を持った「何か」に、私自身が惹かれていることに。そして、それに気づいた上であなたを知る為には、私は「傍観者」ではいられない……いえ、「傍観者」であってはならないのです。
この村に住む人々のように、遠くにいて、あなたをまるで敵(かたき)や悪鬼の如く見つめている立場になれたとしたら、どんなにか楽だったでしょう。
だから、私は私が選び取れる方法で、あなたを知りたい。観察し、分析し、あなたを秘密裏に記録に残したい。悪鬼に魂を売ったと蔑まれても構いません。
それが、今の私の全てなのです**
(174) 2010/08/07(Sat) 13時半頃
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なんだかわからなくなってきちゃったんだ、おいら。
この村の神様や「ミツカイサマ」が、聖書の神様や天使様と同じなのか違うのか。
[もどかしげに、考え考え喋っている。
そして、ヴェスパタインが今自分の話を聞いてくれている事を、とてもありがたいと思っていた。 もしも、神様や「ミツカイサマ」に会ったなら、どんな風に話したらわかってもらえそうか、後でヴェスパタインに相談してみよう。]
(175) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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……今のこの村ってね、アブラハムとヨブ、二人分の大変な事をいっぺんにやらなきゃいけなくなっているんだ。
でも、そんな事、普通の人にはできるのかなぁ?
大昔の人たちは、そんなにえらい人たちばっかりだったのかなあ?
おいらには、できない気がする。
(176) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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>>*1 ―――ああ。 俺とアンタの二人で儀式を終える。 それこそが、それだけが、俺の、願いだ。
[虚空を見つめ、そう同胞に答えた。]
(*2) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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― 自宅 ― [この部屋に入るのも随分久しぶり。 参加することを決めた時は、もう入ることはないだろうとも思っていたのです。]
最後のお仕事ってことになるんですかね…。 碧石ってゆっちゃったけど、素材がそもそもあったかな。
翡翠も混ぜるか… アレ、加工が難しいんだよ…。 ということでグリーンジェイド、と。
[暫くの間、作業に没頭していますがふとあることに気付きます。]
・・・イギリスに郵送ってこの村から可能?
(177) 2010/08/07(Sat) 14時頃
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―礼拝堂>>176― アブラハムとヨブ? ……ああ。 そうですね。普通の人には、大事な人を神に捧げることも、全てを失ってなお敬神の心を保ち続けることも難しいでしょうね……。 私にも、できません。
この村のご先祖様がそうしてきたなら、きっとそれには深い理由があるのだと思います。 きっと喪う苦しみを味わうことよりも、大事な何かが。
(178) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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>>178 それは神様を敬っているからではなく、もっと……。 悲しいけれど、とても現実的な理由なのだと思います。
[ 彼は本当に少し悲しそうな顔をした。]
こんなことをトニーに教えたら、ブルーノ司祭に怒られるかも知れませんが……。
昔の人は神様をとても恐れていたのですよ。 神様は本当は、凄く恐ろしい方なのです。 神様は御恵みをお与えになると同時に、何もかもを奪っていくことの出来る方ですから。 神様を敬わなければ生きてゆけないから、皆神様を懸命に拝んだのです……。
(179) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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御恵みを与えるのも、全てを奪うのも神様……。
[聖書には、確かにそれを思わせる挿話がいくつも書かれている。だが、目の前の青年が口にした話を聞くと、]
じゃあ、……神様は、おいらたちがそれを忘れてしまっていたから、怒ってんのかな。
(180) 2010/08/07(Sat) 14時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/07(Sat) 15時頃
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―村のどこか―
[気持ちを落ち着けるように、ひとつ息をつく。 儀式が始まってから命を落とした人たちを思い返し。
唇を噛んだ]
……どうやったって、死者は取り返せない。 新たな死者を作るだけの儀式、か。
――ヘクターやっちまったら、もう、誰も死ななくなる?
[そうだといいと願う言葉をぽつりと呟き。 もう一度だけため息をついて。
それから教会にいくかどうしようかと迷いながら歩き出した]
(181) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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[でも、と考える。]
だけどね、おいらたちはもう昔みたいには戻れない、 そうだよね?
だったら、おいらたちは神様と共にあるには、どうしたらいいんだろう……。
[そこまで言って、ふと気付いた。]
そうだ、お茶でも入れよう。 ヴェスにはお話聞いてもらったしさ。
(182) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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―回想・巡礼三夜目の深夜・森の中― >>55 [マーゴの躯に牙を立てる。 その牙が喰い込んだ白い肉体から、 赤い珠が円状に広がっていく。
やがて、腹を裂き、紅い肉を喰らう。 淫靡な音を立てながら 彼女の血肉を己が肉体と同化させる。]
これで…マーゴは我らと一体となった。 彼らは我らと共に。 我らは彼らと共に。
[それはヒトの顔ではなく、 ただ獲物を喰らう獣の顔。 イアンはこの様子すらじっと見ているのだろうか。]
(183) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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靴磨き トニーは、ランタン職人 ヴェスパタインに、何か食べるようすすめた。
2010/08/07(Sat) 15時頃
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―礼拝堂>>180― それはどうでしょう? 怒っているのかも知れませんが……
もしかしたら、神様は、ただ当たり前のように収穫を受け取っただけかも知れません。 実った麦の穂を刈り取り、育てた家畜を屠るように……。
[ そう語る青年の瞳は悲しみに満ちていた。]
(184) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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―礼拝堂>>182― ――ああ。そうですね。折角だからいただきましょう。 ありがとうございます。
[ 悲しみの余韻は目の辺りにまだ残っていたけれど、青年は薄く微笑んでトニーに礼をした。 手近にある黒パンを取り、じゃが芋と魚のソテーを添えて食べ始める。]
(185) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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ところで…。 あの男。イアン・マコーミック。
アイツの事はどう思う? なかなか本音を出さねえ喰わせ者だが。
まさか巡礼に参加するなんてよ。 傍観者なら兎も角…。 もう少しからかってやるべきだったかね。
[イアンから敵意は感じなかったが―――。 彼の真意を少し測りかねているようだった。]
(*3) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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>>*3 ――あれは、放っておけ。
[ 短く、一言。]
(*4) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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―午後・教会―
[迷いながらも歩いていれば教会が見えてくる。 そっと扉を開いて中を覗き込んだ。
礼拝堂の中にトニーとヴェスパタインの姿が見えて、ああ、そういえば、と昨夜と今朝のやり取りを思い出す]
そいや約束してたっけ……
[ぼそりと呟いて、中に足を踏み入れた]
(186) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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――そう言えば、「宿題」は解けたか? 「ヘクター」。
[ 触れられたくない話題から話を逸らすように、彼は数日前の話(>>*3:40)を切り出した。]
(*5) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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―真昼の森>>174― [ 口の端に浮かんだ笑みが苦いものに変わった。]
――あなたは本当に饒舌なんですね。 特に、心が他に何かを隠している時は。
(187) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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[程なく、ポットにお茶を入れて戻る。]
あれ、テッドいつの間に?いらっしゃい。
[新しい来客にきょとんとしながらも、笑顔で迎える。]
(188) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―午後の教会―
[きょとんとしたトニー>>188にへら、と普段どおりに見える笑顔を向ける]
ん、さっきな。 ほら、昨日約束したし。
[と、つい先ほどまで忘れていた約束を持ち出し。 食事をしているヴェスパタイン>>185にも軽く手を振って、二人の近くへと寄った]
(189) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―真昼の森>>187―
でも、いいです。 あなたはここへ来た。 今は、それだけで充分です。
[ 倒木から立ち上がり、ゆっくりとイアンに近付いて行く。]
お礼に、ひとつ、教えてさしあげます。
[ 一歩進むごとに、切なげな微笑と真摯な眼差しが、 冷たい熱を帯びはじめ、]
(190) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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>>*5 復讐…。
[かつて出された「宿題」>>*2:40への答えを、 ぽつ、と口にする。]
復讐…か? 殺された同胞への復讐……。
人の子への…。 それとも森を捨てた同族への…?
[同胞の真意が理解できない。 人の子へ対する怒り ―少なくともヘクターは大きな怒りを抱いていた― ではなく、なにか別の目的が?]
(*6) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―回想・巡礼三夜目の明け方・遺体安置室―
[誰もいない教会の地下納骨堂前の部屋に 安置されたニールの遺体に近づく。 遺体の血を舐め、嘗て味わった 「血族」と同じ感覚を感じ取る。]
我らが血族―――。 我らの代わりに、人の子の手によって還りし者。 祝福は我が与えん。
汝の肉体と魂は、我らと共にある。
[そう言って、パピヨンやピッパにしたのと同じように 肉体を捕食し始める。 ぽっかりと空いた腹部には、 聖地の土を詰め、また布で覆う。 彼らに一礼し十字を切ると、そのまま立ち去った。
そして、四夜目の巡礼へ―――]
(191) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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私は本当のことを話している時に一番嘘を吐いている。
[ 愉しげな揶揄の嗤いに変化し、]
――それを覚えていて。
[ 口唇が文節の最後を発した時には、]
(192) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―四夜目の巡礼・夜・広場―
[今夜は一層ビリビリとした悪意が強く感じられる。]
ガキどもが…。 殺気を其処ら中に撒き散らしやがってよ!
[その感情に呼応するかの如く、 彼の闘争心も高まっていく。
オスカーやテッドと目が合えば、 鋭く睨み返しただろう。]
(193) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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>>*6
不正解だ。「ヘクター」。
[ つれない回答が返ってくる。]
答えは、「同属もまた人間と大して変わりはなかった」だ。
(*7) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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村人たちの先祖がこの森に流れ着いたのは、丁度人間たちが次々に森を切り開き、我らを森に棲む魔物、或いはただの害獣として追い立てていった時期に当たる。 人間にとっては人の居ない土地は「誰の所有でもない土地」、勝手に自らのものと宣言してよい土地なのだ。
我らは、聖地を守って一族が死に絶えるまで戦い続けるか、森を捨て種族の誇りを捨てて生き延びるかを考えるところまで追い詰められていた。
そんな時に彼らの一族がここに迷い込んで来たのだ。 彼らは故郷から追放された罪人だった。どこの領地でも受け入れてもらえず、知られれば殺される定めになっていた。
(*8) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―真昼の森>>192― [ 人ならざる「それ」として、イアンの前に立っていた。 「それ」は自分の体躯が彼に及ぼす影響を知り尽くしているかのように身体を摺り寄せる。 蠱惑を湛えて、月の金が煌めく。 寄せた顔、舌を閃かせ、淡紅の口唇を舐めた。*]
(194) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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