156 カイレミネ島の雪
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……。
[俺はどうすればいいのだろう、何度自分に問いかけても答えは出ないまま そんな時に触れられずにいたことを先生が口にした>>68]
先生、俺は……
[違うのだと、そんな風に言ってもらえる存在じゃない死んだほうがいいんだと寂しさに歪みきった心が叫ぶ けれど自分を否定する言葉は声には乗らない、また溢れてきた涙が許してくれない]
……ごめんね、お兄ちゃん
[それはきっとずっと誰かに気付いて貰いたくて、そう言ってほしかったからなのだろう 握られた手の温度に安堵しながら、細く微かな声でかつてのように医師を呼び緩やかに眠りに落ちていった*]
(78) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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行ってきます。すぐ戻るわ。
[そう言って家を出た。行先は診療所。 そこで礼を言って薬を受け取った。 どこで飲もうかと考え、さすがに二日続けてブローリンに見届けてもらうのは気の毒だと、診療所を後にする。
足が向かった先は、海だった。]
…海は嫌いなのにね。
[それでも凍りついた海面の上に雪が積もり、その姿を覆い隠しているのを見て、少しさびしかった。
幼い頃に溺れてからずっと毛嫌いしていた母なる水面。なのに最後にここに来てしまったのは、きっとこの騒動が始まる前に、行こうとしていたのがこの場所だったからだろう。]
(79) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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ーー 翌日:昼 ーー [疲れからかぐっすりと眠っていたらしい、時計の針は昼の時間を指していた けれどそれより先に確認したのは先生が何処にいるかで、不安げにきょろきょろとした後に見つければきゅっと服を握って]
……おそようございます
[普段が嘘のように力のない声で静かに微笑みを浮かべる様子は別人のように映るだろうか、けれどもこれが何も包み隠さない本当の姿で]
あの、ね……
……もう少し、一緒にいてくれませんか
[様子を伺うように顔を覗き込んでお願いをする 冬将軍に取り込まれたのはマドカだった。それが分かったというのに、呑気にしている状況じゃないというのにこんなことを言えば嫌われてしまうだろうか それでも身体がまだ動けなさそうで、独りになるのは、先生が何処かに行ってしまうのは酷く不安を煽る]
(80) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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−海− さてと、そろそろ行こうかしら。
[凍っているものは仕方ないと、腹をくくる。 思えば今まで自分の願いが成就したためしはなかった。
幼馴染が苦しんでいるのになにも出来なくて。 彼のために雪を見せてあげたくて、やっぱり出来なくて。 代わりにマリンスノーを夢見て、でも泳げなくて。 練習しようと海に入る決心をした瞬間、海は凍りつく。]
(しかも。ねえ、信じられる?) (マリンスノーって、生身の人間ではとても潜れない、深い場所でしか見られないんですって)
[それは昨日、眠る前にポケットから見つけた小さな紙切れ。 >>2:3図書館で見つけたそれは、彼女がずっと探し求めた欠片の一部だった。>>2:23]
(冬将軍が訪れなくても結局無理だったなんて。……本当に何もかも、叶わないのだから、嫌になるわね。)
[怒りを通り越して、なんだか情けなくなる。]
(81) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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[ブローリンから、家に戻っていないこと、 マユミが来て去ったことを聞く]
じゃ、さっきのはやっぱりマユミだったんだね。 何か急いでたみたいだし、わたしも急いでたし……まあいっか。 また近いうちに会うだろうし。 シー君と会えないの、寂しいねえ。
[シー君も寂しがってるだろうな、と思いつつも、 口にしたら余計に気を揉ませるかもしれないと言葉を呑み込む]
あ、これがお薬?
[話を変えるように、 机の上に置かれた様々な道具に関心を示した]
(82) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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(でも、) (それでも、どうか)
『大切な人が幸せにほほ笑んでいてくれますように。』
[幼い頃からずっと願っていたこの祈りだけは。 どうか、叶いますようにと。
頼むわよ、神様。
…そう、静かに祈りをささげ。
小鬢の薬を飲み干した。]
(83) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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[机の上には蒸留中のレトルト。 花弁の入ったビーカー。 空になったフラスコ。 そんなものが並んでいて]
? 空だよ? お薬……できてない?
[まるで今し方、中身を取り出した後のように、 わずかガラスの内壁を濡らすフラスコを不思議そうに。
突然、はっとしたようにブローリンを見る。 その表情は帽子の影になって読み取れない。 男は、ただ、ゆっくりと首を振った]
(84) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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ヒューさん…………!!
(85) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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ごめんなさい
[頷いてくれても、駄目だと言われてもそう謝罪を口にする どうしようもないぐらい我が儘で甘えたがりのさみしがり屋の、本当の兄ではないのだと一定の距離を置こうとして結局彼にすがっている自分が情けなく申し訳なくて それからまた目を閉じる]
(マミ……)
[あの子は今、何をしているのだろう マドカのことを知ったらどう思うだろうか。ここにいない彼女のことが酷く気掛かりで、元気な姿が見たいと思った*]
(86) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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[その瞬間、彼女は孤独だった。 永遠の眠りかもしれない旅路。それを見送る人は誰もいなくて。 それはとても心細くて、とても辛くて、 ―――とても、寂しい。]
(やっぱり、一人で眠るのは、嫌だわ)
[ブローリンには強がりを言ったが、自分が冬将軍だとしたら、もう目覚めることはないのだと、誰かが言っていた。 そして違っていたとしても、目覚められる保証はどこにもない。]
(怖い。怖い、怖い。) (こんなのいやよ、一人はさびしい。誰か一緒にいて。お願いお願いお願い――――!)
[それでも、薄れゆく意識の中、ぼんやり思ったのは。]
(こんなにつらい思いするのが、)
あの二人じゃなくて。 本当に、よかった。*
(87) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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― 翌昼・トレイルの家 ―
……けほ。
[寝台の傍でそのまま眠ってしまった後、明け方の寒さに震えて目が覚め。空いていた客室を借りて仮眠を取れば、目が覚めたのは昼過ぎだった。いがいがする喉に、軽く咳をして起き上がる。 診療所では、そろそろ薬が出来た頃か。 トレイルの部屋を覗けば、目を覚ましたところのようだった。>>80]
(88) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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おう、ちゃんと起きたな。
[マドカに、冬将軍に取りつかれそうだったのを思い出し、安堵する。 きょろきょろ見回すトレイルに近づけば。伸びてきた手に、服を握られる。覗きこんでお願いしてくる顔は、どこか不安そうで。 いつものように茶化そうとしたが、あまりに頼りないその様子に黙って頷いた。
昨夜の心細そうに引き止める声と。お兄ちゃん、と謝る幼い様子に不安はまだ消えない。]
……今日はえらく、甘えん坊だな。
[飛び出していったマドカや、診療所の様子も気になるが。それらをひとまず押し込める。 ここでトレイルを放っておいたら、あとでマユミにどやされる気がした。]
(89) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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